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 作家馬場卓也のおもちゃと怪獣と仕事の三つ巴生活!  男もつらいし、女もつらい。男と女はなおつらい! てな訳でよろしく
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前々回の日記にも書いたのですが、まるで俺が名古屋に来ることを知っていたかのようにブックオフ太閤通り店に置かれていた『シルバー仮面』全6巻。自分へのご褒美、それに旅で気分が高揚していたこともあって一気に購入してしまいました。
 あまりの面白さにずっとツイッターで呟いていたのですが、ブツブツやるより一気に吐き出そうと思いました。よって今回は興味ない人にはぜんぜん面白くない、でも書きたいんだよ! の『シルバー仮面』の事など。

 で、『シルバー仮面』ってなんなのよ? と思われる人も多いはず。
 改めて説明すると――ウィキペディアを見てね、というのも芸のない話――『シルバー仮面』とは昭和46年に放送された、いわゆる『変身ヒーロー番組』の一本。当時は『仮面ライダー』『帰ってきたウルトラマン』『スペクトルマン』と、返信特撮ものが再び流行りだした時期でもあります。そんな中で『シルバー仮面』はかなりの異色作だったといわれています。今まで数本しか見てなかったのですが、今回全話見て、なるほど異色作だわ、と大きく頷いてしまいました。

 何がどう異色か? 変身ヒーローものでしょ?
 そうなのですが。
 もともと円谷プロ(ウルトラマン)にいたスタッフが大挙してこの作品に関わり、同じ事をしても仕方ない、あえてウルトラの裏をやってみようということで立ち上がった企画、らしいのです。

 シルバー仮面。口が出ております。なぜなら、彼は等身大ヒーロー。
そして手前の人物たちは主人公である春日五兄弟。兄弟の次男、光二(柴俊夫)がシルバー仮面に変身します。
そう、主役が兄弟。そして彼らは何をしているのかといえば『逃亡者』。
そのものズバリ『逃亡者』という海外ドラマを参考にしたといわれていますが、彼ら兄弟はあてのない旅を続けているのです。

なぜ逃げるの? それは宇宙人に狙われているから。科学者である父親が作った光子ロケットの秘密を狙って様々な宇宙人がやってくるのです。兄弟もまたそれから逃げ、秘密を探るために旅を続けるのです。光子ロケットが完成すれば地球人は宇宙へ進出する。それが宇宙人には疎ましいのです。いずれ地球人もまた侵略者になるだろう、その前に潰してしまえ、ということです。
 ここでウルトラシリーズ等でよく突っ込まれる『侵略者はなぜ日本を狙うのか?』という問いにきちんと返答しているのです。
 第二話のサブタイトル『地球人は宇宙の敵』がそれを顕著に表しています。

 毎回春日兄弟は父親の旧知の科学者を訪ね、ロケットの秘密を調べてもらうのですが、そこに侵略者が来る。宇宙人を呼び寄せた張本人でもある春日兄弟は厄介者扱いとなり、再びさすらう、大体このパターンが続きます。
 そしてシルバー仮面。一応超人ではあるのですが、彼はウルトラマンのような『事件の解決役』でなく『事件解決へ導く進行役』でしかないのです。必殺技も持たず、農村を、商店街を宇宙人と追いかけっこの末に殴り、蹴り、組み合い、最後には兄弟のサポート、もしくは敵の誤爆、事故で倒します。
 崖から蹴り落したり、自動車に乗った宇宙人が激突死したり、敵の爆弾を投げ返したり……。
 そのルックスにふさわしく、戦い方も地味です。
 墓地で戦ったときは卒塔婆でぶん殴ってました。
 誰にも感謝されない戦いを続け、石持て追われ、安息の場所もなく、兄弟はさすらいます。
ロケも都会より農村が多く、それがかえってその地に立つ宇宙人の異質感を表現していると思うのですが、シュールすぎます。
ヒーロー番組でありながら、ヒーロらしからぬ番組。
だってオープニングがこれ。

