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 作家馬場卓也のおもちゃと怪獣と仕事の三つ巴生活!  男もつらいし、女もつらい。男と女はなおつらい! てな訳でよろしく
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 劇場で懐かしさのあまり、号泣、失禁、死者まで出たという、70年代のホラー、オカルト映画並みの評判である『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバンTHE MOVIE』を見に行った。



 宇宙刑事ギャバンのデザインをはじめて見た時、小学生の俺は『革命が来た!』と思った。メタリックなスーツデザインはいままでみたことものないものだった。それに簡単に絵が描けないデザインである。ウルトラ、ライダーの休眠中の時代、放送中だったのは戦隊シリーズのみだった頃だ。しかも俺はその頃戦隊をほとんど見ていなかった。いや、確か同時期に始まった『ゴーグルファイブ』はデザインが従来のものと違い、かなりアニメ的だったので『おぉ、ここまで来たか』と思ってはいた。しかし、ギャバンの衝撃はそれ以上だった。
『えらいこっちゃ!』 
 放送第一回、新宿の高層ビル街に立つ、宇宙刑事ギャバン。暗闇にピカピカ光るメタリックなスーツ! ギャバンに変身、いや『蒸着』(この言葉も斬新だった)する一条寺烈が革ジャンを着ていて、ジープを乗り回している姿も斬新、確か敵もレザーのジャケットを着ていたと思うので『革ジャン=高い服』という貧相なイメージしかなかった赤貧チルドレンな小学生にはそれはそれはとても豪華な、金の掛かった番組に見えた。ギャバンのデザインも含め『子供に媚びない作りの子供番組』だと、勝手に解釈した。
 ぐっとアダルトな子供番組、子供の遊ぶ公園にいい歳した大人が『ごめんよ!』と入ってきてかっこよくブランを漕ぐ、そういったところか。どういったところだ?
加えて、ギャバンの切り札電子星獣ドル! 人型ロボではなく、巨大なメカの竜だ。コックピットに乗って操縦するのではなく、その頭上に乗って敵を追う、または巨大化した敵と肉弾戦を繰り広げる。敵対する宇宙犯罪組織マクーの繰り出す怪人もユニークなものが多く、あるものは等身大で、あるものは巨大化して戦うという自由さがヒーロー番組のワンパターン化にいささか飽きてきた俺には斬新だったのだ。ともかく、すべてが斬新、革命的な番組だと思った。 
 実際革命は成功し、以降10数年もの間に渡り『メタルヒーローシリーズ』が連作されることとなり、特撮ヒーローものの一ジャンルを作り上げた。
 主役を演じた俳優大葉健二の繰り出す超人アクション、そしてそれ以前からあった真田広之の人気もあり、大葉の所属するJAC(ジャパンアクションクラブ)の人気も上がり、ヒーロー番組に欠かせない存在となっていく。千葉真一率いるスタントマン集団JACが、かつてはアイドルだったこともあるのだ! それが80年代だった。

 革命は成功した。

 メタルヒーローの血は平成に甦ったライダーに、戦隊にも受け継がれているだろうし、JAC改め、JAEも今はアイドルではないものの、縁の下の力持ちとしてヒーロー番組を支えている。

 それから30年、ギャバンは帰ってきた。いきなりの復活だ。
 ギャバンを知らない子供に、そしてあまりにも知りすぎてその復活を待ち望み、見る前から涙腺が緩みかけている大人たち、そして最新ヒーローであるゴーカイジャーたちの前に姿を見せたのだ。かつてと変わらない姿で、夜の町に、メタリックなスーツを輝かせ、そして名乗った『宇宙刑事(ビッ、ビシッ、ビシッ、構える時の音)ギャバン!』。

 あの時と一緒だ。ギャバンシールやギャバンミニカードを集めていた当時に一瞬戻ってしまった。そしてそこからの一時間強の間、劇場内が80年代に逆戻りしたのだ。まるで魔空空間に引きずりこまれる際に、地球の自転が逆回転をする、あの画にも似た感じで。
 懐かしさにむせぶ大人たちへ、とどめとばかりに鳴り響く渡辺宙明サウンド!
 チェイ、チェイスチェイス、ギャーバン!
 音、音楽は大事だ。それも幼少時に刷り込まれたサウンドなら尚のことだ。去年はライダー映画(おまけに暴れん坊将軍まで)、ザボーガーで菊池俊輔サウンドを耳にすることが多く、そのたびに、体内のあらゆる液体が沸騰しかかるような気分を覚えたのだが、今年は宙明サウンドが来るのか? 

もちろん、今を生きるちびっ子にもおなじみゴーカイジャーと同じくギャバンのかっこよさが十分に伝わる映画だった。尺があまりにも短く、おかげで特別料金の興行となったのは、この作品が元々Vシネマ用に作られた、という大人の事情からではなく、普通の映画の尺でやると、大人たちが懐かしさのあまり死んだり、失禁したり、子供に戻ってしまうからだ。だからこその一時間、悪くない、コンパクトにまとめられた尺だ。

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 そしてこの映画は、ギャバンを演じ、しばらく表舞台から遠ざかっていた俳優・大葉健二氏への大いなる賛辞をこめた映画でもあった。見れば分かる。
 そして、俺もお前も名のない花を踏みつけられない男になるのさ。
(ということは今まで踏みつけてたんかい、という突っ込みは無用)
 そしてこの映画は俳優佐野史郎の初戦隊出演作品でもあり、大悪役を演じた作品でもあるのだ。かつては特撮作品に出て欲しい俳優ナンバー1であり、念願のゴジラに出演を果たし、ウルトラを経て(映画『ウルトラQ』の方が時期は早い)、今度はまさかの戦隊出演だ。70年代の生き残りのような80年代最後の熱血漢俳優が、90年代から現れた、力よりも頭(心?)を使うサイコな悪役を得意とした俳優と21世紀に激突するなんて、誰が想像しただろうか。
 
 80年代の逆襲がはじまった。そして、革命に終止符は打たれた。

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プロフィール
HN:
馬場卓也
性別:
非公開
職業:
作家
趣味:
怪獣
自己紹介:
作家。一応作家。
CS放送のシナリオ公募で佳作入選。
『SHUFFLE! アンソロジーノベル』
でデビュー。
『School days 君といる、空』で長編デビュー。(ともにJIVE )

『真田十勇姫!』(ソフトバンクGA文庫)
シリーズほか、チョコチョコと。
ラノベ、ゲームシナリオ等々、何でもやりますのでお仕事お願いします。
 怪獣とかチャンバラが好きやねんけど、女の子率高いなあ。


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