作家馬場卓也のおもちゃと怪獣と仕事の三つ巴生活!
男もつらいし、女もつらい。男と女はなおつらい!
てな訳でよろしく
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先週と今週の話。
なんだかんだで毎週、仕事のない時はどこかの映画館に行っているか、家でひたすらビデオ見てるかが続いている。 先週の話。橋本忍特集は終わったけど、次に始まった『劇団維新派・松本雄吉特集』で、氏の出演した『王手』が上映されるという事だったので、三度九条シネ・ヌーヴォへ。 阪本順治監督、新世界で賭け将棋を生業とする真剣師と、プロ棋士の腐れ縁を描いた作品。破天荒な真剣師には『どついたるねん』の赤井英和。ナチュラルな大阪弁とやや硬い芝居のコントラストが奇妙な味わいを生む。個性的なライバルキャラ、新世界のおっさんたちと漫画的なキャラが続々登場。『じゃりン子チエ』の世界だけど微妙に違うし、吉本新喜劇でもない。勝負に命を懸ける男の泣き笑いである。将棋という映画にしにくいような題材を表情と手の動き、それを見守る観客という、スポーツ映画と同じ文法で撮り、効果を生んでいるように思える。 とにかく軽やかな大阪弁のやり取り、普段使わないような言い回しが見ていて楽しいのである。初期の坂本監督作品はそれが顕著にみられた。これを何とか真似たい、自分のものにしたいと思いつつ至らない。 赤井英和が札束を数えながら坂道を駆け降りるカットがあるが、元ボクサーらしく、背筋をピンと伸ばした姿勢で走る。それがまた漫画的に見えるのだ。新世界という街自体が漫画的なのかもしれない。で、漫画的な街、という事で、苦しいながらも次の映画へ。 今週は仕事明けに京都出町座で『アンダーザシルバーレイク』を。仕事明けにふらりと立ち寄れる場所ではないけど、職場から行く方が自宅よりは若干近い。 話は一か月ほど前のこと。とある人に『見ましたか? 面白かったですよ』と言われたのがきっかけ。それ以来気になってはいたが、見る機会を逃し、出町座で今週いっぱいまで上映、という事だったので。それに来夏オープン予定の新生みなみ会館の予定地も覗きたくなったからだ。 雨が降る前兆なのか、比較的暖かい中、バイクで一号線を北上し、京都へ。 旧みなみ会館はすっかり解体の準備ができていたし、新みなみ会館は着々と工事が進んでいる模様。 『アンダーザシルバーレイク』はハリウッドを舞台にしたミステリー。とひとことでいってしまえばそれまでだけど、そうもいかない複雑な作品。 再会を約束した女性の失踪、その謎を突き止めるボンクラ男に降りかかる奇々怪々な出来事。 エログロバイオレンスなハリウッドの闇の闇、一体どれが真実なのか? 陰謀論に都市伝説、小ネタや仕掛けがふんだんにちりばめられており、それらが生かされるとちょっとした爽快感もあるのだけど、やはり頭の片隅に残る『?』の数々。ひょっとしたら全てはハリウッドという、虚構を生み出す街の作り出した幻影なのではないのか? そう思うとなんとなく腑に落ちる。 謎を解くカギがあっさり見つかったり、ヒントの方からやってきたりと、都合の良い部分が多かったりするのも、何か見えない力が働いて、主人公をある方向にもっていくためだったのではないのか? 『実は〇〇(ものすごく突飛なオチ)だったのだ!』『なん、だと?』という石ノ森章太郎漫画的な風呂敷の畳み方にも見えるし、この世の闇を覗いて打ちひしがれつつ生きる、狩舞麻礼漫画のようでもある。多分違うと思うけど。 好悪の問題ではなく、引っかかる奇妙な映画。ベクトルは違うけど『幻の湖』を見たときのような印象。あ、どっちも湖だ! とにかく奇妙で不思議な映画を見た。やはりこの目で見て見ないとこればかりは分からない。 この映画を勧めてくれた某氏に感謝しつつ、京都を後にしようと思ったら、ぽつぽつと雨が降ってきた。 PR 先日のこと。なんばパークスシネマからもらったお誕生日クーポンを使わないと、と『ヴェノム』へ。
その前にマルイでグリッドマンにご対面。 『ヴェノム』はスパイダーマン最強の敵が単独主演。主役をダーク化したライバルキャラは、洋の東西問わず人気がありますな。 悪役スピンオフといえば『スーサイドスクワッド』があったけど、あれは、なんというか、その、『それほどこの人ら悪くないんじゃないの?』と思ってしまったもので。どうしても悪役を主演に置けば、結局それ以上の悪党を設定しないとお話としては締まらないわけで。別にこちらは悪役が何もかもぶち壊す悪事を重ねまくってもいいのですが。そういや、日本にもハカイダーの単独映画がありましたな。 今回はどうだろう、ヴェノムは宣伝コピーに違わぬ悪党っぷりを見せつけてくれるのだろうか?
