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 作家馬場卓也のおもちゃと怪獣と仕事の三つ巴生活!  男もつらいし、女もつらい。男と女はなおつらい! てな訳でよろしく
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 今更先週末の話をするのもどうかと思いますが、珍しくバタバタしていたし、ここには自分が見た映画のことは一行でも書き留めておこうと思って始めているので、ご容赦願いたい。そういや日常のことを書かなくなったな、たぶんSNSで事足りてるし、自分のことを世間に知らしめてなんになる? 食の写真載せて楽しいか? 自分の中に他人の子供の写真見て嬉しいか? というイヤな、どす黒い気持ちがあるからだと思う。




 さて先週末の事。『イップ・マン継承』を見た興奮冷めやらず、再び京都みなみ会館へ。怪獣はなくともみなみ会館通い、あのドラゴンオールナイトから、不定期に近年の香港アクション映画を上映してくれるから、どうしても見たくなってしまうのですな。毒食らわばドラゴンまで、であります。しかし京都は遠いし、一本だけ見て帰るのももったいない。できればハシゴしたい、見たい映画が重なるとき、それが京都へ行くサインなのですな。シネコンの超大作も見たいけど、まずは京都へ。




 先週末はそんな感じで『おじいちゃんはデブゴン』『I AM YOUR FATHER』の二本を見てきました。どちらもおじいちゃんが頑張る映画でした。







 『おじいちゃんはデブゴン』は、サモハンが久々に主演、監督を務める作品。というか、生まれて初めてスクリーンで見るデブゴン。ゴールデン洋画劇場で『燃えよデブゴン』を見て以来、サモハン主演映画は全てデブゴン扱いでした。今回もそれに倣って全く違う原題だけど、デブゴンに。デブゴンって日本でしか通用しないネーミングじゃないか。




 中国の要人警護の職に就いていた男、サモハンが引退し、ロシアと中国の国境の町で隠居生活を送っている。何も変わりのない、平凡な毎日。ただ、物忘れがひどくなってくる。家の鍵が分からず、針金で開けようとするけど、鍵は首にぶら下げていた、そんなこともしばしば。彼はかつて孫娘を見失った苦い過去があり、娘とは絶縁状態。孫娘を死なせたのではなく、見失った、というのがかえって辛い。もちろんいまだ孫娘は見つかっていない。そんな孫娘が描いたであろうサモハンの絵が壁に掛けられている。この絵をアニメにして今までの経歴をサラッと紹介する憎い演出。子供の描いた拙い絵だからこそ、逆につらい現実が胸に刺さる。








 そんなサモハンの生活が一変する。サモハンの隣人の娘が、ロクデナシ親父アンディ・ラウに愛想をつかし、サモハンの家に遊びに来るようになった。あまり表情には出さないけれど、一緒に釣りに行ったり、アイス食べたり、楽しそう。サモハンはそんな隣家の娘に自分の孫娘を重ねていたのかもしれない。でも、認知症は徐々に進んでいく。




 ところが、そんな隣家のロクデナシ親父が借金の方にロシアンマフィアの宝石を盗んだことから、事態は急変。ロクデナシ親父は殺され、サモハンはその娘を守るべく、老体に鞭打ち、ロシア、中国のマフィアに戦いを挑む……。




 ジョン・ウェインに『ラスト・シューティスト』、クリント・イーストウッドに『グラン・トリノ』があるように、老いたアクション俳優が、自分のアクション人生にサヨナラするような作品を残すことがたまにある。とはいえ、イーストウッドはまだまだ現役の映画監督で、サモハンも、監督、武術指導でまだまだ元気。一応、自分のキャリアに区切りをつけようという事なんだろうか。



 
 アニメや短いカットの積み重ねによるサモハン演出は実に若々しく、また音楽の使い方も絶妙。ロシアと中国の国境の町という、あまり見たことないロケーションも新鮮である。二つの国をつなぐような広大な鉄道の停車場が印象的。



 
 認知症は進んでるけど、戦う時には昔の血が騒ぐ! ただのデブジジイと思うなよ! カンフーパンダとは言いえて妙だけど、悪い奴らは許さない! とにかくサモハンは素早く手を動かして相手をつかみ、手足をへし折る。要人警護についていたという設定なので、従来の軽やかな動きではなく、相手を動けなくするために、とにかくへし折る。へし折った瞬間、その様子がレントゲンで描写されるのは昔の必殺シリーズのようでもあり、ジェット・リーの『ロミオ・マスト・ダイ』で試みられたX-RAYバイオレンスの復活を思わせた。



 切なくも幸せなラストもまた、いい。これから娘を守っていけるだろうか、とか自分と重ねると余計切ない。でもデブゴンは強い。



 サモハン久々の監督主演作という事で、かつての仕事仲間たちが駆け付けゲスト出演。え、ユン・ピョウ出てたの? ツイ・ハーク? 



