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 作家馬場卓也のおもちゃと怪獣と仕事の三つ巴生活!  男もつらいし、女もつらい。男と女はなおつらい! てな訳でよろしく
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 今日は久々の寒の戻りで寒くなるとのこと。じゃあ、寒い場所が舞台の『ヘイトフルエイト』でも見に行こうと思った次第。まあ、ファーストデーだったし、タランティーノの新作だし。その割にはあまり話題に上らない。



 南北戦争後のアメリカ、吹雪舞う一軒の商家に集まる、訳アリの男女8人。吹雪がやむまでシチュー喰ったりだらだら喋ってりゃいいものを、やはり、事件は起こってしまう。
 『ジャンゴ』に続く西部劇。全員ウソつきの密室ミステリー、なんて宣伝では謳ってたけど、一番の嘘つきはこの宣伝だろう。だってタランティーノ映画ですよ、どこに物語が転がるか分からない危ういお話ばかり。今回もミステリーで終わるかどうか、である。



 タランティーノ映画はいい感じに期待を裏切ってくれる。期待しちゃいけない映画監督。だから、気になる。勧善懲悪ならぬ勧悪懲悪な作品だらけである。誰がどこで果てようが、生き延びようがお構いなし。毎回『思ってたんと違う!』と思ってしまう。だけど、そこがタランティーノなんだと思う。



 70ミリで撮られた大作ウェスタンであり、ミステリー。と見せかけて実はいつものようにだらだら喋って、ドバドバ血が流れる。上映時間がドンドン長くなるのは、おしゃべりが長いからだ。



 だから、見ている方も逆に安心できる。いい奴なんていないから、どう転がってもいい。もう好きにしてくれ、という感じである。


 吹雪舞う雪山をとらえたショットは見事であり、雪山とウェスタンというだけで『殺しが静かにやって来る』を思い出す。でも、そんな連想はもう陳腐なものなのかもしれない。どっしりと、時代考証をきちんと踏まえて大ぼらを吹く作風には、かつての引用しまくる元ビデオ店員の面影はない。じゃあ何が残ったかといえば、いつものごとくだらだら続く会話である。


 音楽はエンニオ・モリコーネ。珍しくオリジナル曲を多用。マカロニ風な、サスペンス風なドスのきいたサウンドを聞かせてくれる。これって怪獣マニアが映画監督になって、伊福部音楽を使いたがるのと根本的に変わらない。


 しかし、ウェスタンである出てくる重機、意匠が見事。ブーツが床板を踏むギシ、ギシという音、拍車のカラカラ回る音、コルトをテーブルにゴトン、と置く音。それだけでもああ、西部劇なんだなあ、と思ってしまう。 



 もちろんドンパチもあるけど、いつも通りにアクションに凝らない。大事なのはその後の死体描写だったりする。R18指定を受けたのも、血まみれ描写が多いことからだろうか。



 誰が敵で誰が味方かわからない状況の中、お、と思ったりする部分もあり。ただだらだら喋ってるだけではないんだな、と思わせる。でもミステリーじゃない。



 規模が大きかろうが小さかろうが、過去だろうが未来だろうが、どこで何を撮ってもタランティーノはいつも通りタランティーノだった。それを再確認できるような映画だった。



 

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プロフィール
HN:
馬場卓也
性別:
非公開
職業:
作家
趣味:
怪獣
自己紹介:
作家。一応作家。
CS放送のシナリオ公募で佳作入選。
『SHUFFLE! アンソロジーノベル』
でデビュー。
『School days 君といる、空』で長編デビュー。(ともにJIVE )

『真田十勇姫!』(ソフトバンクGA文庫)
シリーズほか、チョコチョコと。
ラノベ、ゲームシナリオ等々、何でもやりますのでお仕事お願いします。
 怪獣とかチャンバラが好きやねんけど、女の子率高いなあ。


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