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 作家馬場卓也のおもちゃと怪獣と仕事の三つ巴生活!  男もつらいし、女もつらい。男と女はなおつらい! てな訳でよろしく
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 見る前の不安材料、つまりマイナスが転じて全てプラスになった奇跡の傑作『ウルトラマンサーガ』。その興奮冷めやらぬまま、あぁもう一度見たいなあと思う日々。
 やることも片付けたし、後は返事待ちだが、悲しい結末になる前に自分にご褒美を買い与えることにする。『サーガ』も傑作ヒーローものなら、これもまた傑作の『電人ザボーガー』。



メカ、空手、人生……男の好きな要素を全てぶち込んで、『男はアホやなあ、でもやらなアカンよなあ』と思わせてくれる昨年度№1の映画。まさかザボーガーで涙ぐむ日が来るとは予想だにしなかった。それだけにカッコイイ。そして切ない。『サーガ』の特集本は子供向けながらも、写真によるお話解説、チームUのグラビア、怪獣塗り絵など……やっぱり子供向けだが、大の大人を買いに走らせる何かがある。それがあの映画の魅力のようなものなのかもしれない、とオタクはいつもへ理屈こねる。

 ザボーガーが70年代のヒーローならば、80年代のヒーローは? 
昨年からの復活ヒーローもののもう一方の雄、『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン 』も勢いあまって購入。

 こちらはリメイクではなく、あの宇宙刑事ギャバンが久々に地球にやってきて、現役ヒーローと共闘、というおっさんもちびっ子も大喜びな内容。
 ギャバンというキャラクターのインパクトの強さの勝利なのだろう、深夜のビル街にコンバットスーツ輝かせて、すっくと立つだけで全てを許してしまうダメな自分がいる。
 
 70年代、80年代のヒーローが復活し、戦隊もライダーも毎度お祭り騒ぎ、そんな中で、あえて異形のウルトラマンを創造した『サーガ』は、今後の新しいヒーロー像を模索する指針になりえるのだろうか。とはいえ、今度はライダーVS戦隊か、嗚呼。

 そういうわけでゴメスである。ゴメスは『ウルトラQ』第一話に登場した、いわばウルトラ怪獣第一号である。だから、というわけではないだろうがその気ぐるみは当方のゴジラを拝借し、改造したもの。設定が古代哺乳類だが、元より猫顔のゴジラに植毛し、角や爪をつけるだけで別物に見えるから不思議。

 今回の『ウルトラマンサーガ』でその雄雄しい姿をスクリーンに叩きつけ、劇場限定ソフビ化という、AKBでいえばセンターの座を勝ち取ったといってもいいぐらいの優遇を受けたゴメス。そんなゴメスいがうちにはゴロゴロしている。そして今日、ついにミニソフビウルトラ対決セットを購入。





 

ゴメス軍団と並べても遜色ないほどの出来。



 一緒に入っていたミニサイズのゼロを使えば、こういったこともできるが。これは……いや、なんでもない。

 ということで、スーパーで食玩を買った話をするのにここまでかかったという次第。外は嵐だ。子供が帰ってこない。

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 信じた! ずっと信じてきた。
 ウルトラマンを、そして数百もの怪獣たちを。
 
 物心ついたとき、ウルトラの新作はありませんでした。それでもケイブンシャの大百科と、朝日ソノラマのファンコレ、早朝夕方の再放送と駄菓子屋のミニカード、遅れてポピーのキングザウルスシリーズ等々で、その魅力は充分に理解していました。
 それから……。新作のないいわゆる『冬の時代』もありました。『エェ、こういうことやっていいのかよ!』みたいな作品もありました。そのムーブメントはあがったり下がったりを繰り返しながらも、東映の戦隊やライダーとともに、未就学児を中心とする子供のヒーローブランドであり続けてきました。
 
 そしてテレビでの完全な新作はないものの、今年もウルトラ映画の新作がやってきたのです。
『ウルトラマンサーガ』!



