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 作家馬場卓也のおもちゃと怪獣と仕事の三つ巴生活!  男もつらいし、女もつらい。男と女はなおつらい! てな訳でよろしく
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 怖いもの見たさ、というか昨年あたりから徐々にですが、今まで苦手なホラー映画を見るようになってきました。年取って『怖い』という感覚が弱くなってきたのか、現実のほうがよほど怖いという目に何度も遭わされてきたからか……。それはともかく、最近見た新作映画といえば『アントラム』だったりするわけで、今度はもっと楽しい映画見ようと思っていたら『ミッドサマー』が来た。あの、昨年散々怖がらせてくれた『ヘレデタリー』のアン・アリスター監督である。今度はどんなショックを見せてくれるのか。予告や宣伝を見ると、お花畑でみんな楽しそうに歌ったり踊ったりしている。でも知ってるぞ、楽しければ楽しそうなほどその裏側はどす黒いのだ。
 

 スゥエーデンの田舎、ホルガ村を訪れた5人の男女。村ではちょうど夏至祭の真っ最中。ニコニコと親切な村人に迎え入れられ、一緒にフェスティバルをエンジョイするのだけど……。なんかおかしいぞ?



 
 一言でいうと、村の奇祭に巻き込まれた若者たちが恐ろしい目に遭う話である。普通に風景撮っていてもどこかおかしい。村人がニコニコすればするほど、見ている方が不安になってくる。この監督のことだから、絶対恐怖のイースターエッグをそこらへんにちりばめているに違いない。その読みは当たった。昔なら『身の毛もよだつ十大残酷!』とか宣伝を打つはずである。でもお花畑でニコニコだからみんな騙される。そう、ちょうどこの村にやってきた若者と同じ気分になってしまう。



 次々とアメリカの若者を襲う奇習の数々、見ていて『もうやめてくれー!』『この監督頭おかしい、会ったらぶん殴ってやる!』と思うことしばしば。よくもまあ、こんなえげつないこと考えつくものだ。えげつないといっても、血まみれのグログロな映像ではない、それもあるけど、じわりじわりと迫ってくる怖さである。



 内容にちょっと触れるけど、と遠くで誰かが叫んでるけど、誰も気づかないとか、よせばいいのに村の近畿に触れてしまうお決まりパターンとかさ。最後の最後に明らかになる真実。これは映画だ、作り物なんだ、この俳優さんたちはちゃんとギャラもらって生きているんだ! と、身もふたもないことを考えながら、予測不能の不条理な恐怖を耐えていました。
 


 やっぱりここでも見たくない裸出すのかよ!
 みんなニコニコでどこかくるってるのは『2000人の狂人』か、見たことないけど。
 主人公たちが奇習、奇祭に巻き込まれててんやわんやするのは『21エモン』でも見たパターンだなあ。こっちのほうがえげつないけど。


 SNSではドラマ『TRICK』やお祭り男宮川大輔を引き合いに出されてるけど、なるほど、それもありだ。へんてこな奇祭に巻き込まれるのは日本人は慣れっこということか。それよりも『相席食堂』があの村を訪ねたら、千鳥はどのタイミングで『ちょっと待てー!』ボタンを押すのか非常に気にはなる。
 

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 今回の超大怪獣2020は『大怪獣バラン』『獣人雪男』の山の怪獣譚2本立て。と、前振りもなく本文から入ってみるパターン。今回は超大怪獣の前に年末のオールナイトで上映を博した『狭霧の國』ロードショーがあり、佐藤大介監督に造形の村瀬継蔵さんのサイン会&舞台挨拶もあり。早めに京都について、いつものようにブックオフとつるかめ書房を物色。グランセイザー絵本と『華麗なる対決』パンフを購入。『華麗なる~』はまだ見ぬフレンチウエスタン。ヒロイン同士がひたすらどつきあうらしい。




