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 作家馬場卓也のおもちゃと怪獣と仕事の三つ巴生活!  男もつらいし、女もつらい。男と女はなおつらい! てな訳でよろしく
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好きなんだけどー♪という歌が昔あった。好きさ好きよ、好きなんだよ、好きなんだけど、なぜか心の中は凪いだ海のようだ。なぜなんだ? あれがアニメというだけでテンションがダダ下がっているのか? そんなことはない『ザ・ウルトラマン』も『ウルトラマンUSA』も楽しんだじゃないか。じゃあなぜだ? それはたぶん、アニメのウルトラマンが『アニメという実写とはまた違った表現手法を用いてもその根っこにあるのはみんなの知ってるウルトラマン』だったからではないのか? アニメで、みんなの知らないものを見せるというのは大変な冒険だと思う。作り手側のその心意気にこちらが戸惑っており、好きか嫌いか、あるいはそのどちらもないか、判断に困っているのか? 一本の映画を見るのに、そんなことまで考えないといけないのか、理由をつけて自分を正当化させいたのか? あれはちょっとした踏み絵のようなものなのか? そんなことを考えつつも結局クリアファイル付き前売りを買い、初日に見にいってしまうアニメ版ゴジラ。斬新な切り口で賛否両論を巻き起こした前作から約半年、その第二弾がやってきた。

 正直前作はあまり載れなかった。ブルーレイを買うほど気持ちが乗ってこない。それは上記の理由だからだろうか? いや、単純にゴジラが暴れ足りなかったり、登場人物に感情移入できなかったからかもしれない。でもまだ3部作の一本目、序章的なものだろうと思い、納得した。そして今回の第二弾『GODZILLA 決戦起動増殖都市』のメインビジュアルには『どれが頭なの?』と思わせてくれる、メカゴジラが大きく載っており、いやでも期待値は上がる、はず。でも期待値が上がらない、でも初日に行く、ゴジラだから、ゴジラ映画の新作だからという怪獣好きの悲しき性。

以下、内容に触れてます。



 前作の、やっとゴジラを倒したと思ったら、そいつはただの小物で、小山のような本物の? のゴジラ・アースが登場、熱線ですべてを焼き払うという絶望的なラストからの続き。あれから一体どうなるのか? 主人公ハルオをはじめとする移民団は再び地球をゴジラの手から奪い返すことができるのか、そんなに無理しなくても月に移住した方がいいんじゃないのか? そして今回、なんとか一命をとりとめたハルオは何者かによって介抱される。巨大な卵を崇拝する種族フツアの少女だ。地球の人類はまだ滅んでなかった? なんとか母船と連絡を撮り、帰還できるようになったものの、かつて対G兵器に用いられたナノメタル、そしてそれを用いたメカゴジラが健在だと知るや『今度は勝てる!』と再びゴジラ掃討作戦へ。かつての怪獣戦争で起動せずに破壊されたメカゴジラは果たして今回……? 

 『オシシ仮面』だった。『ドラえもん』に登場する人気漫画『ライオン仮面』がピンチにあうとやってくる助っ人であるが、彼も捕らえられ、次回彼のイトコのオカメ仮面がやってくるという、ピンチの無限ループのような作品である。それを思い出した。絶望的なラストで終わった前作の続きも、絶望的に終わった。主人公の絶叫で幕を閉じるが、叫びたいのは見ている側も一緒だった。かもしれない。 

