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 作家馬場卓也のおもちゃと怪獣と仕事の三つ巴生活!  男もつらいし、女もつらい。男と女はなおつらい! てな訳でよろしく
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 ご存じのように、自分は中途半端なモノカキと介護職の二足の草鞋を履いてるのです、不定休なので平日に休みになることが多く、今週も近所の人から『この人無職?』と思われそうなぐらいに平日を自宅で過ごしておりました。いや、無職ではない、書き物仕事があったんですな。で、その仕事がひと段落し、休みができた。とはいえ、出かけるといえば映画館かパトロールと称して古本屋やかリサイクル店のおもちゃを見に行くぐらい。まあ、これも何度も書いてるからご存じかと思いますが。




 そんな休日、見たいけどどうしようか、いやいや迷ってるぐらいなら行っておけ、と京都みなみ会館へ。車で出かけると、枚方を越えたあたりから温度がぐっと下がった感じ。さすがに寒い。着いたら、小雪が舞っていた。世間ではコロナウィルスの影響で京都の観光地に客が来ない、とか言ってたけどみなみ会館のある九条、十条近辺はいつも通りのように見えた。まあ、観光地らしいものが少ないからね。




 さて『気になる映画を見てすっきりしよう』、まず1本目は『野獣処刑人ザ・ブロンソン』である。昨年和製ブロンソンこと佐藤允特集を上映したみなみ会館に今度はジェネリックブロンソンが来る! ポスタービジュアルとタイトルからお察しの通り、主役はチャールズ・ブロンソン……のそっくりさん、ロバート・ブロンジー。だけどタイトルに『ブロンソン』と出る、強気な姿勢。だって、どう見てもブロンソンだから仕方ない。ブロンソンオマージュをブロンソンのそっくりさんで作り上げた奇跡の映画である。冒頭から、悪党がタバコを吸おうとするとそっとマッチを差し出し、続いて重いパンチを食らわせるブロンジー。





 この世のすべてが面倒くさそうな、バカボンのパパに似た顔だけではなく、動きも声もそっくりだ。特にあのしわがれた声は脳内で大塚周夫ボイスで変換されるほどにそっくり。物語は町をさすらうブロンジーが、ヤクの売人や売春組織の人間を問答無用で射殺し、郊外に住む母子家庭にせっせと送金するといういたってシンプルな構成。なぜ送金するのか、なぜ彼らを目の敵にするのか? 答えは徐々に明確になっていく。



 
 とはいえ物語は二の次で、観客は90分弱の間、ブロンジーのそっくり度を確認する作業をするようなものである。ジムのプログラムではなく肉体労働で鍛え上げたようなボディ、ポケットに片手突っ込むしぐさ、ブロンソンだ、ブロンソンが生き返った。そして時折挿入されるおっぱいと大量の血糊。本当にこれ、21世紀の、令和時代の映画かよと思えるほどの80年代テイスト。このままノーカット吹き替えで木曜洋画劇場で流してもいいぐらいの出来栄えである。ブロンソン、それも80年代ブロンソンの佇まいと作風を見事に復活させた快作、といってもいいかもしれない。とはいえ、80年代はヒゲのスーパーマグナム映画よりも筋肉マシンガン映画ばかり追っかけていたので、ブロンソンといえばマンダムだったり『荒野の七人』『ウエスタン』の人だったりするのです。そんなブロンソンうろ覚え世代でもはっきりとこれはブロンソンだとわかる映画。





 昨年末の『男はつらいよ・お帰り寅さん』を見てもやもやしていたのってこういうことなのでは? CGなりそっくりさんなりで『死亡遊戯』的な寅さんが見たかった、それがまさかブロンソンで実現するとは思わなかった。ちなみに『お帰り寅さん』に欠けていた邦画喜劇要素は『嘘八百』で補完した。






 雪山で裏切り者を木に縛り上げ、バーベキューソースをかける悪党。(特に理由はなく、この悪党は裏切りものをいたぶるのが好きなのだ。裏切り者が多いということは人望薄いのでは? 物語の整合性というよりも絵的な問題、クライマックスへの御膳立てなのだ)。『この辺には狼が多いからなあ』と笑う悪党に『すでに来ている』と銃弾をとともにしびれる登場をするブロンジー! 野獣が帰ってきた! デスウィッシュ! 本物よりも髪の毛さらさらだけど、これからももっと映画に出てほしい。ハリウッドも多分ブロンジーを待っているはず。でもたぶんホームセンターの500円DVDコーナーで見かける機会が多くなりそうだけど、それでも頑張れ!