 サイン会は『狭霧の國』上映前に開催。サイン会用に作られた村瀬さんポスター、サングラスに隠し味があるのだ。

 
 『狭霧の國』上映後の舞台挨拶。今回は上映中の映画ということもあり、トーク内容はどんどん拡散していくという、いつものとは逆のパターン。佐藤監督がなぜ制作へ至ったか、人形特撮『サンダーバード』の国イギリスへ渡った佐藤監督が人形怪獣映画を作るのも何かの縁か。怪獣映画の中のリアルさ、を思い求めて人形劇にした、という話も興味深い。監督は怪獣ネブラの頭部をもって登壇。土砂や流木が堆積された表面、日本の怪獣はなぜか表面がつるつるして奇麗という疑問に対してのアンサーらしい。キンゴジの尻尾、とげゲルゲの背面、そして実現できなかったものの、チタノザウルスの頚部構造を兼ね備えたネブラは村瀬造形の集大成といった怪獣。バランの表皮を落花生の殻、トゲトゲをビニールホースで表現、村瀬さんのお話に出てくる『オヤジさん』が円谷英二監督のことで、ああ今歴史の生き証人とお話してるんだと思うとなんだかぞくぞくしてきました。

 ビニールホースのトゲトゲはのちに『小さき勇者たちガメラ』のジーダスでも再使用、と佐藤監督。ちなみにウルトラマンAのベロクロンのヒダヒダもビニールホースとのこと。バキシムはでかすぎて攻防の壁を壊して搬出したとか。本編でも空を割って登場したけど、リアルでも壁を壊してた!
 
 そして『大怪獣バラン』『獣人雪男』上映へ。バランは後半からこっそりのぞく。東京進出を夢見るのは地方の芸人も、怪獣も同じこと。海底に眠るバランに機雷攻撃を浴びせる自衛隊。バランはそれでも倒れず羽田空港へのクライマックスへ。徹底した人間VS怪獣の攻防戦。バランはただ静かに暮らしていたかったのに、人間が、文明がそれを妨げた。鬼面の竜というべき荒ぶる神も、人類の英知には勝てなかった……と思うんだけど、あのラストでは完全に死んだとも言い切れない。流用フィルムが多いのは、もともとアメリカのテレビシリーズとして注文されていたからかな。
 『獣人雪男』も同じことで、バランよりも密接に地元民と平和に共生していたはずなのに、そこを文明人が余計なことをしたから……。日本にもまだ秘境があったといわれる時代、サンカや山の民の伝承にヒマラヤの雪男というタイムリーな話題をくっつけ、香山滋の太鼓へのロマンを振りかけた作品。怪物(神)の怒りの矛先はいつも手近にある集落で、文明人は『ひどい目に遭った』と都会に戻れるからいい気なものですよ。ゴジラ、アンギラスに続く東宝第三の怪獣、このまま埋もれさせるには惜しい作品です。
 舞台挨拶も上映も無事終わり、本当だったら翌日の仕事に備えて帰宅するところなんですが、きゅきょ決まったセルジオ・コルブッチオールナイトのため、そのままみなみ会館に居残ることに。『続荒野の用心棒』公開に合わせて東京では一日限定でコルブッチ作品の特集上映が組まれた。それを聞いて『いいなあ、こっちでもやってくれないかな』と思っていたらまさかのオールナイト。上映前の館長のお話によれば、東京から『やらへん?』との打診があったとのこと。



 本来なら全部『T-34レジェンドオブウォー』だらけという気の狂ったオールナイトがあったところに、マカロニを裏にぶち込む、誠に狂ったプログラムが組まれることになった。




これも新生みなみ会館が3スクリーンになったからこそできる技、マカロニの魅力を理解してくれたみなみ会館と館長にも感謝。これで毎週マカロニを劇場で見るという幸せな状況が続くのでした。





 今回上映するのは『豹/ジャガー』『殺しが静かにやってくる』に『続荒野の用心棒』の3本。所々気を失いながらも見る。



 『豹/ジャガー』はメキシコ革命を舞台に武器商人と革命家の呉越同舟を描く活劇。メキシコ革命だし、飛行機や自動車が登場しているころだから純粋なウエスタンではない、でも派手だからいいのだ。金で結んだ関係がいつしか友情に変わっていく、そんなマカロニ浪花節。回想形式で物語が進んでいき、ラストへとつながっていく構成。しかし、マカロニでは派手さ重視のためか、善悪の判別がしにくい混沌とした情勢だったからか、メキシコ革命が舞台になることが多い。メキシコ革命で男二人の友情物語といえば後に『夕陽のギャングたち』でもレオーネが取り上げるネタでもあるけど、コルブッチのほうが早かった。歴史には疎いので要調査だけど、メキシコ革命っていつまで続いていたたのか? サントラはご陽気なバカロフとドスのきいたモリコーネの両方が楽しめる。



