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 作家馬場卓也のおもちゃと怪獣と仕事の三つ巴生活!  男もつらいし、女もつらい。男と女はなおつらい! てな訳でよろしく
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 去年暮れ、京都で町座で見た『アンダーザシルバーレイク』がとても奇妙な映画で、同じ監督デヴィッド・ロバート・ミッチェル(名前名前+姓、日本でいえば山田太郎次郎みたいなものか)の撮った『アメリカン・スリープオーバー』も観たいと思ってた。はて、そもそも爆発も炎上も怪獣も出てこない、ミニシアター、アート系の『アンダー……』や『アメリカン……』を、なぜ見たいと思うようになったのか? みなみ会館の吉田館長がイベント等でお勧めしていたから気になっていたのを思い出した。そんなみなみ会館が新生し、自主洋画配給のグッチーズフリースクールとの提携イベント『ルーキーズ映画祭』の一環として昨日デヴィッド・ロバート・ミッチェル、長いのでデロチェル監督の特集オールナイトが行われることになった。
 
 新生みなみ会館初のオールナイト、ふかふかの椅子で寝落ちするのではないか? 一応仮眠はとっておいたが、さて。
まずは『アメリカン・スリープオーバー』。スリープオーバーとは? お泊り会のようで、アメリカの若者の間では恒例の行事らしい。学期(学年)が変わる夏休み、それぞれの思い出を作ろうと、複数の少年少女の姿を同時進行で描く群像劇。しかし、国は変わっても女子の集団はキャッキャしてるのに対して男は本当にインインメツメツとしてるな。女子が恋バナとか酒とか薬とかやってキャッキャしてるのに男どもはみんなで映画見てエロいシ-ンで『今の巻き戻し!』ですから、どこでもいっしょです。
 
 スーパーで出会った少女を探す少年、学生時代仲良かった双子を追うボンクラ大学生、大人の階段上って泳ぐ女子二人、モンモンもやもやした思い、様々なドラマが、郊外の小さな町の、とある夏の日に巻き起こる。理想と現実、好きと嫌いが交差する夜の街。お泊り下位文化のない日本人からしたら『?』なところも多いけど、ダメ男グループのやることなすことは何となくシンパシーを感じる。たぶん。
 しかしなんでアメリカの若者は両親が出かけたすきに仲間呼んでパーティーやるのが好きなのかね。後片付け大変そう、と思ってしまうのです。
 デロチェルデビュー作、いくつものエピソードをうまく構成し、クローズアップと移動撮影でティーンのハートをがっちり描写。瑞々しさが随所に現れる青春譚。
 
 それよりも、劇中に出てくる映画『モスキータ』が気になる。巨大な蚊の怪獣で、日本語で歌う双子の妖精がそばにいて……とモスラのパロディで、対峙する人間たちのルックス、ロケ地、アングルが『モスラ対ゴジラ』とまるでそっくり。デロチェル、そっちも好きやな? 
 青春映画のテイストを残して次に撮ったのがホラー映画『イット・フォローズ』。ホラー映画は若手監督の登竜門ですが、ここでも一癖も二癖もある作品に仕上げている。



 『アメリカン……』と同じく、どこかの郊外の町。わめきながら飛び出した少女が、何者かに逃げるように車を飛ばす。つかみは充分。いわゆる『呪い』の一種なんだろうが、この映画では『それ』は人の形を取ってひたひたとやってくる。突然知らないおじさんやおばさんが、ゆっくりとこちらに向かってくるのだ。冒頭でその説明をしているおかげで、特に凝ったメイクもしていないおばちゃんが歩いてくるだけでも怖くなってくる。その呪いを解くにはどうするれいいのか? 異性と交わることで呪いを移すのだ! やればやるだけ被害は免れる、と書くと艶笑ホラーになりそうなのだが、これも設定をしっかりと説明することでとても切羽詰まったものになってくる。しかしヒロイン、そのために何人と寝たよ? 要するにビデオをダビングし、人に見せることで呪いを回避する『リング』の肉体版というべきなのか。
 逃げても逃げても追ってくる『それ』の不気味さ。ドアを開けて、友人だとわかってほっとしたのも束の間、後ろから微妙に背の高い男がぬーっと入ってくるシーンは思わずギャッとなった。



 しかし逃げてばかりもいられない。夜の学校、プールに『それ』を誘い込み……。ホラーから一転アクションものに変化するクライマックス。水中の対決、ということでどこか『ジョーズ』を思わせる。しかし、ここでも前作同様、ティーンの微妙な心情をきちんと拾うデロチェル。




 しかし、ここでも家族がテレビで見る映画がロジャーコーマン編集のソ連SF『原始惑星の旅(または火を噴く惑星)』とか、ピンポン目玉宇宙人の出てくる『宇宙からの暗殺者』だったりと、やっぱりそっち系好きなんじゃないの、とか思ったり。舞台となる郊外の町が似ていたり、学校の名前が同じだったりと、前作と世界観が一緒なのか? とか思ったり。
 みなみ会館、通常のオールナイトはとても静かで粛々とプログラムが進んでいく。



 そして夜もすっかり更けて最後は『アンダーザシルバーレイク』。今回で二回目だけど、やっぱりわけのわからない、ハリウッド地獄巡り。都市伝説という虚構が現実を飲み込むには、虚構を作るハリウッドがふさわしいのか。デロチェルの映画を最初に見たのが一番ややこしいこれだったけど、改めて過去作も見ると、もともと癖の強い監督だということがわかる。三作に共通する郊外の町、幻の女、雷雨にプールに、色気のない水着女子。これらには意味があるのか、4作目もこの癖の強さは健在なのか? いや案外、そろそろドラマもホラーもとれるし、癖が強いのでモンスターバースやDCコミックの監督に大抜擢されそう。
 外はすっかり明るくなっており、プールの出てくる映画ばかり見たので、珍しく朝風呂を決めてみた。雷雨はなく空は快晴、残暑がまだ厳しく、寝不足でもうろうとしながらも職場へ向かったのでした。ひょっとしたら全部夢だったのかもしれない。
 

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プロフィール
HN:
馬場卓也
性別:
非公開
職業:
作家
趣味:
怪獣
自己紹介:
作家。一応作家。
CS放送のシナリオ公募で佳作入選。
『SHUFFLE! アンソロジーノベル』
でデビュー。
『School days 君といる、空』で長編デビュー。(ともにJIVE )

『真田十勇姫!』(ソフトバンクGA文庫)
シリーズほか、チョコチョコと。
ラノベ、ゲームシナリオ等々、何でもやりますのでお仕事お願いします。
 怪獣とかチャンバラが好きやねんけど、女の子率高いなあ。


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