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 作家馬場卓也のおもちゃと怪獣と仕事の三つ巴生活!  男もつらいし、女もつらい。男と女はなおつらい! てな訳でよろしく
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 年末年始は同じような番組ばかりやってるし、番宣のための再放送というよくわからないことやってるし、見なくていいなら見ない、でもつい見てしまう。ならば、と先日の京都怪獣映画祭ナイトから一夜明け、再び京都へ。



 いつもだったら怪獣ナイトが終わると京都みなみ会館は正月まで休館するのだが、今年は3月の一時休館に向け、できるだけ様々なイベントを用意しているとのこと。その一つが大みそかの年越し上映会だった。上映作品はアキ・カウリスマキ監督『ル・アーヴルの靴みがき』。ちゃんとタイトルも覚えてはいなかったが、久しぶりのアキ監督という事で見てみようと思った。学生時代はヨーロッパ映画の新しい波が来ていた、ベネックスとかカラックスとか。いきがってそのあたりもかじってみたけど、よくわからなかった。でも『レニングラード・カウボーイズ』はバカみたいで好きだった。バカみたい、じゃない、バカなのだ。バカという表現が不適切ならどこか間が抜けてる映画である。アキ・カウリスマキはフィンランドの監督で、兄のミカと、映画館を経営しながら映画を作ってるという事だった。その間が抜けた作風が気に入って『マッチ工場の少女』『ラヴィドボエーム』等も見た。 派手さはない、つつましやかに生きてる人間のどこかおかしい人生を描いていた。
   
久々に見るカウリスマキ映画は、学生時代に見たあの映画たちは変わってはいなかった。フランスのル・アヴ―ルで靴磨きをする男、マルセルの姿を描く、ただそれだけ。淡々と、仲間と一緒に働き、妻を愛し、飲んでタバコ吸って、犬と散歩し、買い物をするマルセル。しかし妻の入院に、密航者の少年が転がり込んでくるところから、その生活が変わってくる。実は余命いくばくもないが、真実を告げられないまま妻を見舞い、少年のためにロンドンへの密航を助けるマルセル。そんな彼をつけ狙う警視。しかし、どれも淡々と物語は進んでいく。




 突き放したような余白のある画面作り、赤や青の原色を使った、冷たいけど、どこかぬくもりが感じられる配色は学生時代に見たカウリスマキ映画そのままだった。少年をかくまい、マルセルを助ける近所の人たち、冷徹そうでいて、人情にほだされる警視、悪人のいない、どこか抜けた人間たちの集まり。そんな人間たちにただ寄りそっている犬のライカ。ホッとするラストの展開も劇的に盛り上がることもなく至って淡々としている。でも、そこがいい。大みそかに、この映画をチョイスしてくれたみなみ会館様に感謝。


 
 映画が終わると、館長からの新年のあいさつに、入場者全員にお年玉が配られた。中身は五円玉。これからもご縁があるように、という意味かもしれないけど、これまでもこの映画館でたくさんの出会いやご縁に恵まれました。どうにもならん人間が、ただ映画を見に来ただけなのに、いつの間にか人前で司会をしている、そんなこと、4年前には想像もしてませんでした。3月まで、できるだけこの映画館には通いたい。
 年が明けて、それでも初詣で慌ただしい京都の街に、きれいな満月が出ていました。
 
 
 

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プロフィール
HN:
馬場卓也
性別:
非公開
職業:
作家
趣味:
怪獣
自己紹介:
作家。一応作家。
CS放送のシナリオ公募で佳作入選。
『SHUFFLE! アンソロジーノベル』
でデビュー。
『School days 君といる、空』で長編デビュー。(ともにJIVE )

『真田十勇姫!』(ソフトバンクGA文庫)
シリーズほか、チョコチョコと。
ラノベ、ゲームシナリオ等々、何でもやりますのでお仕事お願いします。
 怪獣とかチャンバラが好きやねんけど、女の子率高いなあ。


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