『殺しが静かにやってくる』は勧善懲悪ならぬ勧悪懲悪がまかり通るマカロニ世界においてもかなりの異色作。だって主人公が殺されるから。でも、これが微妙なところで、最後に生き残るのが賞金稼ぎだからこれはこれでマカロニのセオリーに乗っ取っていると思う。主人公こそが賞金稼ぎ殺しの悪漢だったのか、いつもは虫けらのように殺される賞金首にもそれぞれ事情があるんだよ、というところを掘り下げると異様な作品が生まれた、という感じで何度見てももやもやしてしまう。雪景色とモリコーネの楽曲が美しく、主人公サイレンスの持つモーゼルがかっこいい作品。
 
 最後に『続荒野の用心棒』。西部劇というアメリカ独自の文化をイタリアで咀嚼したら、ルックスとガンファイトしか残らなかった。あとはそれをいかに調理するかがマカロニ職人の腕の見せ所。『荒野の用心棒』に似せつつも、棺桶を引きずる主人公にあの主題歌をかぶせた時点でこの作品は完全なるオリジナルといえる。文字通りの泥臭さと奇抜さ、マカロニの下地を作ったのはこの作品かもしれない。まったく無関係な振りしてるけど、棺桶が重要なアイテムになるのは本家黒澤の『用心棒』を意識したからなのか。前半のジャクソン編&機関銃で魅力を出し切っている感があり、後半のウーゴ編はまるで別の作品のようでもあるし、若干もたついてる感じもある。ジャンゴ、棺桶にこだわりすぎ。それでも、クライマックスの墓場の決闘は燃えるし、ジャンゴもようやく本懐を遂げることができたのでありました。


 ジャンゴのごとくふらふらと外に出ると、まだ暗い京都の町。朝風呂入って、さっぱりしてからガイドヘルパーの仕事へ、長い長い一日だったけど、怪獣とマカロニ、好きなものだらけで満足でありました。
 そして落ち着く暇なく来週はウルトラマンダイナ! 

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 先日、恩師が急死されてお通夜に行ったのはいいものの、ズボンのボタンが止まらなかったことに軽いショックを受けました。でも久々に大学の同期と会えて嬉しかったな、これも何かの御縁だと思いたい。
さて。



 仕事は終わらないけど、時間がない、そんなときでも映画に行って気晴らしするのさ。まあ、午前中に映画見て午後から仕事するべ、と新世界へ。久々の新世界国際劇場。


相変わらず物騒な看板である。今回はここで『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウエスト』他2本。まさかの『ウエスタン』上映である。先週末『続荒野の用心棒』を美麗画質で見たところなのに、またまたマカロニが見れる嬉しさ。去年見たけど、いいものは何度見てもいい。でも長い。三時間弱の映画をよく新世界でやる気になったものだ。でもみる。長いので朝早くに行って初回を見る。
 
 荒野に自分の理想郷を作ろうとした男と、その遺志を受け継いだ妻、そしてその気骨に惚れた流れ者に、利権を奪わんとする悪漢。それぞれの思惑が重なり合う、決闘オペラ。長いのに説明不足だぞ、とも思うけどそこは行間を読んで察しろ、ということか。先週『野獣処刑人ザ・ブロンソン』で生き写しのようなそっくりさんを見たけど、今回は本物。4k画質で見ると、ブロンソンの肌の艶と張りがすごい。しかもレオーネ作品なのでクローズアップが多く、余計に目立つ。善玉も悪玉も顔で物言う、4k顔芸大会でもある。
 二時間強を何とか乗り切ってのクライマックス、ヘンリー・フォンダとブロンソンの決闘のカタルシスは何度見てもいい。このためにひたすら待つことができるといえば言い過ぎだけど、何とか見れる。
 『続荒野の用心棒』のどろどろの町も『ワンス~ウエスト』のカラカラで砂ぼこり立つの町も、どれもマカロニ。地元で変化球を投げるコルブッチに直球どころか本場に近づこうとしたレオーネ、数日の間に二人のセルジオの作風を見比べることができ、そしてまさかのマカロニウェスタンを劇場で続けてみることができて、遅れてきたマカロニ者は幸せだったのです。
 これで帰って仕事を……いや、その後の『ゾンビランド・ダブルタップ』も気になるので見た。先月近代ゾンビのオリジナル『ゾンビ』を見たところ、今回は最新のゾンビ、ゾンビ事情を見ようと思った。ゾンビ災害で荒廃した世界。ゾンビたちも知恵を付けたり俊敏になったり多種多様に進化していた。そんな中、主人公たちはホワイトハウスをねぐらにし、悠々自適に暮らしては時折ゾンビを狩っていた。コメディタッチのゾンビもので、前回は未見。前回見たら面白さ倍増したのかな、いやでも難しいな、という印象。時代のせいか、コメディだからか、ゾンビに対する危機感が薄い。人類の脅威だったゾンビもここではすっかりやられ役であり、対象年齢に配慮したせいか血糊も少なめ。ヒャッハーとゾンビを狩る、これが今のスタイルなのか、納得しながらもどこかもやもやさせながら劇場を出た。もちろん、その日は仕事してません。

