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 作家馬場卓也のおもちゃと怪獣と仕事の三つ巴生活!  男もつらいし、女もつらい。男と女はなおつらい! てな訳でよろしく
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 人、というか男、それもごく一部の頭の悪い男はなぜか特訓シーンに憧れる。主人公が特訓に特訓に重ねて勝負に打ち勝つ、そのカタルシスも自分も体験したいと思うのだろうか。そして、この広い世界には少なからず『特訓映画』というジャンルが存在する。その筆頭がジャッキーチェンの初期作品と『ロッキー』シリーズだと思う。ひょっとしたらそれしかないかもしれない。いや『ベスト・キッド』もあるさ。




 
 そんな特訓映画の系譜である『クリード・炎の宿敵』を見てきた。ロッキーのライバルアポロの息子、アドニスを主人公に据えた『ロッキー』スピンオフの二作目で、しっかり『ロッキー』の精神も受け継いでいる。とはいえ、劇場で『ロッキー』を見るのは中学生の時『ロッキー4』以来ではないか? あれ以降、なんとなくスルーして、ビデオで見たクチである。『クリード』の前作も、『ロッキ-だけどロッキーじゃないしな』と思い、スルーしてしまった。今、それを激しく後悔している。




 今回はその『ロッキー4』に登場したソ連のボクサー、ドラゴの息子がアドニスとロッキーに挑戦するという、いわば『ロッキーと戦った男の息子が、ロッキーと戦った男の息子と戦う』というややこしいもの。アドニスにしてみれば、自分の父を殺した男の息子と勝負するわけだ。愛人の子で顔も見たこともない父の仇打ち? そこはうまく処理されている。仇打ちではなく、自分の居場所を見つけるために戦うのだ。



 かつて父もその座に就いた世界ヘビー級チャンピオンになり、結婚、出産と人生順調のアドニス。しかしその頃、ロシアではかつてロッキーに敗れて以来負け犬のレッテルを張られ、妻にも逃げられ細々と暮らしていたドラゴ親子が、復讐のチャンスをうかがっていた。




 今回はアドニスの成長物語であり、ドラゴ親子の物語でもある。『クリード・チャンプを継ぐもの』の続編であると同時に『ロッキー4炎の友情』の続編でもあるのだ。ややこしい。


 この先、多分内容に触れます。




 物語はスポーツ映画の王道ともいうべき、『敗退→復帰→特訓→勝利』のラインに沿って進んで行く。反則勝ちとはいえ、ドラゴの息子ヴィクターにボコボコにされ病院送りになるアドニス。妻の出産を経て、今再び自分というものを見つめ直す。それにはヴィクターとの再戦しかない! 一度は仲違いしたロッキーをコーチに迎え、ニューメキシコの『ボクサー虎の穴』で猛特訓。いつの時代になっても特訓シーンは燃えるものがある。それが突飛なものであればあるほど、人は、男は真似したくなる。時代が変わってもそれは一緒。でもしんどいのはいやだから、代わりに走ってくれ、アドニス! 
そして、アドニス初め、ロッキーのチームは敵地ロシアへ……。 




 アドニスの苦労はよくわかる。生まれてきた娘(難聴かもしれないという不安)のため、妻のため、なによりも自分のために再び立ち上がる様子が丁寧に描かれている。でもいくら哀しみのブロックを積み上げても、お金持ちのボンボンじゃない。




 ボクサーにはハングリー精神が必要、とはよく言われているが、今回はドラゴ親子の方がよほどハングリーなので、そっちに感情移入してしまう。普段は肉体労働に従事し、夜はボクシングで実績を上げていくヴィクター。国にも、妻にも見捨てられた親子が取るべき道はロッキーとその弟子への復讐しかなかった。




 ドラゴ父を演じるドルフ・ラングレンの枯れ切った顔にその30年間の苦労の様子が現れる。時に息子を叱咤し、時に褒めて一流のボクサーに仕立て上げる。二人とも口数が少ない。だからクライマックス、劣勢に立った息子にタオルを投げて『もういいんだ』と声を掛ける姿にグッとくる。かつて、ロッキーはタオルを投げなかったために、親友アポロを死なせてしまった。それを踏まえての結末だったのだろう。ソ連のボクシングサイボーグと言われたドラゴも血の通った人間であり、父親なのだ。しかし、元ヨメ(ブリジット・ニールセンがまさかの再登場。ドラゴを捨てて政府高官の嫁に。彼女こそロッキー以上にドラゴを奮い立たせる存在だったのではないか)が見守る前でのドラゴの表情はとても苦しそうだった。『ロッキーとその弟子を倒して元嫁をぎゃふんといわせてやりたいぜ! でも、もうどうにもならないんだよなぁ』という苦渋に満ちた顔。その元ヨメが、さっと会場からいなくなってようやく人間らしく、父親らしく息子に接するドラゴ父。ここでウルっと来てしまう。




 アポロの息子の更なる飛躍を見にきたつもりが、思いがけず敵役であるドラゴ親子に感動してしまった。もう、次回からはドラゴ親子の映画でいいよ! とさえ思ってしまう。ドラゴはあれから相当苦労した。でもロッキーだって散々な目に遭ってきた、というのは『ロッキー5』で描かれてるけど『ロッキーザファイナル』を作って以降、この映画なかったことになってるんですな、残念。それと、いつの間にかロッキーのろくでなしの義兄、ポーリーが死んでいたことに驚いた。




 

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プロフィール
HN:
馬場卓也
性別:
非公開
職業:
作家
趣味:
怪獣
自己紹介:
作家。一応作家。
CS放送のシナリオ公募で佳作入選。
『SHUFFLE! アンソロジーノベル』
でデビュー。
『School days 君といる、空』で長編デビュー。(ともにJIVE )

『真田十勇姫!』(ソフトバンクGA文庫)
シリーズほか、チョコチョコと。
ラノベ、ゲームシナリオ等々、何でもやりますのでお仕事お願いします。
 怪獣とかチャンバラが好きやねんけど、女の子率高いなあ。


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