作家馬場卓也のおもちゃと怪獣と仕事の三つ巴生活!
男もつらいし、女もつらい。男と女はなおつらい!
てな訳でよろしく
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 日本映画の大傑作、白米がおいしく頂ける映画『七人の侍』の中で、燃えさかる水車小屋から農民の赤ん坊を助け出した自称サムライの三船敏郎。
赤ん坊を抱えて彼は叫ぶ『これは、俺だー!』
彼もまた戦乱を生き抜いた百姓の子供だった。
その境遇、シチュエーション、何でもいい、そんな瞬間が日常世界にもあるとすれば?
ある日、盆と正月に顔を合わせるぐらいでめったに連絡を取らない友人からメールがあった。
いったい何事かと、内容を見る。
『『地獄でなぜ悪い』面白いよ、必見!』とだけあった。いや、厳密には『俺らのことを描いてますよ』ともあった。
友人の言うことはかなり信用できる。それに『地獄でなぜ悪い』は何となく見てみようかなと思っていたので、その後押しをしてくれたようなものだった。
これはぜひ行こうと思い、時間を見つけ、橿原のイオンモールへと出かける。
園子温監督は『怖い映画を撮る人』というイメージがあり『愛のむき出し』『冷たい熱帯魚』も未見だった。今回が初めての園子温映画である。
やられた!
そして前述の『これは、俺だー!』になる。
お話はやくざの組長が娘主演の映画を作る、以上。
いやそれに、ファックボンバーズなる、中学生感覚で名づけたとしか思えないネーミングの自主映画集団が出てくる。メンバーは監督一人に、カメラが二人の少人数精鋭。
彼らは常に8ミリカメラを回し、面白そうなものを撮る。瀕死のやくざでも不良高校生の喧嘩でも、撮る。
彼らは何事にも物おじせず、生涯に一本の傑作を作れる日を待っている。そして10年後、機材はビデオカメラになったものの、彼らは相変わらず、映画を撮っている。
アクション俳優としてスカウトしたトラックスーツ男も律儀に付き合っているが、いい加減、限界を感じていた。でも10年かトラックスーツとヌンチャクを装備しているなんて、本当はいいやつなんだと思う。ちなみにバイト先は中華料理店。
そこに先ほど書いたやくざの組長の映画製作が絡み、遂には抗争相手の組も巻き込み、無茶苦茶さ加減が暴走していくのだ。
とにかくこのファックボンバーズの、勢いで8ミリ映画を撮る姿が、昔、同じように8ミリで映画を作ってきた人間にはものすごく共感できるところがある。
公園でトラックスーツ男と、『燃えよドラゴン』のハンのように鉄の爪を装着した監督が戦う。公園なので、子供もいる。いっぱいいる。その中の一人が指をさして叫ぶ『おい、バカがいるぞ!』。
俺もだー! 公園でガンマン対侍の映画を撮影中に子供に邪魔されたよ!
このシーンだけでこの映画は信用できる! そのあと無茶苦茶な方向に加速していっても全然大丈夫だ。それとファックボンバーズの監督が『カンヌ』と書かれたTシャツを着ているのもポイント高し。
とにかくファックボンバーズは己が信じた道を進むので、何事にも物おじしない。それがやくざでもだ。むしろ逆に撮影機材一式をそろえたやくざたちに歓喜の表情を見せ、彼らをコントロールし始める。
かくして前代未聞の『ガチのやくざの抗争をそのまま映画に撮る』、撮影が始まるのだ。ただ、抗争相手にも事前に連絡して、段取りするのはさすが。
噴水のように飛び散る血しぶきが、ちびっ子プール並みにたまっていく!
一度はトラックスーツを脱いだ21世紀のブルースリーも再びヌンチャクを手に、やくざどもに立ち上がった! 男たるもの、なかなかトラックスーツは脱げないものである。
それでもカメラは回っている、監督は演出をつけまくる!
劇中、やくざの組長がとある撮影現場を訪れ『みんな偽物じゃねえか』と毒づく場面がある。もはや現実なのか、フィクションなのか境界線が曖昧になっていくのだ。
ひょっとしたら10年間もカメラ回し続け生活感の全くないファックボンバーズは映画の神が遣わした映画妖精じゃないのか? とさえ思えてくる。
俺は昔大学の卒業制作で『滅んでいく8ミリ映画にささげるレクイエムのような映画』というこっぱずかしい作品を仲間を集めて作ったことがあるが、もっと突き抜けてもよかったんだと、いまさら思った。
本当はやくざの組長やその娘、抗争相手のドラマもあるのだが、ンなことはどうでもいい。ファックボンバーズが、最高の機材をそろえて最高の作品を作る姿を見ているだけで最高の気分になるのだ。
あの時、大学で一緒に8ミリ作ったりした連中はこれを見てどう思うだろうか?
映画とブルースリーへの愛がパンパンに詰まってどこかへ飛んで行ったこの映画はある意味では『パシフィックリム』と並ぶ『男心をくすぐりまくる映画』だと思う。
そして映画と同名の主題歌の心地よさ。実に映画の内容にリンクしているのだ。
いい歌だな、と思ったら、歌っているのは劇中でうざいぐらいのへなちょこっぷりを見せつけた人だった。
血まみれだけど、心地よい爽快感、そして大学時代の友人、そしてこの映画をメールで進めてくれた友人に、この場を借りて感謝したいのです、ありがとう。
そして勢いづいて、ストップしていた原稿を進めましょう。もっと無茶苦茶に、もっとバカバカしく、やってもいいはずだ、たぶん。
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プロフィール
HN:
馬場卓也
性別:
非公開
職業:
作家
趣味:
怪獣
自己紹介:
作家。一応作家。
CS放送のシナリオ公募で佳作入選。 『SHUFFLE! アンソロジーノベル』 でデビュー。 『School days 君といる、空』で長編デビュー。(ともにJIVE ) 『真田十勇姫!』(ソフトバンクGA文庫) シリーズほか、チョコチョコと。 ラノベ、ゲームシナリオ等々、何でもやりますのでお仕事お願いします。 怪獣とかチャンバラが好きやねんけど、女の子率高いなあ。
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