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 死んだ。
 いや、まだ生きてる。前回『気になる』と書いた『アントラム・史上もっとも呪われた映画』を、仕事明けてそのまま京都に見に行った。いや、その日のメインは『ジャンゴ繋がれざる者』『続荒野の用心棒』の新旧ジャンゴ二段撃ち大会だ。その前に『見たら死ぬ』といわれる『アントラム』を見たりしたら、ジャンゴ見てる間に死んでしまうのではないか? でも映画館でぽっくり逝くのもいいかもしれない。とにかく気になるものはチャンスある限り見ておくのだ。



 『アントラム』はドキュメンタリータッチで物語が始まる。曰く70年代につくられたとあるホラー映画が、上映するたびに映画館が燃えたり、映画祭の関係者が変死するというのだ。今回、奇跡的にオークションに出品されていた『アントラム』を落札したとのこと。どうやらこの映画、完成してから何者かが手を加えた跡があるらしい。それは何か?



 と、ドキュメンタリーパートが終わり、『この先何があっても責任を負いかねます』といった注意書きが出た後、『アントラム』本編上映。これはちょっと驚いた。予告から察するに全編ドキュメンタリータッチで通すのかと思いきや、まさかの本編上映。本当に死んでしまう。




 
 お話はとある姉弟が、亡くした愛犬を復活させるためにとある山に入り、地獄に通じる穴を掘るというもの。本当に地獄とつながるのか、全編を貫く不安を誘う曲に、荒れた70年代っぽいフィルム。ええっと、これはどこからどこまでフィクションだったっけ? と見ていて少し混乱してしまう。地獄の門が徐々に開き、姉弟の周りに異変が起こる。山に入って割腹自殺を試みる日本人、そして山中に住む、悪魔を崇拝する怪しげな二人組。怖いのはいったいどっちだ、何なんだ? そして二人組に捕らえられた姉弟の脱出劇、そして明かされる真実。全編書くのは野暮、いやここまで書くのもどうかと思うが。




 全体的に不安げな雰囲気が漂う作品。作為的に手が入ったシーンもなんとなくわかる。どこかもやもやした気分になる、じわじわ怖いタイプの映画。 



 でも、最後に種明かし(フィクション的な)するのはいかがなものかと思いましたが。それでも、死ぬ。とか書いているけどまだ生きてる。ひょっとしたらもう自分でない者にすり替わっているのかもしれない。そういう楽しみ方もホラー映画のだいご味ではないか、と思うのです。




 そして昼メシ食って『ジャンゴ・繋がれざる者』へ。新作がアカデミー賞にノミネート(助演男優賞受賞!)されてタイムリーなタランティーノ監督、7年前の作品。タイトルからして『続荒野の用心棒』リスペクトだし、主題歌もそのまま。公開当時タランティーノがマカロニウェスタンやるぞ! と意気込んで見に行ったら、実にまっとうな西部劇だったのを覚えている。いや、まっとうではないか。黒人奴隷問題に切り込み、ドンパチといつものだらだら話を挟む新機軸ウェスタン。そうだ、この人の映画は痛快さとかアクションを期待すると肩透かしを食らうのだけど、それはそれで実に気持ちよくすかされるので嫌いになれない、いやむしろ好きですな。


