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 作家馬場卓也のおもちゃと怪獣と仕事の三つ巴生活!  男もつらいし、女もつらい。男と女はなおつらい! てな訳でよろしく
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 今回の超大怪獣2020は『大怪獣バラン』『獣人雪男』の山の怪獣譚2本立て。と、前振りもなく本文から入ってみるパターン。今回は超大怪獣の前に年末のオールナイトで上映を博した『狭霧の國』ロードショーがあり、佐藤大介監督に造形の村瀬継蔵さんのサイン会&舞台挨拶もあり。早めに京都について、いつものようにブックオフとつるかめ書房を物色。グランセイザー絵本と『華麗なる対決』パンフを購入。『華麗なる~』はまだ見ぬフレンチウエスタン。ヒロイン同士がひたすらどつきあうらしい。




 サイン会は『狭霧の國』上映前に開催。サイン会用に作られた村瀬さんポスター、サングラスに隠し味があるのだ。

 
 『狭霧の國』上映後の舞台挨拶。今回は上映中の映画ということもあり、トーク内容はどんどん拡散していくという、いつものとは逆のパターン。佐藤監督がなぜ制作へ至ったか、人形特撮『サンダーバード』の国イギリスへ渡った佐藤監督が人形怪獣映画を作るのも何かの縁か。怪獣映画の中のリアルさ、を思い求めて人形劇にした、という話も興味深い。監督は怪獣ネブラの頭部をもって登壇。土砂や流木が堆積された表面、日本の怪獣はなぜか表面がつるつるして奇麗という疑問に対してのアンサーらしい。キンゴジの尻尾、とげゲルゲの背面、そして実現できなかったものの、チタノザウルスの頚部構造を兼ね備えたネブラは村瀬造形の集大成といった怪獣。バランの表皮を落花生の殻、トゲトゲをビニールホースで表現、村瀬さんのお話に出てくる『オヤジさん』が円谷英二監督のことで、ああ今歴史の生き証人とお話してるんだと思うとなんだかぞくぞくしてきました。

 ビニールホースのトゲトゲはのちに『小さき勇者たちガメラ』のジーダスでも再使用、と佐藤監督。ちなみにウルトラマンAのベロクロンのヒダヒダもビニールホースとのこと。バキシムはでかすぎて攻防の壁を壊して搬出したとか。本編でも空を割って登場したけど、リアルでも壁を壊してた!
 
 そして『大怪獣バラン』『獣人雪男』上映へ。バランは後半からこっそりのぞく。東京進出を夢見るのは地方の芸人も、怪獣も同じこと。海底に眠るバランに機雷攻撃を浴びせる自衛隊。バランはそれでも倒れず羽田空港へのクライマックスへ。徹底した人間VS怪獣の攻防戦。バランはただ静かに暮らしていたかったのに、人間が、文明がそれを妨げた。鬼面の竜というべき荒ぶる神も、人類の英知には勝てなかった……と思うんだけど、あのラストでは完全に死んだとも言い切れない。流用フィルムが多いのは、もともとアメリカのテレビシリーズとして注文されていたからかな。
 『獣人雪男』も同じことで、バランよりも密接に地元民と平和に共生していたはずなのに、そこを文明人が余計なことをしたから……。日本にもまだ秘境があったといわれる時代、サンカや山の民の伝承にヒマラヤの雪男というタイムリーな話題をくっつけ、香山滋の太鼓へのロマンを振りかけた作品。怪物(神)の怒りの矛先はいつも手近にある集落で、文明人は『ひどい目に遭った』と都会に戻れるからいい気なものですよ。ゴジラ、アンギラスに続く東宝第三の怪獣、このまま埋もれさせるには惜しい作品です。
 舞台挨拶も上映も無事終わり、本当だったら翌日の仕事に備えて帰宅するところなんですが、きゅきょ決まったセルジオ・コルブッチオールナイトのため、そのままみなみ会館に居残ることに。『続荒野の用心棒』公開に合わせて東京では一日限定でコルブッチ作品の特集上映が組まれた。それを聞いて『いいなあ、こっちでもやってくれないかな』と思っていたらまさかのオールナイト。上映前の館長のお話によれば、東京から『やらへん?』との打診があったとのこと。



