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 作家馬場卓也のおもちゃと怪獣と仕事の三つ巴生活!  男もつらいし、女もつらい。男と女はなおつらい! てな訳でよろしく
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 ここ最近見た映画のことを、Twitterの呟きから。手抜きですな。でも同じこと書いて島そうだからね。


 先週の水曜日は『ファイティン!』毎週マドンソク。俳優というよりも豪腕家である。あの太い腕を有効活用した映画。ドンソクに腕相撲、鈍足だけど腕っぷしは強いのだ。貧困のためアメリカに容姿に出されたドンソクが、見た目韓国人だけど、中身がアメリカン(納豆食えない、刺身や生け作りこわい)であるのが面白い。
面白いスポーツ映画は見ていてアガる。思わず拳を握り締める。『悪人伝』から見始めて、ドンソクがどんどんいい人になっていく。裏社会の誘惑にも負けず正々堂々と大会で戦う男の話でもあり、家族再生の物語でもある。ドンソクの甥っ子、姪っ子の子役の演技がすごく上手。劇中でドンソク演じるマークは小さい頃に見たスタローンの映画(オーバーザトップ)を見て腕相撲を始めた、という設定。奇しくもスタローンはドンソクの『悪人伝』をハリウッドでリメイクするとか。もう、英語ペラペラなんだからドンソクに再びやくざ役やらせればいいのに。



 今月の超大怪獣EXは『東海道お化け道中』『透明剣士』の大映オバケ二本立て。『お化け道中』の冒頭部分だけ見たけど、プリントの状態がものすごくきれいだった。『透明剣士』は退色がきつかったとのこと。新聞記事を書くために事前に見直したので、劇場で見直すのはいいかな、と思ってしまったが、今度いつ見れるのか? 惜しいことをしたと後悔しきり。

 そして昨日は久々の新世界東映で『殺し屋人別帳』『鉄砲玉の美学』という、石井輝男、中島貞夫による渡瀬恒彦映画二本立て。

新世界でATG を見るという不思議。
『殺し屋人別帳』は『にんべつちょう』ではなく『じんべつちょう』だった!


 一本目は渡瀬が長崎に行き、二本目は渡瀬が宮崎に飛ぶ。どちらも最後は致命傷を負いつつもすぐにくたばらない、驚異の生命力を見せる。でも全く異なる内容。『殺し屋人別帳』は本当に人別帳が出てきた。流れ者の渡瀬が落ち着いたのはあくどい手段で長崎の竜神一家を潰そうとする黒岩組。港湾作業を請け負い、堅気になった竜神一家に執拗な嫌がらせをする黒岩組。破門の身だった伊吹吾郎も帰ってきて、じっと我慢の日々だが……着流し、半纏の竜神一家とスーツの黒岩組が最後に激突。

『殺し屋人別帳』は『我慢劇』と呼ばれる任侠映画のパターン、その間渡瀬は足の不自由な少女と仲良くなったり黒岩組の悪辣なやり方に『趣味じゃないネ』とうそぶき、物語の蚊帳の外にいた。主役なのに、デビュー作なのに。一方同じくダブル主役の伊吹吾郎はやはり三枚刈りで、途中退場し、ラストに復帰。


 
蚊帳の外の渡瀬。そこに口笛吹いてやって来る白スーツでフランス語を操るきざな男、モンマルトルの鉄(佐藤允)! 彼もまた黒岩組の客分で非道を良しとしない。そんな二人が抗争の成り行きを見守る。そこに大正琴を操る鬼寅(嵐寛寿郎)。『網走番外地』リメイクか。キャラが渋滞する。


資料によれば『殺し屋人別帳』は網走番外地のリメイク的な位置で、渡瀬を健さんポジションに置いているのだな、と。デビューからトッポくて、ところどころに凄みを見せる渡瀬。きざ男のくせにタバコをせびる鉄(佐藤允)。黒岩組親分に田崎潤、竜神一家の代貸しに中谷一郎と、どこか東宝テイスト。

 
 竜神一家の親分が吉田輝雄。田崎潤とは元新東宝の俳優同士。東宝と新東宝の俳優が東映で暴れまわっている、任侠でも実録でもない、最後期のギャング映画、なのかな。ラストは一宿一飯の義理を果たす鉄に挑まれ決闘する渡瀬。もう少しスマートな別れはできないものか、それが無宿人の宿命なのかな。


『鉄砲玉の美学』。むかし、ATG特集の本を読んでいて『中島貞夫監督がATG?』と驚いたことがある。東映オンリーな印象の監督がなぜ? それから気になっていた作品。東映配給だったとのことだが、いつもの三角マークは出ない。飲食と残飯を交互に映すオープニングに頭脳警察が流れる。

 1973年、まさに実録ブームの頃。確かにこれは東映じゃない。主人公のウサギ売りを生業とするチンピラは出世欲が強いけど、うだつの上がらない元コックの若者。これが東映ならヒロイックに活躍していきそうなものだけど、そうならない。ひたすらかっこ悪い。生き様も死にざまもカッコ悪い。
鉄砲玉に選ばれ、拳銃を手にした瞬間、恍惚とした表情を浮かべる渡瀬恒彦。支度金を持って宮崎へ。そこで暴れて来いという指示のまま暴れる渡瀬。しかし、その時から彼は常に誰かに狙われているような感覚を覚え、おびえている。余裕がない。過去の自分とは違う、と虚勢を張って暴れる。女も物にする。

 力、金、女を手にした渡瀬には怖いものが無い。しかし、みじめだった過去を振り返り、それを捨てようとさらに荒れる。そして泣く。拳銃を手にした時も、女を抱くときも泣く。彼も察していた、自分の間尺に合わない仕事だと、組織の手の上で踊らされているだけだということを。敵対組織も黙ってはいない。

 自分の誕生日に腕によりをかけてご馳走を作る渡瀬。元コックの彼が初めて生き生きとする瞬間。みじめでもトルコ嬢のヒモでウサギ売ってる方がよかったのかも。でも、懇意にしていた女たちは誰も来ない。自分ははめられていたことに気づく。そして抗争とは無関係なことで撃たれ、血まみれで霧島を目指す。その山頂から下界を見下ろし、てっぺん取ったんだ、と満足したかったのだ。

 実録やくざ映画で死んでいく名もない若者たち。彼らにクローズアップして描いたような作品。結局彼も檻の中のウサギたちと一緒だったのかも。なるほど、これは東映では撮れないな。手持ちで臨場感を出しているのは中島監督がそれまでSEXドキュメントを手掛けてきた賜物なのか。敵も味方も組織の上層部を声のみで姿を見せないのも予算や撮影日数の都合からかもしれないが、効果的であり、見えないからこその不気味さが出ていた。見えない味方に踊らされて、見えない敵に向かっていったのだ。ただ、渡瀬には高くそびえる霧島だけが見えていた。



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プロフィール
HN:
馬場卓也
性別:
非公開
職業:
作家
趣味:
怪獣
自己紹介:
作家。一応作家。
CS放送のシナリオ公募で佳作入選。
『SHUFFLE! アンソロジーノベル』
でデビュー。
『School days 君といる、空』で長編デビュー。(ともにJIVE )

『真田十勇姫!』(ソフトバンクGA文庫)
シリーズほか、チョコチョコと。
ラノベ、ゲームシナリオ等々、何でもやりますのでお仕事お願いします。
 怪獣とかチャンバラが好きやねんけど、女の子率高いなあ。


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