 ザ・ブロンソンで体が温まり、冷え冷えする京都の町をポケット片手に突っ込みながらさまよう。悪党がいれば一撃必殺……いや寒いので誰も外には出ない。ブロンソンはバカボンのパパに似ている、ということでバカボンパパの好物であるニラレバ炒めを食べる。餃子も食べた。二品以上注文するということはこの上ない贅沢なのだ。、それでいいのだ。



 夕食を済ませ、再びみなみ会館へ。『ザ・ブロンソン』と同じく上映終了で、見ようかどうか迷っていた映画『ヘヴィ・トリップ俺たち崖っぷち北欧メタル!』である。そもそも北欧にメタルがあるのか? フィンランドにはレニングラードカウボーイズしかいないのでは? フィンランドの田舎町、幼馴染で編成されたメタルバンドが隣国ノルウェーのフェスに出場するまでを描く。よくある話である、昨日までちっぽけだった存在が努力と励ましで大舞台に挑むお話、音楽物もそうだけどスポーツものでもよく見られる展開である。『ロッキー』も『カリフォルニア・ドールズ』もそうだ。あと、日本の町おこし映画にもありそうだ。この手の映画は、いかにクライマックスで観客に拳を握らせるかがキモになっている、と思う。最後まで乗れるかどうか、歓喜の声を上げ、涙することができるか。北欧にメタルという未知の領域で、このベタともいえる題材にいかに取り組むのか?




 もう、冒頭から心掴まれました。メタラーと思しき長髪革ジャンの青年が、フィンランドの田舎町を自転車立ち漕ぎで走る! 立ち漕ぎですよ。そして街の若者にバカにされても言い返せない小心者。メタラーってアナーキーでバイオレントなのでは? それは舞台上のお話、普段の彼らはちゃんと手に職を持っているまじめな青年たちだったのです。中でも主人公が介護施設で働いてるのがポイント高い。老人介護施設なのか、障害者施設なのか判別しかねるけど、人のために働き、趣味の世界では紙に唾するこの切り替えが大事ですね。しかもこの介護施設での利用者とのやり取りや出会いが伏線にもなってくる。



 北欧の田舎でメタルというギャップの面白さ、よくある『弱小チームが大舞台に挑む』展開のツボを押さえつつもそこはメタラーのアナーキズムで、うまく外してくれる。その外しっぷりが痛快。ここ一番でゲロを吐いてしまう主人公、はぐれ者たちが村の脚光を浴びるも一転、挫折も味わいという展開に、思いがけない出会いと別れ。そして根性決めた珍道中。迎え撃つノルウェーの国境警備デルタフォースは名ばかりで寄せ集めの独立愚連隊、『コマンドー』への愛があふれた場面もあり。タイトル通り、警察に追われて崖っぷち、オタクはオタクが知る、の言葉通り彼らを助けるバイキングごっこの一団。




 追手と協力者、両者が見守るクライマックス、メタルを知らなくても見ている側もテンション上がるのはこれまでの展開が実に巧みだったから。トナカイの血とゲロと糞と暴力にまみれた、いいライブだった。



 映画の中で棺桶が重要な小道具として登場するのだが、これは翌日より上映の『続荒野の用心棒』への重要なブリッジだ、と勝手に解釈した。



 野獣の復活に週末シンフォニックトナカイ粉砕反キリスト戦争推進メタル、確実に見た人間の心に何かを残す2本だった。映画が終わると売店でTシャツを買い求めるお客もちらほらみられた。




 『ゾンビ』『続荒野の用心棒』の予告からブロンソン映画を見るなんて、いつの名画座だ、と思った。そしてマカロニとホラーがやってくる。これもぜひ見たい、いや見る。
 
 
 
 

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プロフィール
HN:
馬場卓也
性別:
非公開
職業:
作家
趣味:
怪獣
自己紹介:
作家。一応作家。
CS放送のシナリオ公募で佳作入選。
『SHUFFLE! アンソロジーノベル』
でデビュー。
『School days 君といる、空』で長編デビュー。(ともにJIVE )

『真田十勇姫!』(ソフトバンクGA文庫)
シリーズほか、チョコチョコと。
ラノベ、ゲームシナリオ等々、何でもやりますのでお仕事お願いします。
 怪獣とかチャンバラが好きやねんけど、女の子率高いなあ。


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