 本来なら全部『T-34レジェンドオブウォー』だらけという気の狂ったオールナイトがあったところに、マカロニを裏にぶち込む、誠に狂ったプログラムが組まれることになった。




これも新生みなみ会館が3スクリーンになったからこそできる技、マカロニの魅力を理解してくれたみなみ会館と館長にも感謝。これで毎週マカロニを劇場で見るという幸せな状況が続くのでした。





 今回上映するのは『豹/ジャガー』『殺しが静かにやってくる』に『続荒野の用心棒』の3本。所々気を失いながらも見る。



 『豹/ジャガー』はメキシコ革命を舞台に武器商人と革命家の呉越同舟を描く活劇。メキシコ革命だし、飛行機や自動車が登場しているころだから純粋なウエスタンではない、でも派手だからいいのだ。金で結んだ関係がいつしか友情に変わっていく、そんなマカロニ浪花節。回想形式で物語が進んでいき、ラストへとつながっていく構成。しかし、マカロニでは派手さ重視のためか、善悪の判別がしにくい混沌とした情勢だったからか、メキシコ革命が舞台になることが多い。メキシコ革命で男二人の友情物語といえば後に『夕陽のギャングたち』でもレオーネが取り上げるネタでもあるけど、コルブッチのほうが早かった。歴史には疎いので要調査だけど、メキシコ革命っていつまで続いていたたのか? サントラはご陽気なバカロフとドスのきいたモリコーネの両方が楽しめる。



『殺しが静かにやってくる』は勧善懲悪ならぬ勧悪懲悪がまかり通るマカロニ世界においてもかなりの異色作。だって主人公が殺されるから。でも、これが微妙なところで、最後に生き残るのが賞金稼ぎだからこれはこれでマカロニのセオリーに乗っ取っていると思う。主人公こそが賞金稼ぎ殺しの悪漢だったのか、いつもは虫けらのように殺される賞金首にもそれぞれ事情があるんだよ、というところを掘り下げると異様な作品が生まれた、という感じで何度見てももやもやしてしまう。雪景色とモリコーネの楽曲が美しく、主人公サイレンスの持つモーゼルがかっこいい作品。
 
 最後に『続荒野の用心棒』。西部劇というアメリカ独自の文化をイタリアで咀嚼したら、ルックスとガンファイトしか残らなかった。あとはそれをいかに調理するかがマカロニ職人の腕の見せ所。『荒野の用心棒』に似せつつも、棺桶を引きずる主人公にあの主題歌をかぶせた時点でこの作品は完全なるオリジナルといえる。文字通りの泥臭さと奇抜さ、マカロニの下地を作ったのはこの作品かもしれない。まったく無関係な振りしてるけど、棺桶が重要なアイテムになるのは本家黒澤の『用心棒』を意識したからなのか。前半のジャクソン編&機関銃で魅力を出し切っている感があり、後半のウーゴ編はまるで別の作品のようでもあるし、若干もたついてる感じもある。ジャンゴ、棺桶にこだわりすぎ。それでも、クライマックスの墓場の決闘は燃えるし、ジャンゴもようやく本懐を遂げることができたのでありました。


 ジャンゴのごとくふらふらと外に出ると、まだ暗い京都の町。朝風呂入って、さっぱりしてからガイドヘルパーの仕事へ、長い長い一日だったけど、怪獣とマカロニ、好きなものだらけで満足でありました。
 そして落ち着く暇なく来週はウルトラマンダイナ! 

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プロフィール
HN:
馬場卓也
性別:
非公開
職業:
作家
趣味:
怪獣
自己紹介:
作家。一応作家。
CS放送のシナリオ公募で佳作入選。
『SHUFFLE! アンソロジーノベル』
でデビュー。
『School days 君といる、空』で長編デビュー。(ともにJIVE )

『真田十勇姫!』(ソフトバンクGA文庫)
シリーズほか、チョコチョコと。
ラノベ、ゲームシナリオ等々、何でもやりますのでお仕事お願いします。
 怪獣とかチャンバラが好きやねんけど、女の子率高いなあ。


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