 
 黒人奴隷ジャンゴとドイツ人賞金稼ぎがコンビを組んで、ジャンゴの妻を奪還するまでを大量の火薬と血糊でつづる西部劇巨編。クライマックスより中盤の、長い長いディカプリオトークの後堰を切ったように行われるドンパチがかなり派手、今見ると西部劇というより香港ノワールの影響が大きいのがわかる。マカロニ成分はそこそこに、好きなもの、やりたいテーマをぶちまけるタランティーノ流。ちゃんと落ちを付けてブツン、と終わるのもいつものことだし、選曲も毎度のことながら映像にぴったり。まるでMVを見ているようだ。
 

 そして、そして待ちに待っていた『続荒野の用心棒』! ガトリング銃搭載の棺桶を引きずる無口なガンマン、というキャラ設定だけで満点の映画である。勧善懲悪ならぬ勧悪懲悪の物語。まず、日本ではアメリカ西部劇と比較され、見下されがちだったマカロニウェスタンが、現在のポジションを得るまでにはかなりの時間がかかったし、さらにその中でも変化球ばかり投げるセルジオ・コルブッチの代表作がまさか4Kの美麗画像で甦るとは夢にも思ってなかったよ! 美しく汚い画像が見れる、泥でぬかるんだ街も、ペンキみたいな血糊も、ぎらついた男も、汗ばむ女のケバイ化粧もはっきりくっきりと見える。


 雨の降るぬかるんだ道、ハリウッド西部劇ではまずみられないどんよりとした空のもと、ジャンゴと政府軍、メキシコ軍の血なまぐさいやり取りが行われるのだ。最初に見たとき『なんじゃこれは?』と思った。少しも痛快ではないし、ジャンゴもヒーローらしくない。かなりの異色作だなと思った。レオーネ的なものを期待していたのだ。今回見直してみると、やはりジャンゴがよくわからない。メキシコのウーゴ将軍と旧知の間柄であるために、アメリカのジャクソン一味を叩きのめすのはわかる。でもジャンゴの目的は金だ。金のためにウーゴを欺き、逃走する。『荒野の用心棒』やその元ネタ『用心棒』のように敵対する両者をいがみ合わせて共倒れを図るというヒロイズムはない。だが、それがまたジャンゴの魅力でもあるかもしれない。

 

 ジャンゴは中盤の機関銃大乱射以降、これといって活躍しない。ただウーゴをうまく乗せて金をせしめるか、それだけに徹している。だから、終盤でようやく愛に目覚め、ジャクソンと対決するのは唐突な印象もあるけど、それもまたジャンゴのええ加減さであり、魅力の一つでもあるといえる。しかし、金をぶんどった罰を受けウーゴたちに両手をつぶされる。そのウーゴたちもまた、ジャクソン一派に返り討ちに遭う。悪が悪を食らう、それこそ舞台となった町のようにどろどろとした展開。だからこそ卑怯なジャンゴが映える。パンフレットによればジャンゴの妻を殺したのはジャクソンということで、これでラストの対決にも納得がついた。本来ならジャンゴは両手を潰したウーゴと戦わないといけない、と思っていたからだ。そんな型通りの展開にならないのがコルブッチのウェスタンである。
 鞭打ち、覆面集団、それにバイオリンとタランティーノの『ジャンゴ』が引き継いだポイントも多い。オマージュを見て原点を知る、今回の京都みなみ会館の組み合わせは最高にして最強である。



 ともあれ、昨年の『ウエスタン』に続いての快挙である。怪獣映画は定期的に見れてもマカロニはほぼ壊滅的だと思っていたところにこの嬉しい復活。これからも二人のセルジオの作品がスクリーンで見られることを遅れてきたマカロニ野郎は切に願うのである。
 この日見た三本とも『死と再生』が何となく引っかかってるような気がする。そして、アントラムの呪いがいつ来るのか、しばらくはびくびくしながら過ごしたい、と思う。
 え、新世界国際で『ウエスタン』やるの? 死んでられない! 

