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 作家馬場卓也のおもちゃと怪獣と仕事の三つ巴生活!  男もつらいし、女もつらい。男と女はなおつらい! てな訳でよろしく
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 変則的な仕事で、平日だけど、気分は日曜日の休日。


 何度も見てるけどスクリーン初体験の『ジョーズ』を見に難波へ。前回の『未知との遭遇』と同じく、『午前十時の映画祭』枠である。なので早起きしていかないといけない。



 アメリカの小さな観光地で起こった惨劇。この映画でサメのマイナスイメージが高まったことは間違いないし、ジョン・ウィリアムズの有名すぎるテーマ曲ももう何度も聞いてきた。ニュースやバラエティでサメが取り上げられると決まってこの曲が流れる。ちなみに香港や中国の特集をする場合は燃えよドラゴンだったが、最近はプロジェクトAかワンスアポンアタイムインチャイナ。でもサメはこの曲。



 USJの人気アトラクションにもなってるし、映画を知らなくともサメグッズを買って喜んでる人たちもいる。そんな人たちにもぜひ見てもらいたい。この映画の大ヒットの後、腐るほど動物パニック映画が作られてきたし、あの『恐竜怪鳥の伝説』も生まれてこなかっただろう。この映画は単なるサメパニック映画ではない。海を舞台にした、男たちの熱いドラマでもある。


 しかし、前回も『未知との遭遇』もそうだったが、スピルバーグは焦らし、すかす演出が見事である。最初に事件を見せて、そこからじわじわとサメの被害を小出しに見せていく。サメ事件で大忙しの警察署長、ブロディ(ロイ・シャイダー)が海水浴客でにぎわう海を見ている。海ではしゃぐ老若男女の何気ないカット割りの積み重ねだけで、見てるこっちも不安になってくる。そしてサメ登場→パニック→いたずらでした、からの本物の登場とか、緩急のつけ方が上手い。本当にこれ、現場でシナリオ書きながら撮ったのか? サメの登場が遅いのは作り物の完成が間に合わなかったとか、海で使えるように改良をしたとか言われているが、それでもこの演出方法を用いたであろう、たぶん。観客をいったんほっとさせてからズドン、と絶望に叩き落す、意地悪な演出だが、見てる方にはそっちの方が効果的である。



 海洋学者フーバーとサメ狩り名人クイントと組んで、サメ退治に出かけるブロディ。しかし、ブロディはヒーローでも何でもない、警察署長ではあるが、利益優先の市長たちと恐怖におののく市民との間に板挟みになり、仕事に追われるさえないおっさんである。海のことなんかよくわからない、雑用をこなすだけ。そんなブロディの前にホオジロザメががばーと口を開けて登場! ブロディ、少しも慌てず、くわえたばこのまま『船が小さい』とだけ呟く。この何気ない言葉が、この映画を、このバケモノのすべてを語っている。『大きい』とは言わない。逆説的に言う事でサメの巨大さを表す、見事なセリフ回し。
前半の『我々はサメの寿命も知らない』で、既知の生物から未知の脅威に変換する瞬間と並んで、この映画の名セリフ、だと思う。



 昔気質の頑固者クイントとオタク気質だけど熱いフーバーという性格も立場も異なる三人が、いがみ合い、協力し合いながらサメを追う。動物パニックから一転、海洋冒険ものに変わっていく。サメに打ち込んだ銛に括り付けた樽が二個も沈んでいく描写で、さらにバケモノ度を強調。勝てるのか? わかっていてもハラハラする。



 そしてクライマックス、サメにとどめを刺すブロディ『くたばれバケモノ!』この瞬間、おっさんがヒーローになる。当時スピルバーグは二十代。『未知との遭遇』もそうだったが、この映画でも完全無欠のヒーローではなく、冴えないおっさんが勝利する。これは後の『宇宙戦争』に通じる。



 姿を見せないサメ、無理解な上層部、人間の予想を上回るバケモノ、と動物パニックであるし、この映画は怪獣映画でもある。



 
 ちょうどその日は割引デー。ジョーズ見終わってもう一本見てもいいかも、と思っていたら、ちょうど『シャザム!』が上映中。ジョーズの終了が12時15分、シャザムの上映開始が12時10分、微妙に遅れるのでは? いや、シネコンには長い長い予告編タイムがある。5分遅れてもなんとか間に合うものである。


『シャザム!』はDCコミックのヒーロー。魔法の力で少年が筋骨隆々とした無敵の超人に変身! でも中身は子供なので、そのパワーをアホなことにしか使わない。ガキが超能力持つとろくなことがない。動画投稿したり、超能力を見せて小銭稼いだりと、前半のパワーの無駄遣いっぷりが楽しい。しかし、そうもいかないのがヒーロー映画。ちゃんと悪役も登場し、ヒーローはヒーローらしく立ち向かわなければならない。『超人能力』の無駄遣いと正しい使い方』を面白おかしく、きちんと描いている。シャザムに変身するビリー少年の孤独と、そこからの介抱も並行して描かれており、そのが上手く絡み合ってる。作ってる人はたぶん自分と同年代か、少し下、80年代のヒット映画の要素がちらほら見えるのが嬉しい。舞台がフィラデルフィアなので、ロッキーネタも。そういうくすぐり要素も入れながら、実に痛快な面白い映画になってる、いわば、アメリカのパーマン。きちんとDCユニバースともつながっていて、バットマンとスーパーマンが存在する世界観なので、やたらとネタにされるが、デッドプールを思わせるが、そこまで過剰ではない。


 
 超人バカ騒ぎからバトル、そして怒涛の賑やかなクライマックスまで、予備知識なく見た自分にとっては驚くことだらけだったり、時にニヤニヤしたり。やっぱりアメコミヒーローものは愉快で楽しい方がいい。ちびっこにもぜひ見てもらいたい、明朗快活な映画だった。  

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プロフィール
HN:
馬場卓也
性別:
非公開
職業:
作家
趣味:
怪獣
自己紹介:
作家。一応作家。
CS放送のシナリオ公募で佳作入選。
『SHUFFLE! アンソロジーノベル』
でデビュー。
『School days 君といる、空』で長編デビュー。(ともにJIVE )

『真田十勇姫!』(ソフトバンクGA文庫)
シリーズほか、チョコチョコと。
ラノベ、ゲームシナリオ等々、何でもやりますのでお仕事お願いします。
 怪獣とかチャンバラが好きやねんけど、女の子率高いなあ。


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