 初めそのデザインを見た時は『エェ、こういうのありかよ!』でした。不動明王のような、クリスタルでできた縄文土器のようなデザイン。まるで今までのイメージではないウルトラマン。それでも公開を待ちました。そして徐々に明らかになるその内容。
 主演のウルトラマンゼロに変身するのは竹下元首相の孫、ロックシンガーのDAIGO! マジかよ? しかし、よく考えてみれば、ウルトラマンキングの声を小泉元首相が当てたこともあるので、ウルトラと政界はどこかで細ーい繋がりがあるのかと思えば納得。

 そして競演にはウルトラマンダイナことつるの剛士に、ウルトラマンコスモスこと杉浦太陽という、『コレってお茶の間で人気者になったウルトラ俳優をキャスティングしただけなんじゃね? 客集めも大変だぜ』と邪推してしまいました。
 それにとどめは地球防衛隊約にAKB48からの選抜メンバーが! 

 日々増殖を繰り返し、各種メディアに侵入するAKB、ついにウルトラの世界にもやってきたのか? しかし、コレも今に始まったことではなく、仮面ライダーWにもメンバーが準レギュラー出演していたし、『真マジンガー』のエンディングはSKEのデビュー曲だった。俺の好きな作品に徐々に侵食するAKB! しかし、思い出せば『ゴジラ・モスラ・キングギドラ・大怪獣総攻撃』の併映はモーニング娘。がゲスト出演した『とっとこハム太郎』だった。アイドルと、特撮怪獣ものの結びつきなんて、昭和36年の『モスラ』で人気絶頂アイドルだったザ・ピーナッツが小美人役で出た時からあるし、それも気にはならなくなってきた。それらがいかに結びつき、どういう結果をもたらしてくれるのか、吉と出るのか、凶とでるのか。
 予告とメイキングをネットで少々見る以外は、情報をシャットダウンして、今日に望んだ。 
 
 傑作! だって、見終わってからずっとこの映画のことが頭から離れない。それはなぜだ? 色々な理由はある。個人的にはこれがヒーロー映画でありながらも純然とした『怪獣映画』だったからだ。
 今までの『大人数対大人数、ラストは巨大な敵にみんなで立ち向かう』、ウルトラ映画の様式を覆し、ウルトラマンも三人なら、怪獣も五匹と数を絞り、その結果、それぞれの見せ場をじっくりと見せることに成功している。

 それに、懸念していたAKBの起用も画面に違和感なく溶け込んでおり、逆に彼女たちでないとこれは成り立たなかったのでは? と思えるほど。特にリーダー役の秋元才加さんは、実に『かっこいいお姉さん』を演じておられた。終盤なんてまるで武士の風貌だ。褒めてるのか? 褒めてるよ。

 客寄せパンダ(失礼)と思っていたダイナ、コスモスもそれぞれの後日談としてしっかりと作られていた。それぞれのファンも納得し、かつウルトラ兄弟を出さずにあえて彼らをチョイスした意味が映画ではっきりと分かるつくりになっている。

 そしてシリーズ中最大の異形ともいえるウルトラマンサーガがとてつもなく強く、カッコイイ! ついでにハイパーゼットンは憎いほどに強く、極悪なラスボス怪獣の貫禄充分である!

 アーストロン、ゴメスといったどことなくゴジラを思わせる正統派デザインの怪獣(実際ゴメスは元々ゴジラの着ぐるみの改造、アーストロンの造形担当の安丸氏は後に84ゴジラを手がける)に、グビラという、とんでもデザインの怪獣、それにゼットンとかつては不細工なゼットン二代目でやって来た不細工なバット星人が、かっこよくなって復活。おかひでき監督(16ミリ作品『ひとけたの夏』以来の劇場作品?)の怪獣愛、特撮愛が伺える演出。
 あらゆる場面で『掟破り』な映画だと思う。しかし、これがまた心地のいい『掟破り』だったし、ウルトラシリーズはいつもそうやって既存の殻を割って成長してきたよなあ、といまさら思った。

(これより以下、箇条書きにネタばれ)




















 ゴメスの登場シーンはもろ『モスラ対ゴジラ』のゴジラ出現シーンのオマージュで嬉しくなってしまった。
 アーストロン対ダイナ戦は『キングコング対ゴジラ』以来恒例の、尻尾をつかんでのジャイアントスイングが炸裂! ウルトラ映画で、東宝怪獣映画のオマージュが見れるとは思ってもいなかった。
 