 メカゴジラは地下に潜伏し、ナノメタルをため込んで、超近代的な都市を構築していた。これを応用すればゴジラが300メートルあろうが勝てる、名付けてメカゴジラタウンである。小さかろうが多き過労が弱点は一緒だ、という理屈は分かる。ゴジラをメカゴジラタウンにおびき寄せて、そこで一気に攻撃を仕掛ける。弱点は分かっているので余計な攻撃はしなくてもいい。そうだ、その鳥だ。でもそれって前作をスケールアップしただけにはならないか? そしてそこに至るドラマが長かった。主人公とヒロイン、フツア、その他のキャラとの絡み。いやそれは大事だ。でもこっちは夜勤明けで、気を許すと睡魔が襲ってくるのだ。作戦は分かった、早くゴジラを出してくれ! そしてメカゴジラは……? 出てるじゃん、街になって。いや、そうじゃなくて、ポスタービジュアルに出てくるメカゴジラがゴジラと戦うんでしょ。山間の研究施設、人も取り込み増殖する金属という設定に漫画版『ゲッターロボ號』が頭をよぎる。ゲッターいやメカゴジラに取り込まれた主人公たちが、ゴジラを飲み込むほどに巨大化する……すごそうだ。いやもしくはゴジラ誘導用のロボットバルチャー三体が合体しメカキングギドラになってもいい。ゴジラの背面にに杭を打つ作戦は前にも見たから、それぐらいのひねりは欲しい。ギリギリまでそう思っていた。でもそうはならなかった。メカゴジラは登場せず、あと一歩のところでハルオはヒロインを助けるために、ナノメタルの増殖を食い止める。その背後で、さんざん攻撃を受けまくったゴジラがブチ切れていた。

 こちらの想像以上、いや想像の斜め上を行く展開だった。散々存在を匂わせたフツアの守護神はどう考えてもモスラなんだが、それすらも出ない。しかし、タイトルは『決戦起動増殖都市』なのだ。間違ったことはやってない。こっちが勝手に『モスラとメカゴジラが出るかも』と思っていたのだ。いや、宣伝側も『ゴジラ対メカゴジラ』と謳っているところもあったし、今年はレディプレイヤー1に続いてメカゴジラの登場する映画がもう一本! と浮かれている人たちになんて説明すればいいんだ。メカゴジラは頭部以外でない、でも売店に行けば登場しないメカゴジラのグッズも売っていた、出ないのに。アニメ版メカゴジラは『いるけどいない』幻の怪獣になってしまった。UMAか。でもその代わりに街になった。あまりうれしくないけど、その存在はアピールしていた。でもメカゴジラが動くシーンなんてない。出てないから。

 とんち名人の吉四六さんの昔話にこんなのがあった。籠にキジを乗せ『カラス売ります』と書いたのぼりを持った吉四六さんが街を歩くと、それを見ていたとある町民が『あいつバカだな、キジなのにカラスと書いてる、こりゃ得したぜ』とカラスを買おうとする。すると吉四六さんは『まいどー』と、籠の底に入れていたカラスを町民に渡す。激怒した町民に吉四六さんは『だってカラス売りますって書いてるじゃないですか』と答えると、町民はぐうの音も出なかった。

 今回の映画を見終わり、そんな昔話をも思いだした。確かに『決戦起動増殖都市』は登場した。でもメカゴジラは出なかった。ポスターのどこにもメカゴジラが出ますとは書いてないからだ。あの防衛都市をメカゴジラと認識しないといけないのだ。そう思えば、確かにゴジラ対メカゴジラでもあった。でも、でもあのポスターのメカゴジラが見たかったというのが正直な気持ちである。

 作り手はゴジラという材料を使い、思い切り従来のゴジラからかけ離れた作品作りに真面目に取り組んでいると思う。真面目なのだ、弱点を設定してるなら、余計なことをせず今回も同じことをやればいい。確かに、そうだ。でも……。真面目であるがゆえに、面白い試みがたくさんある。初見ではつまずいたかもしれないけど、二度三度と見ていくうちに、その面白さがじわじわ来るのではないか、と思う。でも……。たぶん次回登場するキングギドラもひょっとしたら観念的なものになるかもしれない。そうなので、良くも悪くも寸止め感が強いシリーズなのだ。意外性に驚き、複雑な感情になりつつもこういうものなのだ、と腹をくくって次を待ちたいと思う。でも……。このはじけなさっぷりは次回にも反映されるのかな。

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プロフィール
HN:
馬場卓也
性別:
非公開
職業:
作家
趣味:
怪獣
自己紹介:
作家。一応作家。
CS放送のシナリオ公募で佳作入選。
『SHUFFLE! アンソロジーノベル』
でデビュー。
『School days 君といる、空』で長編デビュー。(ともにJIVE )

『真田十勇姫!』(ソフトバンクGA文庫)
シリーズほか、チョコチョコと。
ラノベ、ゲームシナリオ等々、何でもやりますのでお仕事お願いします。
 怪獣とかチャンバラが好きやねんけど、女の子率高いなあ。


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