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 作家馬場卓也のおもちゃと怪獣と仕事の三つ巴生活!  男もつらいし、女もつらい。男と女はなおつらい! てな訳でよろしく
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 昨日は、平日だけどお休み。なんだか世間に申し訳ないと思いつつも、これが俺の仕事だから仕方ないじゃん、と京都へ。何度目だ、京都。

 映画行くなら近所のシネコンでいいじゃない、でもみなみ会館でしか見れない映画もあるしさ、それに、ドラゴン食らわば皿まで、という事で、オールナイトから、キンフー、ドラゴン×マッハ、イップ・マン、デブゴンと来た京都ドラゴン祭(勝手に命名)、ひとまずの最終作『コール・オブ・ヒーローズ/武勇伝』を。正直、予告見たときになんだか微妙だな、と思いました。だって『黒澤明とセルジオ・レオーネに捧ぐ』なんて言われたら期待しちゃうじゃないですか、でも今まで黒澤風味、レオーネ風味と言われたアクション映画が成功したためしがない。なんだかちょっと雰囲気足してみました、ぐらい。だからどうしようかな、と思いましたが、ここは行って、見てから文句言おう、それに月曜日はマンデイ割引、ドンパチとカンフーが盛り込まれた、マンデイにふさわしい映画じゃないの。




 20世紀初頭の中国は内戦の真っただ中。とある山村を襲う残虐非道な軍閥と、村を守る自警団と流れ者の攻防を描く、『七人の侍』っぽいけど、黒澤でもレオーネでもない、まったくの香港映画テイストに仕上がっている。20世紀だけど、どことなく武侠片を思わせる雰囲気。冒頭の流れ者エディ・ポンと盗賊のやり取りは、ソバが出てくるあたりも『残酷ドラゴン』を思い出させるし、エディ・ポンは黒澤映画の三船っぽいキャラだけど、義に厚く過去のある男を演じ、借り物では無い新たなキャラを作り上げている。もちろん強い。そう、香港映画だから、主要キャラはどいつもこいつも強い。虐殺から逃げてきた女教師と子供たち。そして、一緒について歩いてる犬。子供と犬が、殺伐とした物語の緩和剤となっており、ラストのかっちょいい決め台詞につながる。子供と犬、といえば『マッドマックス2』だ。黒澤とレオーネどころじゃない、この映画は欲張りにも古今東西のアクション映画のいいところを集め、それを模倣するだけでなく新たな香港アクション映画に作り変えてしまっている。



 カンフーをメインに置きつつも、鞭、刀、銃と多彩な武器による戦闘シーンがふんだんに盛り込まれており、時として台所道具のオタマやザルすらも人殺しの道具になる。バラエティに富んだ立ち回りは武術指導のサモハンのアイデアか。




 大軍勢に対する大逆転の大秘策、悪い奴は徹底して悪く、正義を貫く男たちがそれを叩く。単純明快、ドストレートに胸のすくアクションをこれでもかとばかり見せてくれる。おもろい! それに香港映画の女優さんはみんなキレイで強い。でもひどい目によくあいがち。古典に敬意を表しつつ、新たなアクションの世界を見せてくれた一本。またこんな映画を見てみたい。かつての香港映画だったら、便乗作品がわんさと出たけど、今はどうなんだろうか。




 胸のすくアクションを見た後は、もう一本『真白の恋』を見る。どうせ京都に来たなら、はしごして帰らないと。カンフーでも怪獣でもない、なんというか『ささやかな映画』。富山県のある町に住む軽度の知的障害者、真白と東京から来たカメラマンとの交流を淡々と描く。障害者とその家族、そして周りとの関わりをさらりと描いているのが実にうまい。ほとんど照明を用いず、ナチュラルに聞こえる会話の中で繰り広げられる物語は、ドキュメンタリーを思わせる。『障害って何?』『障害があるから、どうなの?』そんなテーマも内包しているけど、あまり前面に出さない。カメラを通じて真白が一人の男を好きになって、夢中になっていく様子を淡々と描いていく。人を好きになることで、彼女、そしてその家族に訪れる変化は何だろう、そんなことを考えながら、映画は終わる。ブツン、と終る。ひょっとして、そんなこと忘れてしまうかもしれない。それでもいいかもしれない。障害があるから何もできない、しちゃいけないの? だからといって好きなことをさせていいのか? 劇中でも語られる、障害者とそれを取り巻く問題は、答えの見つからないまま、これからも討論される問題なんだろう。でも、彼女は生きていく。普通であること、そうでないことってそんなに差はないんだよな。



 真白を演じる佐藤みゆきの演技が素晴らしい。障害者を演じるというのは奇妙な言動だけではない。ちょっと視線を外し、相手と微妙にかみ合っていない感じが必要だと思っている。彼女は見事にそれをやってのけていた。ひょっとしたら、本当にその街に行けば、自転車に乗った彼女に会えるかもしれない。そんなことを思わせるぐらいに、ナチュラルだった。でも真白の父親が長谷川初範だったので、頭の中にウルトラマン80のBGMが流れていたのも、事実。




 安易に感動した、とは言えないけど、なんだかじーんとくるものがあった。ラストで『え?』と思ってしまったけど、あれがないと終わらないか。障害者を扱う映画って作るのが難しいと思うけど、感動を押し付けない良作。ドンパチと感動、両極端な二本を見て、大阪に戻る。あ、週末また京都に行かないと。今度は大好物な怪獣ですので。



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プロフィール
HN:
馬場卓也
性別:
非公開
職業:
作家
趣味:
怪獣
自己紹介:
作家。一応作家。
CS放送のシナリオ公募で佳作入選。
『SHUFFLE! アンソロジーノベル』
でデビュー。
『School days 君といる、空』で長編デビュー。(ともにJIVE )

『真田十勇姫!』(ソフトバンクGA文庫)
シリーズほか、チョコチョコと。
ラノベ、ゲームシナリオ等々、何でもやりますのでお仕事お願いします。
 怪獣とかチャンバラが好きやねんけど、女の子率高いなあ。


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