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 作家馬場卓也のおもちゃと怪獣と仕事の三つ巴生活!  男もつらいし、女もつらい。男と女はなおつらい! てな訳でよろしく
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 なんとなく、まったく前情報を仕入れずに見た映画が思いがけず面白かった、ということがよくある。




 
 何度か足を運んだことのある九条シネ・ヌーヴォで、市川雷蔵祭が絶賛開催中。そういえば昨年は京都出町座で『陸軍中野学校』をみたっけ。毎年どこかの映画館で開催される雷蔵まつり。ソフトも出ている、ひょっとしたら配信でも見れるかもしれないのに盛況なのは、やはりこの早世したスターの魅力によるものだと思う。



 シネ・ヌーヴォは、下町の商店街の少しはずれにあるので、邦画の旧作をかけると結構恒例のお客さんで満席になったりする、という印象。




 今回は三隈研次監督『斬る』。前から見たいと思っていた一本である。その不幸な生い立ちのために、運命に翻弄される若侍の姿を描く。開巻いきなり、女性の横顔のアップから始まる。彼女が懐剣を振りかざしとある奥方の寝所を襲うシーン、そしてタイトルへ。予測不能である。そして主演、市川雷蔵が登場。彼はさる藩で、父と妹との3人で仲睦まじく暮らしている。しかし、その出生の秘密が明らかになるにつれ、彼に不幸が訪れる。父を、妹を殺され、その仇を取った後、出奔する雷蔵。旅先の宿で、武家姉弟による仇討ち騒動に巻き込まれ、弟から姉の身を託される雷蔵。しかし、弟を思うあまりに姉は追手の前に飛び出し、文字通り体を張ってそれを防ぎ、息絶える。ここでも守れなかった。瞼の母、妹、そして名も知らぬ武家の女、自分のために死んでいった女を思い、独り身でいると誓った雷蔵は次第にやさぐれていく。しかしながらその剣の腕前を見込まれ、さる藩の家臣になったものの、そこでも。



 武士道とは無情なものです。そんな無情さを一身に受けている雷蔵。出生の秘密、世を拗ねた姿勢、邪剣の使い手等々、同じ原作者だから眠狂四郎との共通点もちらほら見える。


 自分が出奔するきっかけを作ってくれた浪人や、逃走の手助けをしたのに逆に姉を見殺しにしたと逆切れされる武士との再会、世間は広いようで狭い。そんなめぐりあわせもまた、雷蔵を孤立させていく。



 雷蔵の邪剣『三絃の構え』が生えるラスト。斬るじゃなくって突く、そして決着が刀ではない、というところに、同名だけどまったく内容が違う岡本喜八監督の『斬る』との共通点を見つけたり。前半がほのぼの武家ホームドラマ風だったのは、後半の悲壮な展開を見越しての計算だったのか。で、途中でうとうとしていてあの有名な『人体真っ二つ』シーンを見逃してしまう。不覚。



 一本だけ見るのは、と思い。その後上映の『忍びの者』も気になるものの、昼食をとってから、川島雄三特集『接吻泥棒』へ。川島雄三といえば『幕末太陽傳』ぐらいしか見ていない。あれは日活だったけど、今回は東宝映画。主演は宝田明。怪獣映画以外で宝田明を見るのも珍しいな、とそれぐらいの知識しかなく本編を見た。




 主人公とヒロイン、主要人物を交互に紹介し、それが自動車事故で鉢合うまでをテンポよく見せていくオープニングにびっくり。こんなにスピーディーでコミカルな映画だったのか! モテモテボクサー宝田明とそれを取り巻く4人の女たちの様子をアップテンポで、速射砲のごとき台詞回しで描くラブコメ。スタイルのいい宝田明はまるで劇画キャラだし、モテモテ男が最後に真実の愛に目覚めるお話自体も少女漫画チック。原作石原慎太郎で、物語の冒頭とラストに登場、自ら映画の開幕と終幕を宣言する実にメタな展開であるけど『幕末太陽傳』も当初は主役のフランキー堺がセットから撮影所を飛び出す設定ではなかったか。映画の枠をぶち壊そうとするチャレンジ魂が見られた。じゃあ、他の作品はどんな感じだろうと、気になってしまう。




 しかし『接吻泥棒』、なんだか引っかかる。確か怪獣ネタがあったようななかったような……。あ、思い出した! 獣人雪男がカラーで出演していたのだった! と気が付いたときには遅かった。ここでもうとうとしてしまい、肝心のシーンを見逃してしまった。また逢う日まで、である。


 
 と、肝心なところを見逃しつつも、面白い二本が見れた休日でした。睡眠時間はしっかり取ろう。でも眠い時は眠いんですよ。


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プロフィール
HN:
馬場卓也
性別:
非公開
職業:
作家
趣味:
怪獣
自己紹介:
作家。一応作家。
CS放送のシナリオ公募で佳作入選。
『SHUFFLE! アンソロジーノベル』
でデビュー。
『School days 君といる、空』で長編デビュー。(ともにJIVE )

『真田十勇姫!』(ソフトバンクGA文庫)
シリーズほか、チョコチョコと。
ラノベ、ゲームシナリオ等々、何でもやりますのでお仕事お願いします。
 怪獣とかチャンバラが好きやねんけど、女の子率高いなあ。


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