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 作家馬場卓也のおもちゃと怪獣と仕事の三つ巴生活!  男もつらいし、女もつらい。男と女はなおつらい! てな訳でよろしく
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 見たいものは見れるうちに見ておけ。



 前回の『ロボコップ』に続いて、今回も80年代の映画。新作映画がバカバカ公開されているのに、後ろ向きである。しかし、見たいものは見れるうちに見ておけ、である。


 午前十時の映画祭『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ・ディレクターズカット版』である。まずタイトルが長い。それに上映時間4時間11分と、尺も長い。午前十時に始まったとしても、終わるのは14時過ぎである。その日は午後から仕事、間に合うのか? 間に合わせるさ、と家を出たら……雨だった。仕方ないので車で出発。映画は難波のTOHOシネマズ。近辺に止めるよりも新世界辺りに止めた方がうんと安いし、そこから歩いてもたかが知れてる。雨の中、新世界から日本橋を抜け、ひたすら歩く。




 


 何とか映画館にたどり着いて、時間も間に合った。ここから4時間強の昔々のアメリカのお話が始まる、果たして寝ずに見れるか?




『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』はマカロニウェスタンのパイオニア、セルジオ・レオーネの遺作である。これをスクリーンで見れる日が来ようとは! と最終日ギリギリに滑り込んだ。作品数は6本と少ないながら『荒野の用心棒』がヒットし、『夕陽のガンマン』でマカロニの金字塔を打ち立てたのち、『続夕陽のガンマン』辺りから『ウェスタン』『夕陽のギャングたち』と、徐々にスケールと上映時間がアップしていくレオーネ映画。『ワンス~』も最初見た時は3時間ぐらいだったのが、ソフトが出るたびに尺が伸び、今回は監督の当初の構想通りの編集で4時間11分になったらしい。上映前にその旨がテロップで出ていたが、散逸していたフッテージやテストフィルムを何とか4Kにリマスターしたとのこと。監督が死んでもフィルムは生きているのだ。



 今まで西部開拓時代や南北戦争、メキシコ革命等々、イタリア映画だけどアメリカの歴史を描いたレオーネ監督がついにアメリカに上陸、1920年代から60年代、ニューヨークのユダヤ人の生き様をゆったりとしたテンポと、いつもながらの容赦ない暴力で綴っていく。禁酒法時代のニューヨークの様子を完全再現した美術の豪華さ、そこに生きる人々、エキストラの多さに目を見張る。そんな中に生きる少年たちがいつしかギャングとして成功していくまでをゆったりと描いていく。友情と裏切りというレオーネ節も健在。冒頭、ギャングが何かを探し回っており、それが主人公のことだと徐々に明らかになっていく見せ方も、『ウェスタン』や『続夕陽のガンマン』でも使われていた。なぜ追われているのか? ここで物語は主人公ヌードルスの過去へ、そのまた過去へとさかのぼっていく。





 長尺のギャングものという事で『ゴッドファーザー』と比較されがちだけど、あちらは組織、ファミリーの物語であるのに対し『ワンス~』は個人の物語である。一人のユダヤの悪童の成長と切ない別れ、である。禁酒法時代が終わり、アメリカが新たな一歩を踏み出した時、ギャングもまた過去のものになっていく。ヌードルスの、仲間を想う気持ち、友情から起こした裏切り行為、しかし彼自身もすでに裏切られていた。すべてが明らかになるのには、30年の時間が必要だった。
 

 しかし、長かった。途中で休憩が入るのが3時間を超えたあたり。そこから残りの一時間ちょっとですべて解決するのか? と見ていてハラハラしてしまった。レオーネ映画お約束の一対一の対決もラストにちゃんと用意されているが、派手さはなく、静かに決着がついていく。新たに追加されたシーンは元のフィルムの状態が悪かったせいか、明らかに画質が違うし、『これ、いらんのと違う?』と思うものばかりだった。肝心の部分はぼやかして、とにかく人間ドラマをゆったりと描くのがレオーネの意図だったのだろうか。
 


 4Kで甦る若きジェニファー・コネリーの美しさと、胡散臭いオヤジ世界チャンピオンバート・ヤングの意地汚さ。デニーロはよく腰を振り、体に悪そうなクリームたっぷりのケーキが食べたくなる、そんな映画。しかし長い。でも最後のなにもかもやり切ったデニーロの笑顔とモリコーネの美しい音楽に救われたような気がする。


 レオーネはこのあとスターリングラード攻防戦を描いた映画を製作したかったらしいけど、完成したら5時間越えの超大作ができたんじゃないか、と思う。編集とかそんなことよりもとにかく見たい絵を撮って繋げろ!




 上映が終わると、駆け足で駐車場に戻った。雨はもうやんでいた。昔々アメリカでは仲間のために裏切った男がいたけど、現在大阪の片隅では仕事に追われる男が一人、いたのだ。何とか、間に合いましたが。
  

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プロフィール
HN:
馬場卓也
性別:
非公開
職業:
作家
趣味:
怪獣
自己紹介:
作家。一応作家。
CS放送のシナリオ公募で佳作入選。
『SHUFFLE! アンソロジーノベル』
でデビュー。
『School days 君といる、空』で長編デビュー。(ともにJIVE )

『真田十勇姫!』(ソフトバンクGA文庫)
シリーズほか、チョコチョコと。
ラノベ、ゲームシナリオ等々、何でもやりますのでお仕事お願いします。
 怪獣とかチャンバラが好きやねんけど、女の子率高いなあ。


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