作家馬場卓也のおもちゃと怪獣と仕事の三つ巴生活!
男もつらいし、女もつらい。男と女はなおつらい!
てな訳でよろしく
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ふた月ほど前、右奥歯の歯茎が痛くて眠れないぐらいに張れ、まるでこぶとり爺さんのようになったことがあった。歯医者に飛び込み、患部の膿を抜き取ってもらう事で事なきを得たのだが、先日のカウリスマキナイトのあたりから、再発しそうな予感はあった。また右の奥歯がうずく、でも前回きちんと治療したから放っておけば治るだろうとタカをくくっていた。しかし、痛みも腫れもどんどんひどくなっていく。痛みで目が覚めるような、前回のような目に遭わないためにも早めに予約を入れたもの、空いてる時間が夕方の5時。今のところ痛くてたまらない、という事もないので何とかしのげそうだ。しかし、歯茎がうずくためか、鎮痛剤のせいなのか、どうにも頭がぼーっとして考えることができない。しかし、せっかくの休みに何もしないのももったいない。と、何とか映画館へ。昨日のアカデミー賞で作品賞、監督賞含めて4部門受賞した『シェイプ・オブ・ウォーター』を見る。怪獣愛が炸裂した『パシフィック・リム』のデルトロ監督が、今回も異形への愛情を注ぎこみ、それがまさかオスカーを獲るとは。怪獣映画がアカデミー賞を獲ってしまった。賞を獲ろうが獲るまいが見たい作品だっただけに、喜びもひとしお。うずく歯茎とぼーっとした頭で何とか劇場へ。
言葉が話せず、手話でコミュニケーションをとる主人公イライザとアマゾンで捕獲された半魚人とのラブストーリー。デルトロ監督は『大アマゾンの半魚人』にリスペクトを捧げ、しかも自分なりのオチをつけている。 冒頭、イライザが靴を丹念に磨きながら出勤し、途中で靴屋のショーウィンドウを覗き込むシーンがある。言葉のない女性と靴、という事でこの物語は『アマゾンの半魚人』でもあり『人魚姫』の裏焼きの設定なのだ、という事を匂わせている。魔女から人間の足をもらう代わりに言葉を奪われた人魚姫は……と、映画を見ている最中、うずく歯茎を舌でいじっていたら、患部が破裂し、どっと膿が出た。口内に広がる苦い感触。それと同時に、痛みも腫れも嘘のようになくなった。そうか、今日の歯医者の予約が遅くなったのも、この映画を見に行ったのもすべてこれのためだったのか! これで歯医者に行かなくて済む、ありがとうデルトロ監督! 人間と半魚人の生と性、そして恋を描くこの作品はデルトロ監督らしくブラックで残酷な味付けも盛り込まれて普通のラブストーリーには終わっていない。そこが好悪別れそうなところだが、声のないイライザ、その同僚の黒人女性、ゲイの同居人、共産圏のスパイ、それに人ではない半魚人等マイノリティーに向けられた眼差しは暖かくユーモラスで、どこか先日のカウリスマキ作品と繋がるところがあったりする、ように感じた。音楽と手話で半魚人とコミュニケーションをとるイライザは、施設から彼を脱走させ、自宅(映画館の二階に住んでいる設定もいい)で匿ううちに恋愛感情が芽生えてしまう。その辺の描かれ方も特に盛り上げるでもなく実にあっさりと処理しているが、それが逆に印象強くしている。 異種族間の恋愛をファンタジーで終わらせないのもいい。『パシフィック・リム』で怪獣の排泄物や死体の始末等、普段怪獣映画では触れない部分にあえて踏み込んだデルトロ監督らしさがある。 前編に流れる音楽も優しく、ミュージカルを見てステップを真似るイライザが終盤近くに見る夢のシーンの美しさはこの映画唯一のファンタジーなのかもしれない。そしてファンタジーを乗り越えたラストで、思わずうるっときてしまう。 怪獣映画の新たなステップを目指し、それがオスカー受賞という快挙を成し遂げたのだが、これ以降、怪獣恋愛映画が量産されたらどうしよう、といらぬ心配もしてしまった。 とにかく痛みから解放された上に最高な物語を見せてくれたデルトロ監督には感謝しかない。そしておめでとうございます。 PR |
カウンター
プロフィール
HN:
馬場卓也
性別:
非公開
職業:
作家
趣味:
怪獣
自己紹介:
作家。一応作家。
CS放送のシナリオ公募で佳作入選。 『SHUFFLE! アンソロジーノベル』 でデビュー。 『School days 君といる、空』で長編デビュー。(ともにJIVE ) 『真田十勇姫!』(ソフトバンクGA文庫) シリーズほか、チョコチョコと。 ラノベ、ゲームシナリオ等々、何でもやりますのでお仕事お願いします。 怪獣とかチャンバラが好きやねんけど、女の子率高いなあ。
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