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 作家馬場卓也のおもちゃと怪獣と仕事の三つ巴生活!  男もつらいし、女もつらい。男と女はなおつらい! てな訳でよろしく
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 先日行ったばかりなのに、またまた京都みなみ会館へ。帰れる場所、という表現はおかしいですが、いつもの居場所が再建したということもあるし、とにかく見逃した映画をこれでもかと上映してくれるので、嬉しい限りなのであります。



 
 早めについて、鶏ガラ黒醤油ラーメンを昼食に、近所を散策。暑いけど、心地よい風が吹いてる。このまま足を延ばして京都駅前のコミック古書店に行ってみようか。割とマニアックな品ぞろえで見ていて楽しい。そこで『あしたのジョー』全巻が格安で売られていたので、しばし逡巡。買うべきか否か、いや俺今『あしたのジョー』な気分か? いやでもあとでほしくなったらどうする? 予算のあるうちは迷った時が買い時、今度いつ来れるかわからんしね、と購入したら、映画の上映時間ギリギリ。



 あしたのジョー全13巻を担いでひいひい言いながら、東寺方面へ。もっと余裕を持てよ、と自分に言い聞かせ、汗だくで滑り込みセーフ。汗に濡れた男がそこで見たのは、やはり汗と雨に濡れる男の映画でした。


『恐怖の報酬・オリジナル完全版』は1977年の作品。日本公開時は短縮版で公開されるわ、オリジナル版と比較されて酷評を受けるわで散々な目にあった作品だけど、この度4kデジタルリマスター化して復活。パンフレットを読むと『スターウォーズにやられた』らしい。


 巨大なトラックが吊り橋を渡るビジュアルに、ニトログリセリンを運ぶお話という情報しか頭に入れずに鑑賞。



 はじめはドキュメントタッチの冒頭のシーンで『映画間違えた?』と思ってしまった。メキシコ、イスラエル、パリ、アメリカ、それぞれの国と地域で罪を犯した男たち4人が、それぞれ理由は違えど、南米のとある国に逃げ込む。地獄のような劣悪な環境の中、男たちは報酬と新たな身分証のために、トラックによるニトログリセリン運搬という危険な仕事を引き受ける。
 



 トラックが動いてからはとにかく、ヒリヒリしっぱなし。崖っぷちをそろそろ進む、ジャングルをとろとろ進む。しかもちょっとでも事故れば積み荷のニトロが土管、と爆発するのである。道に迷って狭い路地に出たときに、車をこすらないように冷や汗かきながらノロノロ運転をすることがある。あれの何十倍もの緊張感が延々と続くのだ。




 
 そして問題の吊り橋のシーン。橋の傷み具合とトラックの大きさからすれば無理でしょ! でもやるんだよ! エンジンを唸らせもがくように進むトラックは手負いの獣にも見える。しかもタイミングの悪いことに暴風雨で水かさが増している。でも男たちはあきらめない。だんだんと、森が意思をもって男たちに襲い掛かってくるホラー映画のようにも見えてきた。これは各地で罪を背負った男たちの地獄めぐりのお話なのだ、たぶんそうだ。高額報酬は地獄に落とされた蜘蛛の糸、地獄の責め苦のように次々と難関が待ち構えている。
 



 そんな苦労を共にしたからこそ生まれてくる信頼関係。でもそれももろく崩れ去る。



 ジャングルとは打って変わった岩だらけの高地をトラックが走るシーンはまさに地獄をさまよう亡者のようだ。



 これが酷評? どこが? 本物をそろえた本物の映像、ヒリヒリするドラマ、見た後にどっと疲れ、実際汗をかいていてたけど、つま先までびっしょり濡れたような錯覚を覚える。細いタフガイ、ロイ・シャイダーは映画で関わった乗り物はトラックだろうが漁船だろうが戦闘ヘリだろうが、壊れるか、壊す。
 


 先日のトークショーの際、中野監督がこっそり中をのぞいて『音がいい!』と太鼓判を押してくれたのもこの映画でした。



 せっかく京都に来たのに一本だけではもったいない、と次に見たのが『サスペリア』これもまたリメイク作品。普段は進んで怖いものを見たくないのですが、なんとなく、怖いもの見たさで。しかもオリジナルは『決して一人では見ないでください』のコピーで、子供心に散々怖がった覚えがある。なので、オリジナルを見ないまま、リメイク版へ。こじんまりとした3番スクリーンで鑑賞。 
 
 ドイツの舞踏学校に入学したアメリカ娘の体験する奇妙な出来事。学園は魔女の支配する、ある儀式のための容れ物、学生は生贄だったのか?



 ストレートに怖い絵をバーンと見せるのではなく、奇妙な映像、ずれた映像を見せてじわりじわりと見せてく手法。これなら安心。



 とあるきっかけで事件を追う老精神科医。学園の異変に徐々に気づく主人公の友人。奇しくも『恐怖の報酬』公開時の1977年のドイツを舞台に、当時の社会情勢を照らし合わせながら、様々な謎のピースをちりばめていく。それがクライマックスとぴたりぴたりと合っていくたびに『なるほど、そうか』と恐怖の真意が伝わってくる。




 小さな異変の積み重ねから徐々に壮大なクライマックスに向かっていく構成は今年見た『へレディタリー/継承』にも似ている。そして虚が実を食い散らかす、真相が明らかになる場面、やっぱり裸踊りかよ! この辺は国民性の違いなのか、魔女や悪魔に疎い日本人だからなのか、恐怖度が伝わりにくいが、とにかくおかしなことが続けて行われていることだけはわかる。



 物語の途中から『あれ、主人公が事件にかかわってこないよ?』と思ったけど、なるほど、そういうことか。つまりは極端なたとえだけど、志村けんの『変なおじさん』なのだ。『そうです、私が変なおじさん(魔女)です』で明らかになってからのずっこけ&ダンス。主演のダコタ・ジョンソンは志村けんだった! ティルダ・スィントンはその無表情なたたずまいが、何もしてなくても魔女っぽいけど、まさかの3役だったとは! 彼女と彼女の物語やったんか! とにかく珍妙で、それだからこそ心に残る映画。グロいシーンも、乳も尻も血も涙もチンチンも一緒になって渦を巻く。

 
 みなみ会館に行く前にクロエ・グレース・モレッツの映画を買ったら、『サスペリア』にも出ていた。あのヒットガールが……。そして、『恐怖の報酬』のウィリアム・フリードキン監督の誕生日でもあったらしい。男だらけに女だらけ、1977年、リメイク映画、とこじつければ共通点が見える二本を見終わり、外に出ると土砂降りの雨。『サスペリア』でもほぼ全編にわたって雨、または雪が降ってたけど、そこまで映画に合わせんでもええやんかと、お隣の居酒屋でホルモン野菜炒めとライス(中)を食べながら思うのでした。

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プロフィール
HN:
馬場卓也
性別:
非公開
職業:
作家
趣味:
怪獣
自己紹介:
作家。一応作家。
CS放送のシナリオ公募で佳作入選。
『SHUFFLE! アンソロジーノベル』
でデビュー。
『School days 君といる、空』で長編デビュー。(ともにJIVE )

『真田十勇姫!』(ソフトバンクGA文庫)
シリーズほか、チョコチョコと。
ラノベ、ゲームシナリオ等々、何でもやりますのでお仕事お願いします。
 怪獣とかチャンバラが好きやねんけど、女の子率高いなあ。


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