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 作家馬場卓也のおもちゃと怪獣と仕事の三つ巴生活!  男もつらいし、女もつらい。男と女はなおつらい! てな訳でよろしく
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これを書いてる時点で残りあと二日となってしまった京都みなみ会館。今週からは『さよなら興業』と銘打ってみなみ会館ゆかりの作品、人気作品を連続上映。行けるのは今日しかない、と昨日、春の陽気もあって、バイクで京都へ。


 そういえば4年前、今に至るすべての源流となった『地球防衛軍』上映の際も軽い気持ちでバイクで向かったことを思い出した。高速を使わないならバイクの方がすいすいと京都に行ける。この道もあの道も、通いなれた道を通るのもこれが最後かもしれない。油小路通りを走り、いつもの某診療所の角を曲がる。すると裏道からみなみ会館へ。老婦人の陶器製人形を飾ってあったけど、いつの間にかなくなっており、それ以来『ババアの家』と勝手によび、勝手に怪談話をでっちあげていたあの家もこれで見納めか。

 昨日見たのは『太陽を盗んだ男』『黒蜥蜴』『江戸川乱歩全集恐怖奇形人間』の和製カルト映画。本当はそのあと『鉄男』『狂い咲きサンダーロード』と続き、まるでオールナイト興行のような濃いラインナップで、学生時代を思いだす。確か『奇形人間』を初めて見たのもみなみ会館だった。奇形人間で始まり、奇形人間で終わる、俺のみなみ会館。


『太陽を盗んだ男』は劇場で見るのは初めて。平凡な理科教師、ジュリーが原発からプルトニウムを奪い、原爆を製造、国家に脅迫を仕掛ける。今までの邦画になかったタイプのサスペンス超大作だが、主人公が原爆を作ってみたものの、特にこれと言った目的もなくいたずらレベルで脅迫を仕掛けるのが面白い。やるせない男と、それに同調する女の共犯関係。80年代に差し掛かる前年、大作映画の波に乗って生まれたような突然変異。ゲリラ撮影で都心部でのパニック描写、カーチェイス等やりたい放題。実直で真面目そうな刑事、菅原文太も終盤に進むにつれてヒートアップ。ラストの対決では完全に実録路線の顔に戻っておりました。『お前が殺していいのは、お前だけだ!』の言葉通り、無気力な青年はただ暇をつぶしたかっただけかもしれない。しかしその手段が原爆製造だから迷惑な話である。劇中で『ウルトラマンレオ』最終回が流れるのでみなみ会館でレオ最終回が流れるのはこれで2度目。みなみで菅原文太を見るのはこれが最初?

『黒蜥蜴』は20年ほど前のリバイバルで見て以来。己の欲望と美の追求のために犯罪を重ねる女賊黒蜥蜴と名探偵明智小五郎の対決。趣味と欲望のために他人が理解できない理論で犯罪を重ね、ユニークな部下を大勢持つ黒蜥蜴はバットマンの悪役みたい。そんな自分の唯一の理解者である明智とは心惹かれ合うものがあるものの、敵と味方であるという立場上、本音を言えないという関係。誘拐されまくる松岡きっこがキュートで、全裸の松岡を箱に詰め新幹線で輸送するという、日常の中に潜む異変は乱歩らしさがよく出ている気がする。ろくに乱歩読んでないけど。冨田勲の楽曲が一瞬キャプテンウルトラに聞こえそうになる、深作欣二の松竹映画。

『奇形人間』はそのカルト的人気から、学生時代は上映されれば必ず見ていたような珍妙な味わいの作品。それが今じゃ普通に販売されてるから世の中変わったね。これも乱歩。『パノラマ島奇譚』に乱歩作品の美味しい所をミックスした構成。自分そっくりの他人に成りすますのは『双生児』だったかな。ひょっとしたら真っ当な乱歩的倒錯サスペンスになりそうなところを、土方巽が全部ぶち壊し、グロというか、奇天烈な見世物が延々続く秘宝館のような映画。奇形人間の島に上陸し、珍妙なショーを散々見せつけられる主人公たちが『それ、どこがおもろいの?』とばかりに辛そうな顔をしているのが分かる。有名なラストの『おかーさーん』ではどこの上映でも爆笑が巻き起こるのだが、今回は起きず。初見の人が多くて、呆気にとられたのかも。今回は三本とも上映終了後に自然と拍手が巻き起こっていた。あの拍手は作品の面白さもあるけど、みなみ会館への感謝の証だったように思える。

 もうあの角を曲がることもない……いや、最終日には数々のイベントが行われたみなみ会館一階でババジラジオやります。みなみ会館はおやすみだけど、一階の元パチンコ屋ラスベガスとはこれでお別れ。いつも通りダラダラとやります。



 






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プロフィール
HN:
馬場卓也
性別:
非公開
職業:
作家
趣味:
怪獣
自己紹介:
作家。一応作家。
CS放送のシナリオ公募で佳作入選。
『SHUFFLE! アンソロジーノベル』
でデビュー。
『School days 君といる、空』で長編デビュー。(ともにJIVE )

『真田十勇姫!』(ソフトバンクGA文庫)
シリーズほか、チョコチョコと。
ラノベ、ゲームシナリオ等々、何でもやりますのでお仕事お願いします。
 怪獣とかチャンバラが好きやねんけど、女の子率高いなあ。


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