 ゼロと主人公タイガとの関係もいい。通常だと、人間がウルトラマンと一心同体になると、人間としての意識は無くなってしまう。しかし今回はタイガにゼロが憑依したものの、お互いの意識は独立しており、通常ゼロはブレスレットの中に封じ込まれた形になり、タイガと会話するという画期的なパターンをとっている。最近のライダーシリーズではよくある『自我を持つ変身アイテム』の変則的な、ウルトラ的な解釈か。
 そのタイガも、史上初の『変身するチャラ男』であり、軽妙な演技が、前半のコミカルなシーンを盛り上げている。そして彼が納得しないと、ゼロは変身しても普段の大きさにはなれないという設定も面白い。
 タイガが変身を拒否したため、身長10メートルほどにしかなれず、子供たちにからかわれながら戦いに挑み、苦戦するゼロ。初期の『キン肉マン』のようだ。

 チャラ男のタイガも、女だらけの防衛組織も実は裏があった。人には言えない暗い裏を取り払い、初めて彼らは前に進める。
 ウルトラマンと人間が手をとり、打倒バット星人、打倒ゼットンのみに絞られていくシンプルかつ熱い後半の構成。
『なぜ人間の味方を?』と尋ねるバット星人に『んなこと知るかよ、昔からやってるからだよ!』とヒーローらしくない返答のゼロ。

 そして、ゼロ、ダイナ、コスモスの三人が合体したウルトラマンサーガ!
三人が合体するという設定は『トリプルファイター』のオマージュかと思ったが、絶体絶命の危機にたりないところを補い合い、強大な力を身につけるというのは永井豪の『魔王ダンテ』を思わせる。そう、この映画はウルトラ映画でありながら、アイドル映画でもあるし怪獣映画でもある。そしてさらにはダイナミックプロな映画でもあった。腕のギザギザはゲッターロボか? と勘ぐってしまう。そういや、ゲッターも三つのマシンが合体するロボだった。
 
 今までは超がつくぐらいの巨大な怪獣がラスボスで、ビジュアル的な強さを出していたのに対し、今回はその逆で、巨大な幼虫からウルトラマンたちと同サイズのゼットンが孵化するという形をとっている。それがとんでもなく強い。怪獣の強さに思わず身震いしたのはいつからだろうか。

 ゼットンが『ゼットーン』と自分の名を鳴き声にするのに倣ってか『サーガ!』と叫び、防衛軍のサポートを受けつつも圧倒的な強さでゼットンを討つ! 超能力も光線技も五分五分なら後は拳で解決するしかねえ! という原始的な攻撃方法。だてに縄文土器を模したデザインをしていないぜ。
 まさかのグーパンチで勝利! アカン、ソフビほしなった!

 そして、エンドタイトルが流れ、それぞれのその後が映し出され……最後は地球から見た日本の姿が。さらにカメラは寄って東北地方に。最後のこれだけは蛇足だと思った。確かに昨年の震災のことを考慮してのことだと思う。分かるのだが、この映画は見てもらえること自体で被災地へのエールになっていると思うので、要らなかったかなあ、と思う。 あと、アーストロンのソフビを出してほしかった……。

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逃げられない苦しみに
悲しみに勝つために
大きな夢をひとつ持っていた
恥ずかしいくらいバカげた夢を
そしたらなぜか小さな夢が
いつのまにか叶ってた

福山雅治の『生きてる生きてく』の一節。
大きな夢を持つと、いつの間にか小さな夢が叶ってた……。これ、先日の卒業式のスピーチでも引用されていたのですが、いい歌詞ですな。自分もまた『自分の考えた怪獣が着ぐるみになったとき、撮影現場にお邪魔して一緒に記念写真を撮る』、恥ずかしいくらいバカな夢のために、今を生きているんですな。
そんな歌が主題歌になっている『映画ドラえもん・のび太と奇跡の島・アニマルアドベンチャー』を先日観にいって参りました。


 結局ドラとしんちゃんは毎年、劇場で見ているような気がする。せっかく『プリキュア行こうぜー!』と誘ったのに、子供たちはネコ型ロボットを取りやがった。しかし、このシリーズ、自分が子供のときからやってるんだよなあ、化け物映画シリーズだよ。
そして予告編は決まってコナンとピカチュウ。これも定番ですな。昔は子供映画でも予告にヤらしいのや怖いのを遠慮なくぶちまけていたよなあ。それがまた、映画館へ足を運ぶドキドキに繋がったものですよ。