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 ご存じのように、自分は中途半端なモノカキと介護職の二足の草鞋を履いてるのです、不定休なので平日に休みになることが多く、今週も近所の人から『この人無職?』と思われそうなぐらいに平日を自宅で過ごしておりました。いや、無職ではない、書き物仕事があったんですな。で、その仕事がひと段落し、休みができた。とはいえ、出かけるといえば映画館かパトロールと称して古本屋やかリサイクル店のおもちゃを見に行くぐらい。まあ、これも何度も書いてるからご存じかと思いますが。




 そんな休日、見たいけどどうしようか、いやいや迷ってるぐらいなら行っておけ、と京都みなみ会館へ。車で出かけると、枚方を越えたあたりから温度がぐっと下がった感じ。さすがに寒い。着いたら、小雪が舞っていた。世間ではコロナウィルスの影響で京都の観光地に客が来ない、とか言ってたけどみなみ会館のある九条、十条近辺はいつも通りのように見えた。まあ、観光地らしいものが少ないからね。




 さて『気になる映画を見てすっきりしよう』、まず1本目は『野獣処刑人ザ・ブロンソン』である。昨年和製ブロンソンこと佐藤允特集を上映したみなみ会館に今度はジェネリックブロンソンが来る! ポスタービジュアルとタイトルからお察しの通り、主役はチャールズ・ブロンソン……のそっくりさん、ロバート・ブロンジー。だけどタイトルに『ブロンソン』と出る、強気な姿勢。だって、どう見てもブロンソンだから仕方ない。ブロンソンオマージュをブロンソンのそっくりさんで作り上げた奇跡の映画である。冒頭から、悪党がタバコを吸おうとするとそっとマッチを差し出し、続いて重いパンチを食らわせるブロンジー。





 この世のすべてが面倒くさそうな、バカボンのパパに似た顔だけではなく、動きも声もそっくりだ。特にあのしわがれた声は脳内で大塚周夫ボイスで変換されるほどにそっくり。物語は町をさすらうブロンジーが、ヤクの売人や売春組織の人間を問答無用で射殺し、郊外に住む母子家庭にせっせと送金するといういたってシンプルな構成。なぜ送金するのか、なぜ彼らを目の敵にするのか? 答えは徐々に明確になっていく。



 
 とはいえ物語は二の次で、観客は90分弱の間、ブロンジーのそっくり度を確認する作業をするようなものである。ジムのプログラムではなく肉体労働で鍛え上げたようなボディ、ポケットに片手突っ込むしぐさ、ブロンソンだ、ブロンソンが生き返った。そして時折挿入されるおっぱいと大量の血糊。本当にこれ、21世紀の、令和時代の映画かよと思えるほどの80年代テイスト。このままノーカット吹き替えで木曜洋画劇場で流してもいいぐらいの出来栄えである。ブロンソン、それも80年代ブロンソンの佇まいと作風を見事に復活させた快作、といってもいいかもしれない。とはいえ、80年代はヒゲのスーパーマグナム映画よりも筋肉マシンガン映画ばかり追っかけていたので、ブロンソンといえばマンダムだったり『荒野の七人』『ウエスタン』の人だったりするのです。そんなブロンソンうろ覚え世代でもはっきりとこれはブロンソンだとわかる映画。





 昨年末の『男はつらいよ・お帰り寅さん』を見てもやもやしていたのってこういうことなのでは? CGなりそっくりさんなりで『死亡遊戯』的な寅さんが見たかった、それがまさかブロンソンで実現するとは思わなかった。ちなみに『お帰り寅さん』に欠けていた邦画喜劇要素は『嘘八百』で補完した。






 雪山で裏切り者を木に縛り上げ、バーベキューソースをかける悪党。(特に理由はなく、この悪党は裏切りものをいたぶるのが好きなのだ。裏切り者が多いということは人望薄いのでは? 物語の整合性というよりも絵的な問題、クライマックスへの御膳立てなのだ)。『この辺には狼が多いからなあ』と笑う悪党に『すでに来ている』と銃弾をとともにしびれる登場をするブロンジー! 野獣が帰ってきた! デスウィッシュ! 本物よりも髪の毛さらさらだけど、これからももっと映画に出てほしい。ハリウッドも多分ブロンジーを待っているはず。でもたぶんホームセンターの500円DVDコーナーで見かける機会が多くなりそうだけど、それでも頑張れ!