 仮面どこ?
 決まったタイトルバックがなく、毎回、本編映像に主題歌を流すという手法もまた異色。ちなみにこのあと、野辺送りの行列は宇宙人に化けたにせ春日兄弟に機関銃で蜂の巣にされます。
 春日兄弟にあらぬ罪を着せお尋ね者にして追い込む宇宙人の作戦ですが、無事疑いが晴れるものの、宇宙人という想定外の真犯人を前に警察側はこれを『なかったこと』にしてしまいます。国家権力からも見放される主人公。

 それと同時に、視聴者からも見放された。
 やはり地味すぎる、とのことで10話で路線変更(てこ入れ)。
 シルバー仮面も巨大化し、従来の変身ヒーロものっぽく……なってません。
 確かに春日兄弟は念願の光子ロケットを建造し、津山博士という強力なバックアップを得て、作品自体も明るくなりました。
 さすらいの旅から、津山博士の研究所勤務&住居も確定、等身大編の怪奇ムード漂わせるデザインから怪獣然とした(少々造形がアレな感じになった)宇宙人との数回にわたる戦闘、ジャイアント化してからの多彩な必殺武器など、明るく派手になり子供への関心を高めることに成功したように見えます。が、路線変更後も人間ドラマに重点を置き、『宇宙人と地球人の対立』を主軸にしております。
 地球人が研究目的でキュリー星を訪れるも好き勝手した挙句、現地人を皆殺しにする話(ここでは地球人が侵略者であり、今までの宇宙人の主張が半ば正しかったことを証明する!)や、実験で化け物になった宇宙飛行士の話(ジャミラみたい)、星人の放った核ミサイルで両親を殺され、シルバー仮面こと光二にビンタを浴びせる小学生の話など、どこか重く、そして暗い。そして巨大でも、星人たちは執拗に春日兄弟の光子ロケットを狙ってくる。

 暗いといえば全編通してセットの照明が足りなかったせいか、意図的なのか、夜間シーンはとことん暗く、それゆえに爆破や火災シーンの炎がよく映えるのが印象的。

 予算といえば、等身大編の代表的宇宙人、チグリス星人。 猫科の生き物のような面構えに触手状の両手がまるで海洋生物のようで不気味であるが、シャープな印象。背中のこぶ状突起から、ハイエナのようにも見える。
 

 巨大編で、二週にわたり、シルバー仮面を苦しめたモーク星人。 ぼってりと、まるでアトラクション用着ぐるみのような印象。巨大編になって宇宙人の造形が少々アレになったのは、これまた予算のせいだったのだろうか?
 この造形の落差を考えると、もしかしたら、シルバーはもともと巨大化を見越して作られたのではないか? と思えてしまう。実は等身大編の宇宙人は春日博士が子供たちに試練を与えるために作られた『シルバー仮面予備軍』ではないか? と妄想。真の敵は巨大化してやってくる侵略者たちだったとか。だとすれば、巨大星人のくたくた感も納得できる。でもそんなわけはないでしょうが。

 最終回、ようやく友好的な宇宙人と巡りあえた春日兄弟は彼女の遺児を送り届けるべく宇宙へと旅立つ。やっと戦うことを止め、宇宙平和への第一歩を踏むことができたのだ。
 てこ入れしつつもそれでもテーマを貫き通した(と思う)シルバー仮面は今見ても、十分に異色である。ウルトラとはまた違う手触りだ。

 それからしばらくしてほぼ同じスタッフで、今度は『アイアンキング』というこれまた異色なヒーローが作られる。
 主役は変身せず、制限時間1分の巨大ヒーローはあくまでも脇役。そして敵はテロリストや、現体制を打ち砕こうとする日本先住民。

『何しに行くの?』と訪ねられ『戦争してきます』とさわやかに答える主人公。やっぱり異色だ。

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プロフィール
HN:
馬場卓也
性別:
非公開
職業:
作家
趣味:
怪獣
自己紹介:
作家。一応作家。
CS放送のシナリオ公募で佳作入選。
『SHUFFLE! アンソロジーノベル』
でデビュー。
『School days 君といる、空』で長編デビュー。(ともにJIVE )

『真田十勇姫!』(ソフトバンクGA文庫)
シリーズほか、チョコチョコと。
ラノベ、ゲームシナリオ等々、何でもやりますのでお仕事お願いします。
 怪獣とかチャンバラが好きやねんけど、女の子率高いなあ。


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