違った。でも悪くない。悪の組織によって宇宙からきた謎の寄生生物を取り込んでしまった主人公。黒い怪物ヴェノムになって本能の赴くまま暴れまわるのかと思いきや、わりと人がいい。寄生主である主人公エディとのやり取りは狂暴など根性ガエルだ。たまに人間(悪人)をぱくっとやるけど、基本的にはエディの話をちゃんと聞くし、自ら弱点を話したりする。凶悪というよりは粗暴な黒いヒーロー。悪の組織(人類の発展のために弱者は切り捨てる発想の財団。よくいます)から一度は逃げるも、その企みを潰すために殴り込み。ピカレスクかと思いきやしごくまっとうなヒーローもの、この先どうやってスパイダーマンと絡むのか、このまま独自路線を進むのか? 見たあとに無性に何か食べたくなる映画でした。
黒いヒーローのあとは、まったく毛色の違う災害スペクタクルへ。九条シネヌーヴォの橋本忍映画祭『日本沈没』である。 日本が沈む、という危機的状況を迎える国民を描く前半から、淡々と日本脱出と沈む国土を描く後半、なぜか年に一回は見てしまう映画。フィルムは昨年みなみ会館で上映した時と同じく赤く退色していた。しかしその迫力、危機感は変わらない。とにかく丹波哲郎と小林桂樹の大熱演が光る作品。分かっていても、最後まで気が抜けない。 場内は年配のお客さんでほぼ満席。商店街の映画館、往年の名作をかけると懐かしくて、見に来るのかな。そんなこと考えながら、九条を後にし、劇中ですっかり水没した泉大津を経由して帰るのでした。 昨日は学校帰りに九条へ。今も残る遊郭を抜けてシネヌーヴォで上映中の橋本忍映画祭へ。そうそうたるラインナップの中、なんとしても見たかった『幻の湖』へ。トンデモ超大作としてカルト化された作品だが、ひょっとしたら過剰に持上げられてるだけなのではないか?
そんな気がした。東宝50周年作品として作られたが、あまりのトンチキぶりにすぐに打ち切られた、まさに『幻の映画』だ。いまやDVDで見ることもできるが、やはりここはスクリーンで。
琵琶湖を舞台に、ジョギングが趣味のトルコ(現ソープランド)嬢・道子が、愛犬を殺され、犯人探しに……というのが大まかなストーリー。超大作の主人公が風俗嬢というのは意外だけど、あとは普通のサスペンスじゃないか。最初はそう思った。しかし、見ていくうちになんだかおかしくなってくる。なんか変だ。主人公の同僚の外国人、ローザはどうやらアメリカの諜報部員らしい。でも、なぜそんな女性が雄琴のトルコに? そのスキルで道子に犯人の情報を教えるのだが、それだけ。
そんな感じで徐々に『?』が増えてくる。犬を殺された道子は静かに狂いだし、出刃包丁持って犯人・日夏のいる東京へ。執拗に日夏の居場所をききだす道子の言動は、まるでサイコパス。ローザの助けもあり、ジョギング中の日夏を追う道子。日夏は早い、追い付けない。『ここで距離を詰めて……』と語るスポーツ中継のような道子のモノローグ。なぜ一緒に走る? 結局追い付けず、道子は雄琴へ。銀行員との寺社発覚デート、横笛を吹く宇宙パルサー研究所の男との出会いを交え、犬の復讐はすっかり忘れてしまった、ように思えた。
しかしある日、道子が取った客が日夏だった! 逃げる日夏、追う道子。追いかけっこというより琵琶湖マラソン! 道子と日夏のモノローグが交互に入る。いかに離すか、いかに追い付くか。ここで映画はサスペンス、笛にまつわる因果話から一気にスポーツ映画に! ストーリーを思い出しながら、書いて見たけど、どうでもよくなってきた。大脚本家、橋本忍が満を持して世に送ったのは、なんとも形容し難い、というかどのジャンルにも当てはまらない、あえていえば『幻の湖』というジャンルだった。それほどおかしくはない。四季折々の琵琶湖の風景は美しく、途中で挿入される戦国時代のパートは重厚さもある。でも、それらをつなぐ構成や道子の言動がちぐはぐだったりするのだ。それが最後のマラソン大会で一気に爆発する。
『犬の復讐は?』と思うぐらいにランニングに没頭するから、おかしさが増してくる。一番の見せ場なんだけど場内では笑い声が。これがこの映画をカルト足らしめてるのか!