 今回のドラちゃんは、絶滅動物の暮らす島での大冒険。
 恐竜ではなく、絶滅哺乳類、絶滅鳥類というチョイスが渋い。カリコテリウム、メガテリウム、ドードー、モア……。モアとドードーは人間の乱獲で滅びたんだが、そこら辺はスルーし、娯楽活劇に徹しております。サーベルタイガーvsディアトリマ(古代の巨大鳥)の対決という、ハリーハウゼンもかくやのマッチメイクが展開されるのです。
 昔の哺乳類は馬鹿でかくてかっこいいなあー。これを見たちびっ子が興味を持ってくれればいいなあ。

 そして今回は新機軸として今まであまり語られることのなかったのび太と、パパ(好きなタバコはチェリー)の関係を深く掘り下げております。
 我が家でもそうですが、子供を叱り、そして優しく包むのは主に母の役目。乳は外で働いて餌をとってくるか、家出ごろごろしているのが役目。でも、本当はどうなんだろう? 父は、きちんと子供を見ているのかな、どこまで思ってくれているのかな? これを見た子供たちが父親を見る目が変わるといいな、と少しだけ思いました。

 そういや、会社から帰ると部屋着に和服を着る習慣がいつの間にかなくなったよなあ。マスオさんぐらいか?

 感動大作にせず、あくまでも冒険に徹したつくりは好感が持てました。そして個人的には『21エモン』のロボット、ゴンスケがゲストというのも嬉しい限り。これはいずれ来る『スーパー藤子大戦』への複線か? いや違う。
 
 雨模様でどんよりとした天気でしたが、なんだか心は晴れ晴れとしておりました。晴れ晴れしたついでに


 いつ売り切れるか分からないので、ウルトラ史上最強かも? の三池怪獣『完全生命態イフ』のソフビと、新作公開もあるので、『メンインブラックⅡ』を監督はじめ関係者が見たら泣くような280円という超低価格で、そしていずれ全巻そろえようという意思の表れで『真マジンガー』の二巻を購入し、家路に着きました。ドラえもん、関係なくね?
お父ちゃんも頑張ってるんだ、だから今度は『ウルトラマンサーガ』見せてくれ!

でも、お父ちゃん、頑張ったんだけど……。

*お知らせ 

 先日の卒業式の余韻冷めやらぬまま、私もかの学校を卒業することになりました。それ知ったのは今日ですがw
 野良犬みたいな自分を拾ってくださった関係者の皆さん、無茶苦茶な授業に付き合ってくれた学生の皆さん、今までありがとうございました。
 
 さあ、春から新たなステージへ、生きてく生きてる! 生きて生きて、生きまくれ!(違う歌になった)

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前回は別れの話でしたが、今回は再会の話。
あぁ、今頃になって卒業式のことが思い起こされる。みんな、まじめに不真面目だったよなあ。あのスタンスを崩さないでいてほしい。それと、二次会、もっと食べておけばよかった。酒、コーラとタバコと楽しい会話さえあれば充分な人間なので、食事にはあまり手をつけなかったのだよ。

そして今日、久しぶりに日中をグダグダと過ごし、近所の書店の古本コーナーへ。
『おぉ、こいつは!』

 朝日ソノラマ・ファンタスティックコレクション№5『特冊映像の巨星・ゴジラ』!
あぁ、また例の如く怪獣ムック本ですか、と思うなかれ。これがはじめて世に出た『大人向けの怪獣本』であり、ゴジラ復活、ゴジラやウルトラ、特冊映像再評価の牽引力の一つになったといっても過言ではない書物なのだ。

 思えば、怪獣映画冬の時代、この一冊によって俺の人生が狂わされたと言ってもいい一冊。
何度も読み返し、表紙が取れ、ページがばらばらになったのをガムテープで補強しながらぼろぼろになるまで読んだ本。それが完全な状態で売られている。

 それが、100円だ、と? 即レジへもっていき、家に帰って画読み返す。当たり前だが、あの頃のままだ。奥付を見ると昭和53年に発行された本だ。もう34年前か、げえ。まさかこの6年後にゴジラが復活するとは思ってもいなかった。

 買った当時は押さなかったので、文章ページは読み飛ばし、ひたすら写真ばかりを見ていた。ゴジラの顔が一作ごとに違うこと、ゴジラは海外でも人気だということを教えてくれた本だ。もし、幼かったあの時、これを買わずに第一候補の『UFO全百科』を買っていたなら、その後の人生はどうなっていたのだろうか。文章書きをやっていただろうか? 昨日、梅田の地下で酒を飲むことができただろうか?
 
