作家馬場卓也のおもちゃと怪獣と仕事の三つ巴生活!
男もつらいし、女もつらい。男と女はなおつらい!
てな訳でよろしく
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 もうすぐ今年も終わり、振り返れば、映画館で見たものといえば、怪獣か宇宙人か超人が出てくる映画しか見ていない。スターウォーズは子供と約束しているので、ひとりで行けない。しかしどうにも偏食気味である。これはいけない、というわけではないけども、たまには毛色の変わった映画、ほんの少しでも『見たいな』と思ったものを見ておこうと思い立ち、普段はあまり行かないMOVIX堺へ。
『この世界の片隅に』は、うちの近所ではここでしかやっていない。それも評判が評判を呼んでの拡大上映である。いったい何がいいのだろうか、そんなこともあり、見てみることにした。
ネットの評判では映画が始まった瞬間、号泣するぐらいにオーバーに掛かれていたが、果たしてそうなのだろうか。まず『泣ける』『感動する』と人に言われることほど心が動かないものはない。そんなものは自分で決めることなのだ。
映画は戦中、戦後の広島、呉を舞台に一人の女性の目から見たその当時の様子が描かれる。日ごとに激しくなる空襲、そして原爆。しかし、これは戦争を生きる人たちのドラマではなく、『生きてたら戦争があった』人たちのドラマなのだ。
主人公、すずが淡々と生きる。特に大きなドラマもなく、淡々と生きる。ただそれだけで、なんだかホッとする。丸っこいラインのキャラと、緻密に描かれた当時の街並みが温かい。しかし、それだから余計に、ぐりぐりとえぐられるような場面に出くわすこともある。
そしてラスト近く、とあるエピソードでウルウルとしてしまった。なぜ? どうしてかはわからないけど、涙流れ、鼻の奥がしくしくと湿り出す。なぜだ? 見終わった後、パンフレットを購入する声が震えていた。
普通に生きることが難しく、それでいて力強い。そんな日常の積み重ねに、なぜか涙してしまうということは、よほど今の生活がすさんでいるからなのだろうか。
この映画には怪獣も宇宙人も超人も出ない、でもお化けが出た。ドラマに密接にかかわることもなく、ぼうっと現れるオバケ。オバケにもオバケの事情があり、元からオバケだったり、オバケにならざるを得なかった者もいたり、オバケだったもの、オバケになりかかったものもいる。オバケと戦争が共存する日常は決して創作の中のものではなく、案外近くにあるのかもしれない。そして、すずが進駐軍から残飯をもらう戦後の呉の闇市の片隅では復員兵の菅原文太や、無銭飲食で千葉真一に青竹で袋叩き似合う北大路欣也がいたりするかもしれない。この映画も、同じく戦後の呉から始まる『仁義なき戦い』もどこかで繋がっているようにも思えた。オバケもいるんだから、極道者やテキ屋だって『この世界』にいるはず
そして『手』の映画でもある。全編通して、手がキーポイントになる。細やかに作画された手の描写は人と人との繋がりを意味しているのかもしれない。人の繋がりもあれば、別れもあっけなくやってくる。それも淡々と、やってくる。ああ、普通はそういうものなのかなあ、と思ってしまう。
失ったものと、代わりに得たもの、という構造は韓国映画『グエムル』にも似ていると思ったのだが、それは気のせいかもしれない。
年の瀬に、とんでもなく、愛おしい映画に出会ってしまった。パンフレットが怖くて開けられない。
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プロフィール
HN:
馬場卓也
性別:
非公開
職業:
作家
趣味:
怪獣
自己紹介:
作家。一応作家。
CS放送のシナリオ公募で佳作入選。 『SHUFFLE! アンソロジーノベル』 でデビュー。 『School days 君といる、空』で長編デビュー。(ともにJIVE ) 『真田十勇姫!』(ソフトバンクGA文庫) シリーズほか、チョコチョコと。 ラノベ、ゲームシナリオ等々、何でもやりますのでお仕事お願いします。 怪獣とかチャンバラが好きやねんけど、女の子率高いなあ。
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