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 作家馬場卓也のおもちゃと怪獣と仕事の三つ巴生活!  男もつらいし、女もつらい。男と女はなおつらい! てな訳でよろしく
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夏休み は怪獣なので、『バカ戦』読んでください!
・夏です、お盆です。お盆といえば怪談、お化けです。最近は夏の怪奇番組が復活しており、子供たちを怖がらせております。それでいいです。お化け、UFOは子供時代に通過しないと。


 ということで、恒例みなみ会館のアレも8月は『京都怪奇映画祭ナイト』と称し、怪奇映画のオールナイトという恐ろしいプログラムを上映することに。
     

 内容は『帝都物語』『地獄』『マタンゴ』の、いったい誰が選んだのか? な三本。がちがちに怖い映画じゃないから安心だ!



 久々のオールナイト、そして、中学時代、上映劇場を追っかけるほどに好きだった『帝都物語』との久々の対面。気門遁甲、陰陽道、地脈、式神……当時、中二病をこじらせるほどにはまった映画。





 明治から昭和にかけて、帝都壊滅をもくろむ魔人加藤保憲と、実在の偉人たちのとの戦いを描くこの作品は、いい感じのごった煮感。偉人たちが入れ代わり立ち代わり現れる、時代がポンポン飛ぶ、加藤はことごとく計画が失敗する……。大長編の原作を2時間強にまとめるのだからダイジェスト感は否めないが、それでも余りあるゴージャス感! 


 バブル全盛期に、あの実相寺昭雄監督に大作を撮らせた勇気、それに答えた監督の手腕。豪華キャストに昭和初期の銀座大オープンセット、ち密なミニチュア群、そしてストップモーションの怪物たちに人造人間、学天測。あらゆるテクニックを駆使し、この大長編を見事にまとめ上げている。


 豪華ディナーというより、大盛り定食、カツ丼大盛り+焼肉定食の雰囲気な映画である。
 映画の後は魔人加藤保憲を演じた嶋田久作さんによるトークショー&サイン会。嶋田さんご自身もこういったイベントに出るのは極めてまれなこととのこと。さっきまで『我を崇めよ!』とか言ってた人が『どうもこんばんわー』と舞台に立っているのは不思議なものである。トークは撮影裏話、特に共演した勝新太郎氏のことがとても面白かった。セリフにダメ出しされたり、自身はセリフ覚えず、フィーリングで芝居するので回りがハラハラしていたとか。



 その日の京都は大雨、まるで魔人加藤を迎えるような悪天候だったというが、上映前にはすっかり晴れていた。


 サイン会の間には、主催のキャスト藤村氏と京都の怪奇者といえばこの方、山田誠二氏による『地獄』トーーーク。これで次の地獄への予習はバッチリである。沼田耀一の怪演もさることながら映画の見どころはトンとやってちょっと飲んでトンチュー軒と、ヘーイガデムユー、権藤組の幹部タイガー恭ちゃん知らねえなー? だということはわかった。
 


 
 そして『地獄』。怪談映画の巨匠、中川信夫監督によるカルト映画である。のっけからぐわしゃーんという音に赤ん坊の泣き声、そしてなまめかしい女の声……見ているものを不快にさせつつ、これから始まる物語への得もいえない不安感を煽り立てる。



 音楽は渡辺宙明、キカイダーやマジンガーの渡辺さんである。


 物語は悪魔のような友人に翻弄されつつ、人生を転がり落ち、ついには地獄に落ちる青年のお話。勤つに挿入される耳障りな破壊音、読経、巡礼や托鉢僧……死のイメージをちらつかせ、物語は進む。何気なく風景になっている蒸気機関車の走行ですら、不気味である。



 メインディッシュが地獄巡りだから、人が死ぬ死ぬ。



 『え、そんなことで死ぬの?』 みたいな感じで、主人公含め、周りの人間が死んでいく。悪党の巣窟のような養老院で、無駄に長いバカ騒ぎの後、もがき苦しみ、死んでいく人たち。



 そして地獄巡りである。闇の中、泣き叫び、血みどろになる亡者たち、巨大な歯車の上で泣きわめく赤ん坊。見る前から『ぜったい『地獄』で眠くなるなー』と思っていたけど、それは前半の人間ドラマが面白く、逆に後半の地獄巡りがぼんやりとしているので、とても眠い。生々しいメイクと多重合成によるぼんやりとした地獄……眠い。


 画像は中川監督が演出したウルトラ怪獣、アクマニア星人。


 何とか地獄の睡魔から解放された後は、『マタンゴ』である。しかも、上映前には映画の中でむしゃむしゃと食べていたキノコを、当時助監督だった中野昭慶監督監修のもと、素材から忠実に再現した『きのこもち』を販売。あくまでもきのこもちであって、マタンゴではない。上映前には、中野監督の試食ビデオを流すなど、なんて至れり尽くせりな上映会なんだ。





 『マタンゴ』は言うまでもなく東宝SF映画の傑作。孤島に流れ着いた男女のサバイバル……もう何度も見た映画だから、前半の登場人物たちの葛藤やドラマの部分で寝てしまった。そしてマタンゴ登場、森の中で突如その巨体を立ち上がらせ、ふぉふぉふぉふぉと人間たちに迫る姿は不気味だし、執拗に人間たちのもとを訪れる演出も怖い。



 マタンゴはなぜ人間を襲うのか? あれは襲ってるんじゃなくて、仲間になるように誘いに来ているのだ、と以前うちの子供が言ってた。なるほど、マタンゴは人間食べないし、仲間がほしいんだな。





 上映が終わった京都の朝は、どんよりと曇っていた。お盆も終わりに、トンでもないものを見てしまた。これは夢だ、夢に違いないと家に帰って寝た。そして起きて今これを書いている。甦る記憶に、枕もとのきのこもち。あぁ、あれは夢じゃなかった。そして俺は今、買ったまますっかり忘れていた『地獄』のVHSを流している。無間地獄だ。ヘーイ、ガッデムユー! 



 

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プロフィール
HN:
馬場卓也
性別:
非公開
職業:
作家
趣味:
怪獣
自己紹介:
作家。一応作家。
CS放送のシナリオ公募で佳作入選。
『SHUFFLE! アンソロジーノベル』
でデビュー。
『School days 君といる、空』で長編デビュー。(ともにJIVE )

『真田十勇姫!』(ソフトバンクGA文庫)
シリーズほか、チョコチョコと。
ラノベ、ゲームシナリオ等々、何でもやりますのでお仕事お願いします。
 怪獣とかチャンバラが好きやねんけど、女の子率高いなあ。


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