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 作家馬場卓也のおもちゃと怪獣と仕事の三つ巴生活!  男もつらいし、女もつらい。男と女はなおつらい! てな訳でよろしく
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 やらなくっちゃいけないことがたくさん。ああ、面倒くさい。しかしその面倒くさいことを乗り越えなければ安息は得られない。


 しかし、であるよ。見たいものがあるものまた事実。いや、この現状から逃げたいだけなのかもしれない。逃げちゃだめだ、いや逃げていいんだよ。いやしかし……ぐるぐると考えが逡巡し、とりあえず、今できることは片づけておこう、とやることやって、外出。




 行先はいつもの京都。でも車じゃだめだ。長年乗り慣れてきたスクーターでないと。それに、年に一回着るか着ないかわからないライダースジャケットでないと、今日はダメなのだ。





 2時間ほどかけて京都へ。まずは京都文化博物館。京都ヒストリカ映画祭の一環で『子連れ狼』上映、しかし時間が合わない! せめて、拝一刀の顔ハメパネルだけはやっておきたい。だって太秦から本物の乳母車も来てるのだ。



 そして、ハメる。


 よし、ハメた。



 北大路欣也版『子連れ狼』の乳母車も拝んだし、次に行こう。




 そして、ご存じ京都みなみ会館へ。『イーちゃんの白い杖』『さらば青春の光』という、『映画』という括りぐらいしか共通項のない2本だ。強いて言えば、日英の若者像を描いた作品立ち、ともいえるけど、強引すぎる。



『イーちゃん』は一週間上映ということでぜひ見たかった。仕事柄なのか、障害者を扱った映画はできるだけチェックしたいと思っている。普通の人と違う、と言われてる人たち。でも普通って何なのか? その人たちを取り巻く環境はどういうものなのだろうか、とても気になる。知的障害者の心の揺れと、それを取り巻く人たちのナチュラルな姿を描いた『ましろの恋』に、どん底生活からの逆転劇『岬の兄妹』等々、表現も様々。お涙頂戴、感動巨編にならないところがいい。



 『イーちゃん』は、静岡に住む、全盲の姉弟を20年間追ったドキュメンタリー。見えない大変さ、苦労、そんなものはもう終わったこと。主人公のイーちゃんの成長と挫折、そして全盲の上に難病を抱えた弟の姿をカメラはとらえていく。とにかく、イーちゃんとその家族が明るい。絶対大変なことはたくさんあったと思うけど、まったくそれを感じさせない。イーちゃんも小さいころからすごくしっかりしていて、自分の意見をはきはきいう。でも、挫折することもある。人生うまくいかないのは障害者も健常者も一緒だ。それでも、少しずつやりたいことを見つけていく。時間をかけてゆっくりと。新しい世界に新しい出会い。イーちゃんはにこにこと笑う、何度も入退院を繰り返す弟とは言葉と触れ合うことで通じてる。劇中、半分冗談で言った『私は、心の目で見てますから』という言葉がとても深い。見ていて『お前はどうだ?』といわれた気がした。小さいことでくよくよしすぎだわ、ええ年でバタバタしてるけど、自分も何とかしよう、と思ったよ。ナレーションの春風亭昇太もアドリブ混ぜつつ、ユーモラスにイーちゃん一家を見守る。時間作ってみてよかったと思う一本。



 見終わってすぐ隣の劇場へ。



 『さらば青春の光』。である舞台は焼津市からイギリスへ。カルト化し、何度もリバイバルされた名作、さてどんなものか。





 モッズという一群がいる、ヤク決めてクラブで踊ってベスパ乗り回して……。モッズコート(『踊る大捜査線』の青島刑事が着てたあれ)にデコトラ寸前のベスパ、というのがオシャレ、ということなのか。乱痴気騒ぎを繰り返し、その頂点たるブライトンビーチのイベントへ。そこには、ライバルたる革ジャンにバイクのロッカーたちが待っていた。
勝手にイギリス版『爆発!暴走族』だと思っていたけど、ちょっと違う。ニューシネマともまた違う手触り。大人たちに突っ張って、『誰でもない者』になりたくてモッズ生活を楽しむ主人公ジミー。でもどこか物足りない。結局、みんなと同じことしてるだけじゃないか? 『あんなの遊びでしょ?』と憧れの彼女から冷たくいわれて自棄になる。いつの時代も女は冷静だ。自分でもわかってた、こんなバカ騒ぎはいつか終わる。じゃあどうすればいい? 現実に直面し、焦る主人公、もう、どこにも行き場はないのか?





 
 ファッション、音楽、熱狂的なファンが多数存在するのはわかる。もう少し早く見ていたら乗れたかもしれない。遅かった。もう俺はブライトンで暴動を起こす若者を『こら!』と怒鳴るおっさんの立場だ。余りあるエネルギーのぶつけどころがわからず、暴走するのは洋の東西問わず、若者が陥りがち。どうすりゃいいんだよー! うん、その気持ちはわかるよ、とすっかりおっさん目線で見てしまった。あと、人のベスパ盗むな。




 2本見終わって、先週末舞台あいさつに来たイーちゃんが無事結婚した、という話を館長から聞く。さっき映画で見ていた人の近況が聞いたことで、物語が一つ、きれいに終わった気がした。
 



 そしてスクーターにライダースじゃけっど、モッズとロッカーの折衷みたいな姿で俺は現実へ戻るためにアクセルふかす。そうだ、週末はまたここに来ないといけない。ゴジラ誕生祭だ!
 
 

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プロフィール
HN:
馬場卓也
性別:
非公開
職業:
作家
趣味:
怪獣
自己紹介:
作家。一応作家。
CS放送のシナリオ公募で佳作入選。
『SHUFFLE! アンソロジーノベル』
でデビュー。
『School days 君といる、空』で長編デビュー。(ともにJIVE )

『真田十勇姫!』(ソフトバンクGA文庫)
シリーズほか、チョコチョコと。
ラノベ、ゲームシナリオ等々、何でもやりますのでお仕事お願いします。
 怪獣とかチャンバラが好きやねんけど、女の子率高いなあ。


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