忍者ブログ
 作家馬場卓也のおもちゃと怪獣と仕事の三つ巴生活!  男もつらいし、女もつらい。男と女はなおつらい! てな訳でよろしく
[758] [757] [756] [755] [754] [753] [752] [751] [750] [749] [748]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



 先日のこと。アメコミ映画はもれなく見たい次男と『ブラックパンサー』を見る。『キャプテンアメリカ・シビルウォー』で初登場したアフリカの黒いヒーロー。お話のメインは『シビルウォー』の後らしい。未知の金属ヴィブラニウムによって驚異的な技術の躍進があるものの、鎖国状態と巧みなカモフラージュでひっそりと繁栄してきたワカンダの国王、ティチャカが黒いスーツを身にまとい、国の脅威と戦う物語。呪術と科学の融合という視点は面白く、ブラックパンサーの活躍も見ていて心地いい。信用していたものが裏切り、反目関係だった人間が心強い味方になるなど、ツボを押さえた構成も悪くない。敵であるキルモンガーが同じスーツを着ているのが残念。もっと差別化してほしかったなとは思うけど、あの物語の中に組み込むのはちょっと難しいなと思ったり。ネットでは大評判、という事らしいがそれはあくまでも他人の意見であり、自分としては『楽しいアメコミ映画』だった、という以上にはなかった。つまらないわけではない、評判を鵜呑みにして期待するといけないな、ということ。何よりも途中でうとうとしてしまった、という自分が悪い。ワカンダの技術があれば、もう宇宙の敵なんかメじゃないのでは? と思ったり。車の屋根に乗ってカーチェイスするブラックパンサーに、専用バイクにまたがらない宇宙刑事ギャバンの姿を見た。

 続いてその夜、京都みなみ会館へ。フィンランドの監督アキ・カウリスマキのオールナイトへ。何度目だみなみ会館。しかし、いよいよ今月まで一時閉館である。見たいものがあれば、時間と金と相談して、できるだけ見ておきたい。それに、普通にオールナイトに参加できるのもこれで最後だと思ったからだ。昨年の大みそかに『ルアーブルの靴磨き』を見て、久々にカウリスマキ作品に触れたので、これは見ておきたいと思った。上映作品は『パラダイスの夕暮れ』『レニングラードカウボーイズ・ゴーアメリカ』『コントラクト・キラー』『街のあかり』の4本。カウリスマキ映画はどれも短いので一晩に四本上映することも可能なのだ。劇場はほぼ満員。これも閉館効果なのだろうか。

 『パラダイスの夕暮れ』は清掃員が元スーパーの店員と出会い、一度は別れるものの、最終的に手を取って、旅立つまでを淡々と描く作品。孤独な男女、酒、たばこ、ライブ、犬、青を基調とした画面に映える原色の建築物と、すでに以降の作品に繋がるフォーマットが完成しつつある。『レニングラードカウボーイズ・ゴーアメリカ』はその珍妙なルックスで公開当時話題になった作品。バカ映画というカテゴリーでくくられるものの、これもまたアメリカにやってきたフィンランド人という異邦人の姿を描くことでテーマは一貫している。ニューヨークからメキシコへ、飢えと傲慢なマネージャーと戦いながら演奏するカウボーイズ。『コントラクトキラー』ではイギリスを舞台にフランス人であるためにリストラされた男が、自分の殺害を殺し屋に依頼するものの、花売りの女性と知り合ったのがきっかけで、再び生きることを決意する。一方殺し屋はガンで余命いくばくもなく……というシニカルな喜劇。カウリスマキ映画では権力者は徹底的に嫌な奴として描かれ、その下で働く者たちには優しい。ブツンと切れるものの、ハッピーエンドを匂わせるエンディングがいい。『街のあかり』もまた異邦人のお話。警備会社のロシア人が強盗に目をつけられ……2006年の作品で、21世紀に入っても男はつつましい生活を送り、ふとしたきっかけで女性と知り合う。しかし、今回は今までもセルフパロディのようにすべてが裏切られてしまう。珍しくささやかな逆転もなく、逃避行もない。しかし、最後にそっと希望を持たせるエンディング。青く冷たい画面の中で、ほんのり温かくなった瞬間。声高に人間賛歌をするでもなく感動的なシーンがあるわけでもない、酒を飲み、煙草を吸って働くだけだけど、それをほんの少し面白おかしく淡々と描いている、カウリスマキのそんな作風がなんだか心地いいのだ、ということを再確認した夜だった。もう年齢的にハリウッド大作は受け付けない体になってしまったのかな、と思ったりもした。とはいえ、次回、ついに今のみなみ会館では最後のウルトラ大全集。またまた京都へ。今月はあと何回行くんだろうか。






拍手[1回]

PR

コメント


コメントフォーム
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード
  Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字


忍者ブログ [PR]
カウンター
プロフィール
HN:
馬場卓也
性別:
非公開
職業:
作家
趣味:
怪獣
自己紹介:
作家。一応作家。
CS放送のシナリオ公募で佳作入選。
『SHUFFLE! アンソロジーノベル』
でデビュー。
『School days 君といる、空』で長編デビュー。(ともにJIVE )

『真田十勇姫!』(ソフトバンクGA文庫)
シリーズほか、チョコチョコと。
ラノベ、ゲームシナリオ等々、何でもやりますのでお仕事お願いします。
 怪獣とかチャンバラが好きやねんけど、女の子率高いなあ。


カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
最新TB
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析