 ザ・ブロンソンで体が温まり、冷え冷えする京都の町をポケット片手に突っ込みながらさまよう。悪党がいれば一撃必殺……いや寒いので誰も外には出ない。ブロンソンはバカボンのパパに似ている、ということでバカボンパパの好物であるニラレバ炒めを食べる。餃子も食べた。二品以上注文するということはこの上ない贅沢なのだ。、それでいいのだ。



 夕食を済ませ、再びみなみ会館へ。『ザ・ブロンソン』と同じく上映終了で、見ようかどうか迷っていた映画『ヘヴィ・トリップ俺たち崖っぷち北欧メタル!』である。そもそも北欧にメタルがあるのか? フィンランドにはレニングラードカウボーイズしかいないのでは? フィンランドの田舎町、幼馴染で編成されたメタルバンドが隣国ノルウェーのフェスに出場するまでを描く。よくある話である、昨日までちっぽけだった存在が努力と励ましで大舞台に挑むお話、音楽物もそうだけどスポーツものでもよく見られる展開である。『ロッキー』も『カリフォルニア・ドールズ』もそうだ。あと、日本の町おこし映画にもありそうだ。この手の映画は、いかにクライマックスで観客に拳を握らせるかがキモになっている、と思う。最後まで乗れるかどうか、歓喜の声を上げ、涙することができるか。北欧にメタルという未知の領域で、このベタともいえる題材にいかに取り組むのか?




 もう、冒頭から心掴まれました。メタラーと思しき長髪革ジャンの青年が、フィンランドの田舎町を自転車立ち漕ぎで走る! 立ち漕ぎですよ。そして街の若者にバカにされても言い返せない小心者。メタラーってアナーキーでバイオレントなのでは? それは舞台上のお話、普段の彼らはちゃんと手に職を持っているまじめな青年たちだったのです。中でも主人公が介護施設で働いてるのがポイント高い。老人介護施設なのか、障害者施設なのか判別しかねるけど、人のために働き、趣味の世界では紙に唾するこの切り替えが大事ですね。しかもこの介護施設での利用者とのやり取りや出会いが伏線にもなってくる。



 北欧の田舎でメタルというギャップの面白さ、よくある『弱小チームが大舞台に挑む』展開のツボを押さえつつもそこはメタラーのアナーキズムで、うまく外してくれる。その外しっぷりが痛快。ここ一番でゲロを吐いてしまう主人公、はぐれ者たちが村の脚光を浴びるも一転、挫折も味わいという展開に、思いがけない出会いと別れ。そして根性決めた珍道中。迎え撃つノルウェーの国境警備デルタフォースは名ばかりで寄せ集めの独立愚連隊、『コマンドー』への愛があふれた場面もあり。タイトル通り、警察に追われて崖っぷち、オタクはオタクが知る、の言葉通り彼らを助けるバイキングごっこの一団。




 追手と協力者、両者が見守るクライマックス、メタルを知らなくても見ている側もテンション上がるのはこれまでの展開が実に巧みだったから。トナカイの血とゲロと糞と暴力にまみれた、いいライブだった。



 映画の中で棺桶が重要な小道具として登場するのだが、これは翌日より上映の『続荒野の用心棒』への重要なブリッジだ、と勝手に解釈した。



 野獣の復活に週末シンフォニックトナカイ粉砕反キリスト戦争推進メタル、確実に見た人間の心に何かを残す2本だった。映画が終わると売店でTシャツを買い求めるお客もちらほらみられた。




 『ゾンビ』『続荒野の用心棒』の予告からブロンソン映画を見るなんて、いつの名画座だ、と思った。そしてマカロニとホラーがやってくる。これもぜひ見たい、いや見る。
 
 
 
 

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プロフィール
HN:
馬場卓也
性別:
非公開
職業:
作家
趣味:
怪獣
自己紹介:
作家。一応作家。
CS放送のシナリオ公募で佳作入選。
『SHUFFLE! アンソロジーノベル』
でデビュー。
『School days 君といる、空』で長編デビュー。(ともにJIVE )

『真田十勇姫!』(ソフトバンクGA文庫)
シリーズほか、チョコチョコと。
ラノベ、ゲームシナリオ等々、何でもやりますのでお仕事お願いします。
 怪獣とかチャンバラが好きやねんけど、女の子率高いなあ。


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