琵琶湖から一気に宇宙へ飛ぶラストも、『何の映画だっけ?』と観客をポカーンとさせるのに充分である。
道子のように静かな狂気に駆られ、やりたいこと全部詰め込んだら、トンデモないものができた、そんな印象。トルコ嬢と戦国武将と宇宙飛行士、銀行員が琵琶湖でマラソンだ。こんなお話思い付かない。まさに幻の大作、駄作ではない、珍作だ。
前回の昔の怪奇映画から、今回は最新の音楽映画の話。
話題の『ボヘミアン・ラプソディ』は、イギリスのバンド、クイーンの結成から1985年のライブエイドの模様までをボーカルのフレディ・マーキュリーを軸に綴った作品。フレディはバンドやる前からキャラ立ちが激しいやつだったのか、それは彼の出自によるところもあるかもしれない。しかし彼は仲間と共に自分たちの音楽作りに邁進するのだ。
クイーンといえば『フラッシュゴードン』『ハイランダー』の楽曲から入って、ベストアルバム辺りを聞いていたぐらいだけど、知ってる曲が流れるとついつい口ずさみたくなる。アニメ、特撮ソングで育った身としては、フラッシュゴードンもそうだけど、勢いのある楽曲が非常に馴染みやすかったのだ。
70~80年代の出来事、スタジアムでのクライマックス、本物そっくりのキャストということで、『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』を思い出す。テニスとロックという違いはあるが、あれも70年代が舞台で当時の雰囲気とかエキストラ集めるの大変そうだな、とか同じような箇所が気になる。主人公が同性愛な部分も。しかしテニスにせよバンドにせよ、そのテクニックを、真似ないといけない、なりきらないといけない俳優さんはもっと大変だ。
数々のヒット曲とフレディの未来に劇場ではすすり泣きも聞かれ、パンフレットは品切れという大ヒット。しかし何よりも、個人的には、劇中で世界ツアーの地名が『スーパーマン』のタイトルのようにスリットスキャン風にグイイーンと、飛んで来るところでなんだか嬉しくなった。80年代だ!
(例) 『レスラー』でミッキーロークも言ってた、『80年代最高!』と。ガチャガチャでトゲトゲした、70年代から何もかもがすっきりしはじめた90年代。でたらめで纏めようとしても纏まらない感じのする80年代。幼少期を80年代に過ごしたものとしては、クイーンの『フラッシュ! ア・アー!』に自分の好きな歌(アニメ、特撮主題歌)と同じものを感じ、『ハイランダー』で止めを刺された。緻密に再現された80年代の風景のなか、クイーンの楽曲と同じようにグッときたのは、 スリットスキャンで文字がびょーん、なのだ。カッこよすぎて何度もパロディされたあれが、自分の中の80年代だったかも知れない。
いや、そんなことはない。 先日、誕生日でした。
誕生日には『トゥルーロマンス』のクリスチャンスレイターに倣い、映画を見ようと心掛けているのですが、あいにく今年は仕事だったのでその翌日、映画館へ。気になる映画は色々あるけど、今もっとも気になっていたのは新世界東映で上映中の『怪談片目の男』。今週で上映が終わるし、まずはこれだろうと新世界へ。 途中、なんとなく立ち寄った中古ビデオ店でトビーフーパーの『スペースインベーダー』を発見。これはこれで素敵な誕生日プレゼント。 『怪談片目の男』はみなみ会館の怪奇映画祭nightで見た『怪談せむし男』に続く西村晃怪談シリーズ第二弾。このあと9月に見た『散歩する霊柩車』に続くらしい。今回は監督が佐藤肇から小林恒夫にバトンタッチ。
ある会社の社長が海で死んだ。その遺産を巡り、別荘に集められた男女。そしてそこで一人、また一人と殺されていく。洋館を舞台というのは『せむし男』と同じだが、今回は怪談というよりミステリー。本当に社長は死んだのか、本当に事故死だったのか?
神父姿にサングラスの西村晃が、なかなかかっこいい。でも合成を駆使した登場シーンは、怖いというよりおかしい。屋根から階段から、よく人が落ちる映画だった。ホラーではなくサスペンス。確かに二重三重のどんでん返しは確かに怪異といえば怪異。
モノクロ画面に繰り広げられる、欲望と復讐が混ざりあった世界。しかし西村晃はよく妻を寝とられる。
貸本マンガを見ているような感覚。なんとも不思議な手触りの映画を見たあと、外に出ると、曇天でモノクロのように見えた。 |
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プロフィール
HN:
馬場卓也
性別:
非公開
職業:
作家
趣味:
怪獣
自己紹介:
作家。一応作家。
CS放送のシナリオ公募で佳作入選。 『SHUFFLE! アンソロジーノベル』 でデビュー。 『School days 君といる、空』で長編デビュー。(ともにJIVE ) 『真田十勇姫!』(ソフトバンクGA文庫) シリーズほか、チョコチョコと。 ラノベ、ゲームシナリオ等々、何でもやりますのでお仕事お願いします。 怪獣とかチャンバラが好きやねんけど、女の子率高いなあ。
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