 一冊の本が人生を左右する、そんなこともあるのだ、と思う。ま、どっちにしても怪獣狂いになっていたことは確かだけどね。やっぱりなるべくしてなるものなのかな?
(どっちだ)

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 会うは別れの始まりと、昔から言われていますが。
『おぉ、今年もみんなまじめそうだな、それにユニークだ』と思っていたらもう二年が経った。今日はお世話になっている某専門学校の卒業式でした。


 えらっそうに講師という身分で人様にものを教える立場についてもう何年になるだろうか。特に変わったことやマル秘テクニック(あればこっちが教えてほしい)を行ったわけでもなく、今思えば、自分の頭の中身をスライスして、伝えていた、ただそれだけの繰り返し、これからもそうなんだろうな。それが学生さんの肥しになったのかどうか、定かではないし、『この野郎、くだらないことを……』と思われたかもしれない。学生さんたちは自発的に作品を作り、投稿、発表していた。みんな頑張っている。俺はその勢いを少しでもお裾分けしてもらうために、学校に行っていたのかもしれない。

 そんなみんなが今日巣立った。巣立った先は地獄だぞ。でも地獄も工夫次第では住みやすくなると思う。血の池地獄も適温だと、いい湯だな。

 梅田の有名ホテルでの式典、そしてパーティ。いつもの如く立食形式なので、貪り食った。今年もビンゴは当たらなかった。

 『夢』『おめでとう』『頑張れ』、これが今日の三大ワード。よって自分の中でNGワードにする。
 夢って儚いよ。いや待て、儚いって字はにんべんに夢だ。人が夢を持つ儚さ。たとえ小さくとも、その可能性はいくらでも押し広げられる、そんなことを考えていた。

 自分はどうか? 何度も自問する。

 気の効いた言葉もかけられず、結局NGワードを連発する始末。
 そして舞台は二次会へ。そこで、やっと砕けてものが話せるようになった。と、思う。おっちゃんの戯言に付き合ってくれた皆様、すみません。
 でも俺が座った席は周りを女子に囲まれていたので、ちょいとした女子会、いや、合コンのような気分。授業とまるでかけ離れた話ばかりだったが、やっと腹を割れた。これぐらいで幸せな気分に浸れるんだ、やっぱり男はアホですよ、女子の皆さん。
この雰囲気をもっといつもの授業でも醸し出せれば、もっとみんなとの距離が縮まったのではないかな、と最後の最後に思う。 

 そして会もお開き、名残惜しそうに、記念写真を撮る学生さんたち。最後の最後に、美男美女の多い教室だったんだな、と気づく。美人ちゃんぞろいだったのか、いかに自分が人の顔を、そして名前を覚えていなかったのか、と最後の最後になって痛感。みんな御免。そしてこの二年にいろんな出来事があったことをいまさら知らされ、驚く。

 梅田の地下街を、最寄駅まで歩く一群。
最後の最後に『先生(一丁前に俺のこと)の作品、入学前から読んでました!』 何この告白、今言うか? でも、こういう言葉が僅かでもあるから、頑張れるんだよ。やっぱりこの二年間は教えられることのほうが多かった。

 一人減り、二人減り、そして最後に俺と学生さんが一人。とりとめのない話をして、簡単な挨拶をして、別れた。

 一人きりの電車内。そこでぐっと込み上げてくる得体の知れない何か。決して飲み過ぎたのではない。

 万感の思いを込め、ヘッドフォンから流れる歌は



 全然卒業ソングじゃないじゃん!
 ♪だーれかがー死ーぬんだーぜー


 ま、卒業おめでとうございます。何かあったらいつでも連絡くださいな。
何もできませんが、まあ、何とかなる。

『いつ何時、誰の挑戦も受ける』の精神で。もちろん、俺も。
そして、最後の最後に。やっぱり梅田地下街の金券屋でプリキュアオールスターズの前売り買っておけばよかった。

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プロフィール
HN:
馬場卓也
性別:
非公開
職業:
作家
趣味:
怪獣
自己紹介:
作家。一応作家。
CS放送のシナリオ公募で佳作入選。
『SHUFFLE! アンソロジーノベル』
でデビュー。
『School days 君といる、空』で長編デビュー。(ともにJIVE )

『真田十勇姫!』(ソフトバンクGA文庫)
シリーズほか、チョコチョコと。
ラノベ、ゲームシナリオ等々、何でもやりますのでお仕事お願いします。
 怪獣とかチャンバラが好きやねんけど、女の子率高いなあ。


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