 続く『I AM YOUR FATHER』はがらりと変わってドキュメンタリー。カンフー映画と並んで、世界中の少年を熱狂の渦に叩き込んだスターウォーズにまつわるお話。世界映画史上最高の悪役と言われたダース・ベイダー。そのベイダー卿を演じたデビッド・プラウス氏にスポットを当てた作品。スターウォーズは一通り見ているけど、それほど熱心なファンじゃない。だからエピソード6『ジェダイの復讐(ジェダイの帰還はしっくりこない。『帰ってきたウルトラマン』をウルトラマンジャックと呼ぶのには抵抗なないけど)』でダースベイダーがマスクを脱いだ時、特に何も思わなかった。ただ、当初は三船敏郎にオファーがいった、といううわさ話は聞いていた。本来ならばエピソ-ド4からベイダーを演じていたデビッド氏が素顔をさらすはずだった。でも些細な出来事がきっかけで、その素顔は別人に代えられた。映画はそんなデビッド氏の姿と、関係者の証言をまとめつつ、監督の野望『デビッド氏によるエピソード6ラストの再撮影』という野望、というかファンの夢を追っていく。








 この映画はスターウォーズのある側面(ダークサイド)を描くと同時に、ある一人のスーツアクターの物語としても作られている。仮面の下で彼らは何を思い、どう演じていたのか? 映画の冒頭は無声映画時代のフランケンシュタインから始まる。デビッド氏もまた、ハマー映画でフランケンシュタインの怪物を演じている。作られた怪物の悲しみ、これはダースベイダーを演じたデビット氏に降りかかった悲劇にも通じる。一体何がどう間違ってしまったのか? かつての映画のように怪物は殺すようなことはしない、真実を明かし、怪物に安住の地を提供するだけだ。 





 コンベンションでファンに囲まれ嬉しそうなデビット氏、そしてファンの夢、監督の野望がかなった瞬間の至福感。あいにく、ルーカスフィルムの許諾を得られないので撮影されたフィルムは見せられない。一般にも公開できない。でもやるんだよ! 世界中のスターウォーズを見て育ち、それぞれにスキルを持ち合わせたファンの力が、真の暗黒卿を復活させ、そして真の最期を作り上げた。




 デビッド氏はいまだルーカスフィルムとは断絶状態で正規のイベントには招待されないらしい。許してやったらどうや。ファンイベントで山のようなサイン用ブロマイドと大量のペンを前にニコニコし、ファンへのサービスも旺盛なデビット氏。隣には元祖ハルク、ルー・フェリグノもいるぞ。なんだかいつもみなみ会館で見てきた光景がそこにある。規模は全然違うけど、ファンの熱狂ぶりは万国共通だ。





 エンドクレジットはそんなスーツアクターたちに捧げるサプライズ。ここでもまたウルッとしてしまう。ウルっと、ウルト、ウルトラ……という事で今月も形は違えどそんなファンとゲストがやってくる。宣伝かよ。最強、最速の超人に大怪獣空中戦! ご家族そろって楽しめる怪獣大会。





 そして俺は、サモハンが武術指導している『コールオブヒーローズ』を見に行こうかどうか迷っている。大阪でもやってるはずなのに、なのにあなたは京都へ行くの? 何とハシゴしようか? そんなことばかり考えている。



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プロフィール
HN:
馬場卓也
性別:
非公開
職業:
作家
趣味:
怪獣
自己紹介:
作家。一応作家。
CS放送のシナリオ公募で佳作入選。
『SHUFFLE! アンソロジーノベル』
でデビュー。
『School days 君といる、空』で長編デビュー。(ともにJIVE )

『真田十勇姫!』(ソフトバンクGA文庫)
シリーズほか、チョコチョコと。
ラノベ、ゲームシナリオ等々、何でもやりますのでお仕事お願いします。
 怪獣とかチャンバラが好きやねんけど、女の子率高いなあ。


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